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染谷将太「べらぼう」歌麿の反響呼んだ壮絶シーン語る 「思わずしがみついた」

反響呼んだ第38回より歌麿(染谷将太)、蔦重(横浜流星)
反響呼んだ第38回より歌麿(染谷将太)、蔦重(横浜流星) - (C)NHK

 横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)で浮世絵の大家・喜多川歌麿を演じた染谷将太が、とりわけ反響を呼んだ第38回「地本問屋仲間事之始」で歌麿の妻・おきよ(藤間爽子)が病の末、壮絶な最期を迎えたシーンを振り返った。

おきよが変わり果てた姿に…残酷展開の第38回

 大河ドラマ第64作「べらぼう」は、喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見いだし、東洲斎写楽を世に送り出し“江戸のメディア王”として名を馳せた板元・蔦屋重三郎(横浜流星)の生涯を追う物語。脚本を、脚本を、大河ドラマ「おんな城主 直虎」、NHKドラマ10「大奥」シリーズなどの森下佳子が務めた。

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 染谷にとって大河ドラマへの出演は「武蔵」(2003)、「龍馬伝」(2010)、「江~姫たちの戦国~」(2011)、「麒麟がくる」(2020~2021)に続いて5度目。染谷が演じた歌麿は主人公・蔦重にとって弟分であり、最も重要なビジネスパートナーでもある。一方、歌麿は蔦重に特別な感情を抱いており、とりわけ蔦重がてい(橋本愛)と結婚してからは一方通行の思いに長らく苦しむこととなった。

 染谷は収録を振り返り「不思議な経験でしたね。今まで演じて感じたことのない感情を感じることが多かったように思います。怒りといっても一言で怒りとは言い切れない感情だったりする。例えば蔦重に対する愛情も、頭の中でどういう愛情なのか処理しきれなかったり。そういった表現っていうのは今まで感じたことがなかったですし、役者としても、1人の人間としても、素敵な経験をさせていただきました」と緩急激しい役柄を語る。

 役柄として特に苦しかったというのが、歌麿の妻・おきよ(藤間爽子)との別れの場面。喜多川歌麿の生涯は謎に包まれているが、本作では妻があった設定に。おきよは歌麿がスランプに陥った時に出会った洗濯女で、歌麿が美人画を描き始めるきっかけとなった“ミューズ”として描かれた。

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 「怒ったり、泣いたり、笑ったり、ものすごく(感情が)忙しなかったですけど、自分としては充実していました。蔦重ともそうですし、おきよさんと出会って、やっと人と愛し合うことができたと思ったら亡くしてしまい、辛かったですね……。なかでも、おきよさんが亡くなる第38回は1番衝撃的でした。台本が来た段階で涙が流れてしまうぐらいショックで。亡くなる設定自体は知っていたものの“そんなふうに亡くなるんだ、え~!”って」

幸せいっぱいだったおきよ(藤間爽子)と歌麿

 おきよとのシーンは「少ないからこそ1シーン1シーンが濃かった」という染谷。

 「おきよさんとのシーンは、亡くなってしまうまでは少ないんですよね。だからこそ、2人の感情が明確に現れやすいシーンの作りになっていた。幸せで楽しそうだったのが、だんだん苦しくなっていく。その部分だけかいつまんだらちょっとした短編になるような流れだったので。そこは順を追って収録できたこともあって、シンプルに起きていることに反応していくだけで成立した印象があります。藤間さんも(話せない設定のため)セリフがないなかでも感情豊かな動きと表情で表現されていて、自分も心を動かされましたし、“おきよさん逝かねえで”っていうセリフは本当に“逝かないで”っていう気持ちになりました」

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 おきよを亡くした歌麿の哀しみは計り知れないもので、歌麿はおきよが亡くなったことを受け止めきれないのか、遺体のそばで延々とおきよを描き続けていた。そこへ蔦重が現れ、おきよを埋葬しようとするが歌麿は遺体から離れようとせずもみ合いになり、蔦重は思い余って歌麿にとって禁句である「お前は“鬼の子”なんだ」の言葉を言い放つ。蔦重は歌麿の身を案じ「生き残って命を描くんだ。それが俺たちの天命だ」と続けるが、歌麿は蔦重を拒絶してしまう。大きな反響を呼んだ同シーンでは、染谷のとっさの反応が反映されていることを明かす。

 「あのシーンは流星くんとものすごく話し合いました。蔦重はどう歌麿を受け止め、歌麿はどう蔦重に当たっていくのか。互いの気持ちをかなり話し合い共有した上でやらせてもらったので、すごく印象に残っています。あと、台本にはなかったんですけど、おきよさんの遺体が連れ去られたあとに畳に人型の染みが残っているんですね。最初は気づかなかったのですが、段取りのリハーサルで布団がどけられた時にそれが初めて目に入って、思わずそこにすがりました。そうしたスタッフの皆さんの表現も相まって壮絶なシーンになりました」

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おきよと幸福の絶頂を分かち合う歌麿だったが……

 最終回へは、「蔦重との関係がある意味、自分(歌麿)の中で完結した」うえで向かったという。

 「蔦重への思いは変わらないということを自分で認めることができたというか。気持ちに蓋をしようとすると苦しいだけですし、だからといって気持ちをぶつけたら、それはそれで傷つくだけだけれども、自分の気持ちは一生変わらないんだなっていうことを、自分で許すじゃないですけど、自分で自分を認めてあげる。蔦重に対する気持ちを肯定することができた。そうした感覚が強かったですね。そこからは割と吹っ切れたといいますか、楽しくこの人と一緒に仕事仲間としても家族としても過ごせていけたら、それで十分だなっていう風な気持ちになったんじゃないかなと思いました」

 なお、どこまでいっても歌麿の思いに気づかない蔦重をはがゆく思う視聴者は多かったが、染谷自身は「だからこそ魅力的」だという。

 「個人的には歌麿の思いに気づいてしまったら蔦重らしくないなと。そこの視野はない蔦重というのが逆に魅力的と言いますか。だからこそ、蔦重なんだと。『こち亀』(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』)の両津勘吉じゃないですけど、鈍感だけれども人情味があるところが魅力的だなとずっと思っていました」と清々しい表情を見せていた。(編集部・石井百合子)

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