『パリに咲くエトワール』本編冒頭11分超を公開!時代考証スペシャリスト・白土晴一のコメントも

オリジナル劇場アニメーション『パリに咲くエトワール』から、本編冒頭映像11分超と新場面写真が公開された。また、時代考証のスペシャリストであるリサーチャー・白土晴一がコメントを寄せた。
本作は、『ONE PIECE FILM RED』を手掛けた谷口悟朗監督と、多くのスタジオジブリ作品のキャラクターデザインをつとめた近藤勝也が初めてタッグを組んだ作品。
舞台は20世紀初頭、芸術の都・パリ。物語は、夫を支えるよき妻となる将来を望まれながらも画家を夢見るフジコ(當真あみ)と、武家の家系に生まれながらバレエに心惹かれる千鶴(嵐莉菜)の運命的な再会から始まる。東洋人であることで様々な壁にぶつかりながらも、夢に向けて歩き出す少女たちの姿が描かれる。キャストには、早乙女太一、門脇麦、尾上松也、角田晃広、津田健次郎らが集結した。
公開された映像では、臨場感を裏付ける背景や小道具につまった時代考証の情報量を確認できる。白土晴一は三つのポイントについて以下のようにコメントしている。
劇場アニメ『パリに咲くエトワール』は公開中。
フジコの叔父・若林が持つカメラについて
カメラが日本に持ち込まれたのは1841年ごろと言われている。
白土「横浜のゲーテ座で若林が持っているカメラは、明治37年に発売された「チャンピオン手提暗函」をモデルにしています。日本の国産カメラの中でも最も古いものの一つで、日本カメラ博物館様のご協力で実物を撮影させて頂きました。しかし、実際にどうやって持って撮影するかなどはよく分かりません。そこで構造や形状が近そうな当時のカメラ「Brownie No. 2」などの資料から、持ち方や撮影の仕方などを推測しました。」
園井家について
フジコの実家の日本家屋も、実は少し変わった作りになっている。彼女の家柄、置かれている環境もそこから見えてくることに。
白土「園井家ですが、高田馬場の周辺と設定しました。明治の高田馬場は1910年(明治43年)に鉄道院山手線「高田馬場駅」が開業したばかりで、落合崖線沿いには金持ちの別邸などもある自然を残した邸宅街。家のモデルは文豪・夏目漱石が晩年に住んだ邸宅で、特に園井父がいる部屋は、門下生が出入りしたとされる漱石の書斎「漱石山房」などを参考にしています。しかし、和室に洋式の家具が配置された和洋折衷的なレイアウトにするため、細かい部分は複数の幕末、明治の建築を組み合わせたものになっております。」
パリの風景
白土「千鶴がパリを散策しているシーンに出てくる橋は、1900年のパリ万国博覧会に合わせて建設された、四隅に巨大な記念柱(ピュロン)のあるアレクサンドル3世橋。ベルエポックの絶頂を象徴するような豪華絢爛なセーヌ川の橋なのですが、次に何やら大きな船が出て来ます。これは洗濯船(Bateau-Lavoir)と呼ばれる共同洗濯場で、女性たちが川水で衣類を洗って、2階でそれを乾かす場所でした。その次のカットの右下に洗濯物をたくさん抱えた洗濯婦が描かれています。ベルエポックの絢爛たる橋でも、すぐその下に庶民の生活が溢れているという描写になっております。」


