メリル・ストリープ、アン・ハサウェイは20年ぶり共演で「ずっと生意気に」!『プラダを着た悪魔2』インタビュー

映画『プラダを着た悪魔2』のメリル・ストリープとアン・ハサウェイが来日時に合同インタビューに応じ、前作以来20年ぶりの共演や、女性が多い仕事現場や女友達の重要性、そしてキャリアを重ねる上で心掛けてきたことなどを和気あいあいと語り合った。
20年ぶりの続編となる本作では、ファッション誌「ランウェイ」に存続の危機が訪れ、鬼編集長のミランダ(メリル)と元アシスタントのアンディ(アン)が再会することになる。前作ではミランダから押し付けられる無理難題にてんやわんやとなっていたアンディが、報道記者として経験を積み、特集記事のエディターとして戻ってくるのだ。
20年ぶりの共演は前作での経験とはまた違ったものになったのだろうか? メリルの「今の彼女(アン)はずっと生意気。自信もたっぷりだし、わたしのことなんてちっとも怖がっていないもの(笑)」という言葉に、アンは大笑い。
メリル:「わたしは俳優たちと現場でつるむのが大好きで、それが仕事で一番のお気に入り。ただ座ってウワサ話をしたりね。1作目でも最初の数日はそうしていたんだけど、セットに行き、キャラクターに入ってシーンを始めたら、ミランダとしてその場の空気を支配するのが難しくて。エミリー(・ブラント)、スタンリー(・トゥッチ)、そしてあなた(アン)ととてもすてきなグループで、皆で本当にいい時間を過ごせたけど、キャラクターの威厳を保つため、あえて他の役者たちと距離を置くことにした。トレーラーに一人でこもって、ニュースを見たりして」
メリル:「楽しくはなかったけれど、作品にとっては価値のあることだった。わたしはメソッド俳優(徹底的なリサーチの上で精神や肉体を改造し、役柄に自分自身を完全に没入させる演技法)ではないんだけど、効果があったことはわかる。でも今作では、そんなことは気にしなかった(笑)。ミランダも人生のいろいろな経験ですっかり打ちのめされているから(笑)」
アン:「1作目の時は、ミランダというキャラクターと一緒に過ごす時間の方が長かった。時々メリルがひょっこり顔を出す瞬間があって(笑)、それがわたしの宝物だったの。でも今回は、本当に“あなた(メリル)と一緒に映画を作った”という実感が持てた。一緒につるめたしね! 最高だったわ」
女性たちのパワーを描いた本シリーズ。メリルは今も大学時代からの女友達と定期的に会っており、彼女たちなしでは「生きていけない」と言い切る。
メリル:「わたしは女友達に支えられている。同じ大学(ヴァッサー大学)に通った18歳からの付き合いの友人が6人いるの。1人は16歳だったけどね。とても賢くて飛び級していたから。彼女たちとは今でも年に2回は、4、5日一緒に過ごしている。それぞれの家に行ってね。職業は精神科医、人権派弁護士、専業主婦、夜勤をしながら4人の子供を一人で育てたERの看護師とバラバラで、わたしとはまったく違う。もう一人も精神科医で刑務所の女性たちのために働いていたけど、死んでしまった。お迎えが来た最初の一人ね。とにかく、わたしは彼女たちが大好き。彼女たちはわたしの“音叉(おんさ)”で、彼女たちのおかげで、わたしは正しい自分に戻ることができる」
メリル:「でも、わたしたちはお互いに対してとても厳しい。だって、わたしたちのポジションがどれだけ不安定かを理解しているし、誰にも失敗してほしくないから。だからこそ、お互いを厳しくチェックし合うのよ。もちろん、先に進む人に対する嫉妬だってある。アメリカの国立女性歴史博物館の理事を務めていた時、初めて四つ星将軍になった女性がわたしにこう言ったわ。『いい、メリル。結局のところ、男性たちはわたしたちから命令を受けるのが嫌いなのよ』。それが現状ね。前進はしているけれど、道は険しいわ」
アン:「『オーシャンズ8』(女性版『オーシャンズ11』)を撮った時のことなんだけど、撮影初日にヘアメイクのトレーラーに入ると、アイコニックな女性たちがずらりと並び、髪の毛に、メイク、皆それぞれ自分のやり方でやっていた。その光景を見てすぐに、とても居心地が良いと感じたの。『ああ、男の人たちはいつもこんな感じなんだ!』と思ったのを覚えている。少なくともハリウッドではね。彼らはいつも大勢で現場に現れるけど、わたしたちは一人きりであることが多いから」
アン:「その撮影は2016年と比較的最近だったけれど、それ以来、そうした環境に身を置けることが多くなってとてもうれしい。オリヴィア・ワイルドの『“女同士はライバル”と思い込ませるなんて、男たちはなんて賢いのかしら。本当は協力者なのに』という言葉が正しいとたびたび実感させられている。わたしたち(女性たち)の数が増えれば増えるほど、わたしたちはただ自分らしくいられると思う。そしてわたしたちは、誰かがわたしたちのための場所を作ってくれるのを待ったりしない。元々わたしたちの物だった場所を、自分たちでつかみ取るの。きっとうまく行くわ」
この日の合同インタビューに参加した記者は全員女性だった。メリルは「わたしが初めて日本に来た時は、ジャーナリストは全員男性だった。女性は彼らにコーヒーを運ぶ役割だったのよ。でも、今は違うわね(笑)。状況は変わった。それは素晴らしいことだわ」と変化を喜んだ。
1作目から20年、共に素晴らしいキャリアを築いたメリルとアンだが、どのような心構えでやってきたのだろうか?
メリル:「それにはかなりの内省が必要ね。でも、わたしには内省している暇なんてない。孫が6人もいるんだから。6歳、5歳、4歳、3歳、2歳、1歳。小さな子供たちと一緒にいると、今この瞬間に全力を注がなきゃいけないから本当に忙しい。一瞬一瞬を生きている感じで、もうヘトヘトよ。わたし自身も4人の子供を育てたけれど、どうやってやり遂げたのか自分でもわからないわ(笑)。ただ、後悔することにあまり時間は費やさないようにしている。もちろん後悔が全くないわけじゃないけれど、失敗したと思ったことを糧にして、もっと良くしていこうと努めている。楽観的でいようとしているの。人生はとても短いから。それがわたしの答えね」
アン:「わたしも似た感じかな。後悔に浸ることはなくて、何が悪かったのかを分析し、学べることを学び、前に進むようにしている。この20年で言えば、初めの頃、母がとてもいいアドバイスをくれたの。『幸運は、準備が機会に出会った時に生まれる』というね。素晴らしい監督や俳優たち(メリルみたいな!)と仕事ができるという信じられないような機会に恵まれたわたしは本当にラッキーだと思うし、わたしはその機会が巡ってきた時にいつでも準備が整っているよう、最善を尽くしてきた」
それでは二人の仕事のモチベーションは?
メリル:「幸いなことに、わたしは仕事を選べる立場にいる。子供たちも成長して巣立っているから、わたしが家族を養う必要もない。だから、自分で決めることができる。『この作品は世に出るべき理由があるだろうか? 文化に貢献できるのだろうか?』と自問して、違うと思えばやらないわ(笑)。わたしのモチベーションになることと言えば、楽しいこと、そして一緒に働く人々が真剣で、どこか風変わりであること。それに脚本家。わたしは素晴らしい脚本家たちと仕事をするのが大好きなの。あとは、孫たちと離れて過ごす価値があるかどうかが、今のわたしの仕事を選ぶ基準ね」
アン:「わたしは“全力を尽くさない”ということに耐えられないの。役者として成功し、それが何十年も続くなんて非常に稀なこと。わたしにはそれが今後も続くかなんて決してわからないし、絶対に続くと想定することもない。いつかわたしが消えてしまったとしても、『ああ、彼女は怠け者だったからね』とは誰にも言われたくない。それ以外の理由は、わたしにはどうしようもないことかもしれないけど。でも、一生懸命仕事をし、周りから一緒にいて気持ちの良い人間だと思われるように努めることは、自分でコントロールすることができるから」
「一緒にいて気持ちの良い人間」という言葉を聞いたメリルが「それは日によるわね」とミランダよろしくツッコむと、アンは大爆笑。「確かに! でもそれはみんなそうでしょ(笑)。だから、また現場に呼んでもらえるという光栄な機会こそが、わたしのモチベーションなの」と笑顔で語っていた。(編集部・市川遥)
映画『プラダを着た悪魔2』は5月1日に日米同時公開


