飯豊まりえ、「岸辺露伴」新作は「京香は京香であることがゴール」

荒木飛呂彦の漫画に基づく実写ドラマ「岸辺露伴は動かない」シリーズの新作で、飯豊まりえ演じる編集者・泉京香を主人公にした「泉京香は黙らない」が、5月4日にNHK総合で放送される(夜9:30~10:30※NHK ONEで同時・見逃し配信)。ドラマ・映画の全作品に登場するほど人気キャラに成長した泉京香について、飯豊があらためてその反響を振り返ると共に、本作の撮影の裏側を語った。
「泉京香は黙らない」は、荒木飛呂彦による「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフ漫画・小説を、高橋一生主演で実写化したドラマ「岸辺露伴は動かない」シリーズの初となるオリジナルストーリー。相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊な力を持つ漫画家・岸辺露伴(高橋一生)の担当編集である泉京香(飯豊)が、売れっ子新人漫画家・西恩ミカ(堀田真由)を巡る怪異に巻き込まれていく。原作者の荒木が脚本協力として参加し、脚本・演出を映画『宮松と山下』(2022)や『災 劇場版』(2026)などで知られる監督集団「5月」の関友太郎と平瀬謙太朗が務める。
いつも「最後かもしれない」という思いで
泉京香は、原作漫画では数話のみの登場だが、実写作品ではドラマ「岸辺露伴は動かない」(2020・2021・2022・2024)、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(2023)、『岸辺露伴は動かない 懺悔室』(2025)の全てに登場。飯豊は、2020年のドラマ1期の反響をこう振り返る。
「人気作品の原作ものをやらせていただくことには緊張感がありますし、あるべきだとも思うのですが、思った以上に肯定してくださる声が多かったので驚きました。自分なりにハードルの高さを自覚し、リスペクトを持って臨んだので、その思いが伝わったのであればうれしいです。ただ、自分としては新作のお話をいただくたびに毎回、“この作品が最後かもしれない”というつもりでやらせていただいています」
その京香がついに主人公として描かれることとなった。京香は、露伴にとっては“うざったい”存在ではあるが、一方で京香がふと漏らす一言が思わぬヒントとなったり、意図せず活躍している。京香の特性について、飯豊は「鈍感力」だと分析する。
「陰と陽で分けると陽なのかなと思いますし、底上げ力というか、どんな陰の部分も一瞬で晴らしてしまうような明るさがある。そういう役割があるかなと思ってこの7年、演じていました。強運もあると思いますが、露伴先生と同じものを見ているのに無傷だったり、気づかなかったりと鈍感なところは大きいですよね。でも今回は“直感力”がポイントです」
京香は京香であることがゴール
京香が主人公になったことで、演技面ではこれまでと変わらないことを意識しつつ、新たな一面も見せるという。
「あえていつもと変わらないことを意識しました。主役だからといって大きなリアクションをしたり張り詰めてシリアスになったりするのは求められていないと思っていましたし、あくまでも京香は京香であることが今回のゴールだと思っていたので。逆にこれまでと違うところは、いつもは怪異に気づかないで終わっていたのが、対峙しなければならなくなるところ。そこに対する責任のようなものはいつもと違いました」
なお、「変わらない」こととしては美術やセットなどディテールの作り込みはこれまでと同様、徹底されている。
「(漫画家の西恩)ミカの書斎などもすごかったです。いつも驚かされるのですが、「岸辺露伴」の現場では映らないシーンであっても、本棚にその時の怪異にまつわる資料や本がビッシリ詰まっていたりする。それは今回も同じで、意味がないところや、つじつまが合わないところは一つもないんです」
監督集団「5月」だからこそ可能になること
演出を務める関友太郎と平瀬謙太朗とは、2023年NHKで放送されたオムニバスドラマ「あれからどうした」の一編「虚実の社員食堂」でも組んでいるが、一人ではなく二人体制だからこそやりやすさがあると飯豊は話す。
「お芝居のことはある程度任せてくださって、その中で舵をきってくださる印象です。お二人でやられているので、コミュニケーションは密にとられていました。一人だったら、自分のやりたいことはある程度自分の中で考えると思うのですが、二人だと倍になる。今回は初めてのオリジナル作品でもあるので“ここはどう思いますか?”と私にも一つ一つ相談しながら進めてくださるので“泉君を一緒に作っている感”がすごくありました。あとは、観察力がすごいです。セリフのちょっとした語尾にも目を配られていて。例えば“●●じゃないですかぁ”といった京香らしい言い回し。きっと今までの作品を観て研究してくださったんだと思うのですが、台本でも泉君らしさが緻密に表現されていて、クオリティーが高かったのでどんな映像に仕上がるんだろうという喜びがありました」
なお、今回とりわけ共演シーンが多いのが、京香が担当する売れっ子新人漫画家・西恩ミカ役の堀田真由。それは二人にとってかなり強烈な体験になったようだ。
「お互いに、“これから共演する機会があったとしても、こんなふうに対峙することは後にも先にもないですよね”とお話ししていました(笑)。ほかにも“お芝居でこんなに顔を近づけることってあまりないですよね”とか。“あります?”“ないです~”といったふうに、楽しみながら撮影していました」
「これがもう少し後でも前でも難しかった、いいタイミングだったように思います」と今回の巡り合わせを喜ぶ飯豊。「“もし京香が怪異に巻き込まれたら?”というのは、2020年から露伴シリーズを積み重ねてきた今だからこそできたことなんじゃないかなと思います。原作では数話にちょっとしか出てこないので、始めた当初は手がかりがとても少なくて。ただテレビ9本と映画2本やってきて、自分の京香というキャラクターへの向き合い方が、今一番しっくりきているんだと思います」といい、京香を主人公にした今回の企画に手応えを感じているようだ。
「「5月」のお2人は今回の制作過程で企画のアイディアをたくさんストックできたとおっしゃっていて、お話をチラッと聞いたらすごく面白そうで。機会があったら、またお二人とやってみたいですね。でも『泉京香は黙らない』は、あくまでスピンオフですので、やっぱり一番は露伴主人公の本編を渡辺一貴監督で実現できたらいいなと思います。なお本作は、京香が主人公だからといって“油断”せずに見ていただけたらと思います!」と視聴者に呼びかけていた。(取材・文:編集部 石井百合子)


