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『アギト-超能力戦争-』超能力者の演出&設定秘話 渋川の卓球ラケットは田崎監督発案だった

田崎監督のアイデアが反映された超能力者・渋川
田崎監督のアイデアが反映された超能力者・渋川 - (C) 2026「劇場版アギト」製作委員会 (C) 石森プロ・東映

 「仮面ライダークウガ」(2000~2001)に続く、平成仮面ライダーシリーズ第2作「仮面ライダーアギト」(2001~2002)。監督の田崎竜太(※崎はたつさきが正式表記)は、パイロット(第1&2話)をはじめ、合計10本のエピソードで監督を務めたほか、現在に続く夏季の定番プログラムとなった『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』、そしてテレビスペシャル「仮面ライダーアギトスペシャル 新たなる変身」とメイン監督としての大役を果たした。放送25周年を迎えた今年、仮面ライダー生誕55周年記念作品として誕生した新作『アギト-超能力戦争-』を完成させた田崎監督がインタビューに応じ、25年ぶりに描いた「アギト」の物語の裏側を語った。(以下、本編の内容を一部含みます)

【動画】「アギト」オリキャスが25年分の濃厚トーク!『アギト-超能力戦争-』座談会

時代の波と戦ってきた平成仮面ライダーシリーズ

氷川誠不在のGユニット - (C) 2026「劇場版アギト」製作委員会 (C) 石森プロ・東映

 「平成仮面ライダーシリーズは、『クウガ』で成し得たことが置き土産となって『アギト』で花開いた」と語る田崎監督。番組自体、好評を以て迎え入れられ、映画やテレビスペシャルなど、大きな広がりを見せたが「かつての子ども番組は、今よりも子どもだけのためのものでした。それをもう少し大人の鑑賞に耐え得るものにしようと始まったのが平成ライダーで、ブームと言うのも口はばったいですけど、『アギト』は視聴率もいい数字が出ていたし、子どもはもちろん、大人の方も熱狂してくださったことを覚えています」と当時の反響を振り返る。

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 一方で、実際の製作体制に目を向ければ、東映も含めて映画会社が作るテレビ番組は、フィルム撮影が基本であり、かつては「テレビ映画」と呼ばれた時代もあった。だが、「フィルムからビデオへの脱却という流れがあったんです」と述べているように、この時期を前後してドラマ業界では、従前の撮影スタイルは大きな岐路に立たされていた。当時はまだ画面比率4:3のアナログテレビの時代。そんな中、「クウガ」や「アギト」では16:9で上下に黒味を入れたレターボックス形式で放送されたのはいわば過渡期であり、リアルタイムの視聴者ならばその辺りのことも記憶しているかと思う。

 「たとえば時代劇。局制作のNHK大河ドラマは元からビデオでしたが、東映でも『水戸黄門』はビデオ撮影に切り替わり、『暴れん坊将軍』はその波に飲まれる前に終わった。東映のテレビはずっと16ミリフィルムで撮ってきたけど、前作の『クウガ』はハイビジョン撮影でSD(※Standard Definitionの略。アナログ放送だった当時の標準画質)にダウンコンバート、『アギト』はSD撮影と、現場的には大きな変革の時期でした。フィルムからビデオフォーマットになったことで、やれることが増えた部分、減った部分の両方があり、何もそれは子ども番組に限ることではなく、いろいろな番組がこの時代の波と戦っていたと思います」

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 以後、放送がアナログから地デジへと移っていく中、田崎監督は平成仮面ライダーシリーズで文字通り“戦い続け”、平成から令和のテレビシリーズに限ってみても、通算19作品に参加。そのうち、「龍騎」「555」「電王」「キバ」「ディケイド」「W(ダブル)」「オーズ/OOO」「ドライブ」「ビルド」「ジオウ」「ガッチャード」と「アギト」も含めれば12作品でパイロット監督を務め、シリーズを牽引してきた。

真正面から取り組んだ超能力バトル

個性あふれる超能力者が多数登場 - (C) 2026「劇場版アギト」製作委員会 (C) 石森プロ・東映

 そして、25年の歳月を経て再び巡り合うこととなった「アギト」であるが、「こうした周年企画で成り立つ作品は、特撮以外では意外とないんです。その原動力が何かと言えば、やっぱりお客さんが熱く支持してくれることです。かつて子どもの頃に観た作品を大人になっても愛し続けてくれている。そこが大きく違うんじゃないかと思います」とその潮流を分析する。

 「アギト」テレビシリーズでは、“不可能犯罪”と呼ばれる人間では決して成し得ない殺人事件の数々が描かれてきたが、本作での超能力者による犯罪にもどこか通じる要素を感じる。「劇中、小沢澄子の『不可能犯罪……こんなのは25年ぶりね』というセリフがありますが、当時のアギトでもビルの床が抜けて転落死するとか、そういった描写をやっていたんですよね。初代『仮面ライダー』も怪奇スリラー色が強かったし、今回は大人のお客さんも想定していたので、ややハード目の描写で攻めてみました」

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 これもテレビシリーズだが、物語が進むと共に不可能犯罪を繰り広げるアンノウンの目的が、アギトの力に覚醒しつつある超能力者の抹殺であることが明かされる。そこがテレビシリーズと本作を繋ぐ要素であり、「アギト」ファンであれば『超能力戦争』のタイトルからも伝わるかと思う。

 「(エグゼクティブプロデューサーの)白倉伸一郎さんと『超能力を扱った映画は日本には少ないよね』と話をしていて、この作品では超能力の描写にガッツリ取り組んでみました。たとえばルージュ(演:岩永洋昭)という超能力者は、人間の心臓を取り出す能力を持っているのですが、その能力に対して、どう対抗すれば勝つことができるのか? そういったところに重きを置いて演出したつもりです。ただ、『超能力戦争』のタイトルは後から決まったものです。撮影時にはまさかこうしたタイトルになるとは思ってもみませんでしたので、真正面から取り組んだ結果、ちょっとしたご褒美をいただいたような気分です」

岩永洋昭ふんする超能力者・ルージュ - (C) 2026「劇場版アギト」製作委員会 (C) 石森プロ・東映

 田崎監督が先に述べたように、生きた人間に触れることなく心臓を取り出す、ガラスドーム内の人をミキサーの如く粉砕するなど、超能力によるさまざまな事象が描かれるが、それを映像として具現化するのは田崎監督の手腕である。「物体を自由に動かせるサイコキネシスで、人間を自由に動かせるとしたら、どんな殺し方があるかな? と考えました。“人間ミキサー”はロケ地を見て、面白そうかなと思って、つい調子に乗り過ぎてしまい、PG-12になってしまいました」とその内幕を明かす。

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 劇中に登場するさまざまな超能力は、脚本に書かれていたものが大半であるが、青島心演じる渋川が繰り出す稲妻をまとった卓球は、田崎監督が実際に演出する上で加えたアイデアだという。

 「脚本では単に稲妻を放つだけでしたが、もう少し膨らませたいと思ったんです。それで思い出したのが、藤子・F・不二雄先生のマンガ『エスパー魔美』。魔美はテレポーテーションする際に自分の体に仁丹をぶつけるけど、何かそういった依代がひとつあったら面白いかなと。それで、渋川は卓球のラケットを使うことで超能力を発揮できる設定にしました。逆に言えばラケットがないと超能力を使えず、それがまた能力を封じる側の手立てにもなるかもしれない。そうした意図を汲んで、アクション監督の藤田慧くんが上手く見せ場を構築してくれました」

監督陣のアイデアが詰まった仮面ライダーG7

氷川誠が装着する仮面ライダーG7 - (C) 2026「劇場版アギト」製作委員会 (C) 石森プロ・東映

 本作では、主人公・氷川誠(演:要潤)が装着する新たな「仮面ライダーG7」も話題を呼んでいる。「G3やG3-Xが平成の時代に生まれた装着系の仮面ライダーだったのに対して。令和の時代に生まれたのがG7です。ドローン機能など現代ならではのスペックを生かした活躍を存分に見せたいと思いました」

 平成仮面ライダーシリーズは、一部例外はあるものの特撮監督、アクション監督、そしてドラマ部分を撮る本編監督と3人の監督が立ち、彼らとの協働作業でひとつの作品が完成に至る。仮面ライダーG7には、それぞれの監督のアイデアが注ぎ込まれ、その魅力が描き出された。

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 「特撮監督の佛田洋さんもアクション監督の藤田くんも手ぐすね引いて待っていて、まさに各々がやりたいことを出してくれました。たとえば変身シーンは、各パーツが氷川誠に次々と装着されていき、仮面ライダーG7になるわけですが、佛田さんは、どこからどこを1カットで見せるのか、緻密な計算のもとにやっていらして、素晴らしい仕事ぶりでした。またアクションを仕切ってくれた藤田くんは新進気鋭のアクション監督で、予めスタントマンを使ってiPhoneで撮影したVコン(ビデオコンテ)を用意するやり方をしていて、これは当時はなかった手法です。Vコンの段階でアイデアがぎっしり詰まっていて、実際の撮影が楽しみで仕方ないと思わせるものがありました」

 なお、京都で撮影された本編(※ドラマパート)に対して、アクションシーンは大泉(※東映東京撮影所)で撮影されており、「東映の長い歴史を振り返っても、意外と東西の撮影所が力をあわせて撮った作品は少ないと思うんです」と本作の独自性を強調する。

 またアクションにおいて、田崎監督が拘った部分がある。「どういう戦いを見せるかを考えた際に、描かれてない25年が浮かんできてほしかった。氷川誠と小沢澄子(※Gユニットの管理官)の間で、開発やテストが繰り返し行われていたかもしれないし、アンノウンでも超能力者でもない何かと戦った事案もあったかもしれない。仮面ライダーG7の戦いを通じて、そうしたスクリーン外をお客さんが感じ取ってくれたらと思います」

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ライバルはかつての自分

『アギト-超能力戦争-』メインビジュアル - (C) 2026「劇場版アギト」製作委員会 (C) 石森プロ・東映

 一口に「仮面ライダーの映画」と言ってもさまざまな形態がある。本年であれば『仮面ライダーゼッツ&超宇宙刑事ギャバン インフィニティ Wヒーロー夏映画2026』のように併映作品のある夏映画がプログラムピクチャーとして定番化している他、近年はVシネクストの期間限定上映も話題となっているが、本作は完全に単独での興行であり、従来とは大きく性質が異なる。田崎監督自身も「現行番組の映画ともVシネクストとも全く違っていて、あくまで1本の映画として観ていただく作品。自分としても、いろいろな意味で勝負すべきだと思って取り組みました」と襟を正す。

 近年も「仮面ライダーガッチャード」「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」でメイン監督を務めるなど、第一線で活躍し続けている田崎監督。そのキャリアを遡ると、多数の業界人を輩出している早稲田大学の特撮サークル「怪獣同盟」の出身で、いわば”好き”を仕事にしたと言える。プロになってなお失わずにおきたいファン気質はあるのだろうか。

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 「やはり『これが面白い』と思える気持ちが根っこにないと、この仕事は続けられないと思います。常に面白さを感じることがとても大事で、さらに言えば、面白くて夢中になれるものがある人には自ずと人が集まって来るんです。これは佐藤健くん、瀬戸康史くん、竹内涼真くん、北川景子さんら東映特撮の卒業生から僕自身が学んだことでもあります。彼らは現場で喜怒哀楽をいかに表現するか、本当に楽しそうに芝居をしていたんです。とにかく楽しくて仕方がない様子で、観る人もまたそれを求めていたところがあったと思います。そんな彼らに対して、30代の自分は井上敏樹さんの脚本をいかに楽しんで撮っていたのだろうかと思いを馳せることがあります。そういう意味では、今回の『アギト-超能力戦争-』は、30代の自分をライバルにして撮った作品です」と力を込めて語っていた。(取材・文:トヨタトモヒサ)

映画『アギト-超能力戦争-』は全国公開

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