「仮面ライダーアギト」要潤、氷川誠は「原点であり今も共に歩く存在」25年後も貫く不変の正義
仮面ライダー生誕55周年記念映画『アギト-超能力戦争-』で、主人公・氷川誠を演じる俳優の要潤(45)。平成仮面ライダーシリーズ第2作「仮面ライダーアギト」(2001~2002)で同役を務めてから、25年ぶりにシリーズ帰還を果たした。完全新作として紡がれる「アギト」のその後の物語で、要はいかにして氷川誠を再演したのか。「過去の作品というより、今も共に歩いている役」と話す要が、「アギト」25周年の思いや、新作映画におけるキャラクターとの向き合い方について語った。
【動画】要潤、氷川誠との25年間&逆オファーだった新作の裏側
「仮面ライダーアギト」は、すでに仮面ライダーである男(=津上翔一)、仮面ライダーになろうとする男(=氷川誠)、仮面ライダーになってしまった男(=葦原涼)の三人の物語を軸に、人間と謎の生命体・アンノウンの戦いを描いた特撮ドラマ。氷川誠は、警視庁の未確認生命体対策班に所属する警察官で、小沢澄子率いる「G3ユニット」が運用する特殊強化装甲服を装着し、仮面ライダーG3として戦った。
「アギト」完全新作、きっかけは“逆オファー”

あれから25年。「仮面ライダー」シリーズに帰ってきた要は、「自分にとっては1つの挑戦です。当時観てくださった方が大人になり、私も年齢を重ねてきた中で、全員が全身全霊で挑んだテレビシリーズや劇場版を超えられるのかどうか。頭の中で試行錯誤しながら撮影しました」と現在の心境を明かす。
氷川誠は、要が俳優として初めて出会ったキャラクターだ。テレビシリーズ当時は「氷川誠を演じるというよりも、とにかく環境に慣れる、お芝居をうまくやることを考えていました」と俳優として食らいつくことに必死だった。
その後、さまざまな作品を経て、再び氷川誠と向き合った要は「25年が経ち、私も俳優としてキャリアを重ねました。『アギト-超能力戦争-』は、氷川誠をどのように演じるのか、改めて考えるいい機会になりました」と充実感をにじませる。
要曰く、『アギト-超能力戦争-』の企画はオリジナルキャストの逆オファーがきっかけだったという。
「1年半ぐらい前、『仮面ライダーアギト』の監督やプロデューサーを含めた食事会があり、そこで私たちから『そろそろ(新作)やりませんか?』とお話をさせていただきました。当時は実現するなんて思ってもいなかったのですが、プロデューサーたちが真剣に捉えてくださり、そこからプロット、脚本、私が変身する新しい仮面ライダーのデザイン設計が一気に進みました」
「仮面ライダーアギト」を応援し続けているファンへ新作を届けたい。その気持ちは、キャスト陣の心の中で年々高まっていた。「みんなそれぞれ思っていたのですが、『今はそのタイミングではない』と口に出せなかったんです。ただ、ファンのみなさんは大切にしたいですし、応援してくれている方々もSNSでしっかり認識しています。25年が経過し、キャストの年齢的にも(当時のキャラクターを演じることが)もしかしたら最後になるかもしれない。誰一人欠けることなく賛同したことで、実現した作品だと思っています」
「絶対に変えてはいけない」氷川誠の精神
新作映画の脚本は、テレビシリーズと同じく井上敏樹が執筆した。不器用ながらも、誰よりもまっすぐで正義感が強い氷川誠のキャラクター像は、25年後の新作映画でも変わらない。
「氷川誠は、25年経っても変わらない部分があります。ある意味、変わってはいけない部分が大半だと思います。正義感が強く、まっすぐすぎる性格で、警察として世の中を平和に導く使命を感じています。そこは、絶対に変わってはいけない。観客のみなさんもそう感じるはずです」
一方で、氷川が装着するGユニットには大きな変化が見られる。本作で装着する最新鋭の特殊強化装甲服=G7は、テクノロジーの発展によって自動装着に進化し、メインウェポンも銃から刀へと変わっている。
「僕にとって(Gユニットは)すごく特別な思いがあるツールです。最先端の技術が備わっていて、変身シーンの撮影では、テレビシリーズよりも緊張しました。『仮面ライダー』シリーズにおいて、変身シーンは作品の肝なので、絶対に失敗はできない。撮影方法もかなりこだわっていたので、そこに絶対ついていかなければという緊張感をもって撮影しました」
蘇る『PROJECTG4』の記憶
メガホンを取ったのは、テレビシリーズや『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECTG4』を手がけた田崎竜太監督(※崎はたつさきが正式表記)だ。久々のタッグとなった要は、「『PROJECTG4』当時の田崎監督の『何かを成し遂げるんだ!』というがむしゃらな思いが、年月を重ねて、今回はすごく洗練されたものに変わっていました」と本作の撮影を振り返る。
「撮影現場もすごく穏やかで、時間も潤沢な状態だったので、ワンカットずつ綺麗に積み重ねていきました。25年前はとにかく撮りまくるという感じで、全員が必死になって撮影していたのですが、今回はじっくりと時間をかけて、シーンを構築していくイメージでした」
田崎監督が手がけた『PROJECT G4』では、仮面ライダー史に残る屈指の名シーンも誕生した。仮面ライダーG3-Xと仮面ライダーG4の死闘が描かれたクライマックスシーン。装着員の水城史朗(唐渡亮)が絶命してもなお立ち上がるG4に、氷川は「もういい…もういいだろ!」とトドメの一撃を与えた。このセリフは台本にはなく、要のアドリブによって誕生したことは広く知られている。
「ああいう気持ちになるシーンは、全ての条件が揃わないと誕生しないんです」と要は改めて当時を振り返る。「私が『こうやりたいです』と言っても、監督が『違う』と言ったら実現しません。『仮面ライダーアギト』のメンバーは、当時から全員が同じベクトルを向いていたので、私が氷川誠について深く考え出してから半年が経ったあの映画の撮影で、全てのタイミングが合わさってふと降りてきたのがあのセリフだったんです」
俳優・要潤の土台を作った氷川誠
要にとって、「仮面ライダーアギト」は「間違いなく代表作」だという。「私の俳優像の土台を作ったのも氷川誠ですし、キャリアの原点も氷川誠です。今でも『仮面ライダーですよね?』『仮面ライダーを見て育ちました』とおっしゃってくれる方がたくさんいます。なので、氷川誠を演じ終えたのではなく、今も共に歩いている感覚です」
「仮面ライダーアギト」で出会った仲間も、要にとってはかけがえのない存在となっている。「25年前に出会って、今も定期的に会う仲間はなかなかいません。G3チームの中で、1人でも欠けていたら、多分『またやりましょう』とは言わなかったと思います」
生誕55周年を迎えた仮面ライダーシリーズ。「仮面ライダーアギト」もその歴史の1ページとして、これからも語り継がれていく。「私にとって『仮面ライダーアギト』は切っても切り離せない作品です。当時観ていた方は大人になり、結婚してお子さんが生まれていたり、いろいろな人生の変化があると思います。そういった方々が、私たちが今回撮影した時に感じたように、当時の姿がフラッシュバックすると思います。人生において変わらないものは、きっとみなさんも持っているはずです。この映画を観て、そういったものを思い出していただき、もしもお子さんがいらっしゃったら、それを次世代に伝えていく。そういった作品になったら嬉しいです」(取材・文:編集部・倉本拓弥)
映画『アギト-超能力戦争-』は4月29日(水・祝)より全国公開


