『リップヴァンウィンクルの花嫁』公開10周年イベントにファン集結 キャストの質問に岩井俊二監督が回答

岩井俊二監督が黒木華を主演に迎えた映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』(2016)の劇場公開から10周年を記念した特別イベント「10th Anniversary Special Screening」が13日に丸の内ピカデリーで行われ、登壇した岩井監督が、黒木華、Cocco、綾野剛ら出演者たち、さらに脚本家の野木亜紀子、森七菜など本作の“ファン”から寄せられた質問に答えた。
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2016年3月26日に公開された本作は、ふとしたきっかけで“普通の人生”から道を踏み外してしまった世間知らずのヒロイン・七海(黒木)が、周囲に流されるまま、さまざまな出会いと経験を重ねて生きていく姿を透明感あふれる映像でつづったドラマ。本作の主人公・七海の誕生日となる4月1日には“七海誕生祭”と題し、ライブ配信や上映会が毎年のように開催されるなど、多くの観客に愛され続けている。
上映後、ステージに立った岩井監督は「10年前に公開した映画ですが、七海誕生祭などで皆さんと交流を続けてきて。自分の中でも特別にいとしい映画だなと思っております」と感慨深げな様子であいさつ。
この日は、本作のキャスト陣からのビデオメッセージや質問なども寄せられた。まず登場したのは安室行舛(あむろ ゆきます)役の綾野剛。「岩井さんが今後描きたい題材は?」「映画に求めていることは?」「(安室が連絡をとるとされる劇中に登場する謎のアカウント名)ランバラルは岩井さんなのでは?」という質問が。
それに対して、岩井監督は「やりたいものはいろいろあって。時代劇的なものもやってみたいし、子どもの頃からやりたかったネコやネズミなど、動物ものをやってみたいですね」と意欲を見せる。また、映画に求めていることとして「8ミリフィルムの復刻」を挙げ、「ぜひ使える環境にしてほしい。8ミリは楽しいですよね」とコメント。また、劇中に登場する謎のアカウント「ランバラル」の正体については、「『リリイ・シュシュのすべて』の時はパスカルを名乗っていましたけど……ご想像にお任せします」と煙に巻いた。
続いて、Coccoからのビデオメッセージも。「あの作品に参加させていただいたのが夢のようです。竜宮城に行ったような感じで。岩井監督の映画もファンタジックであり、リアルであり、そういう映画が大好きな人たちに愛されて、そんな作品に関われたことはありがたく。まだ信じられません。わたしCoccoは沖縄で余生を過ごしているので、出演者の皆さんにもいつ会えるかわからないけど、沖縄で楽しく暮らしているから……皆さんまた来週!」とユーモラスにコメントしたCoccoからの質問は「パイナップルは好きですか?」というもの。
会場はそのコメントにドッと沸いたが、岩井監督は「パイナップルは子どもの頃から好きです。酢豚に入っているのを嫌がる人もいますけど、僕は好きですね」と笑ってみせた。
そして「こんな美しい黒木華を残してくれてありがとう!」と称賛する野木亜紀子のコメントに続き、森七菜からの「30年以上にわたり映画に向き合うことができる原動力は?」という質問も。
それには「18(歳)から映画を撮り始めて、その時に思ったことが、一生かかっても“ここがゴールだ”というところにたどり着きそうにないなと。だから全然飽きないですね。自分の目指す山の頂があるとしたら入り口くらい。『HUNTER×HUNTER』でいうと、暗黒大陸にたどり着けないクラピカくらいの心境ですね」とユーモラスな表現で返答した。
そして最後は、主演の黒木からのビデオメッセージ。「10年もこの映画のことを忘れないでいてくださった皆さまにも、感謝したいと思います」と呼びかけた黒木は、「わたしが本当に大好きな映画を撮った岩井監督に、まさか自分が主演で映画を撮ってもらえるなんて、自分にとっては奇跡というか、ありがたいなと。今、思い返してもすごく思います。すごくしあわせな映画体験をさせていただきました」と述懐。
さらに「自分が岩井監督の『リリイ・シュシュのすべて』に影響を受けて、すごく大事な作品になったように、『リップヴァンウィンクルの花嫁』も皆さまにとってそういう作品になったらいいなと思います」としみじみと語ると、「また10年後に、バイバイ!」と観客に呼びかけた。
最後のコメントを求められた岩井監督は「自分の作品が数ある中で、皆さんが誕生日をお祝いしてくださる映画というのは『リップヴァンウィンクルの花嫁』しかない。ここまできたら、これからもまだまだやろうと考えておりますので、これからもこの映画をご愛顧いただけたら」と会場に呼びかけると、会場は大きな拍手に包まれた。(取材・文:壬生智裕)
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』<4Kアップグレード版>は日本映画専門チャンネルにて8月22日(土)よる9時30分よりTV初放送


