『グレムリン』ギズモは可愛いままで…ジョー・ダンテ監督、スピルバーグの要望に慌てた42年前「とにかく大変だった」

映画『グレムリン』で主演を務めたザック・ギャリガンと監督のジョー・ダンテが12日、東京ドームシティ プリズムホールにて開催中の「東京ホラー特区!!2026」のスペシャルステージに出席。1984年に公開され、世界中で人気を博した同作の貴重な裏話を披露した。
『グレムリン』は、主人公ビリー・ペルツァー(ザック)にクリスマスプレゼントとして贈られた不思議な生き物モグワイが、凶悪な怪物グレムリンとして増殖するさまを描いたSFパニック映画。ジョー監督は「何十年も前にあの映画を作った当時、まさか今こうして東京に来てこの映画について語り合っているとは、誰一人として想像していませんでした。当時は映画の寿命が非常に短い時代でしたから」としみじみ語ると、ザックは「『グレムリン』を撮影していた当時、私はこの作品を、実際のようなカートゥーン風のホラー・コメディーというよりは、アクション映画を撮っているような感覚で演じていました。だから最初に試写を観たとき、コミカル調だったので驚いたことを覚えています」と当時を懐かしむ。
製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグ、脚本はクリス・コロンバスが担当した。ジョー監督は「当時はとにかく大変でした」と笑い、「これほどの規模のパペット映画など、それまで誰も作ったことがなかったから。しかも撮影開始の直前になってスピルバーグが『ギズモは劇中でグレムリンに変身させず、可愛いモフモフの姿のまま残してくれ』と言い出したのです。直前の変更に『どうしよう』となりました。元々は最初の20分ほどでグレムリンに変身する台本だったので、急遽の対応が非常に大変でした」と裏話を披露する。
ザックも「大変だったのは、ギズモを手で持っているシーンです。パペットを操作するためのワイヤーがたくさんあり、私の腕から服の中を通ってズボンの裾から出たものを技術スタッフが動かしていました。ギズモの演技がOKだったテイクが使われるため、自分の演技が理由でNGにならないよう、毎回同じクオリティーの演技を維持しなければならないのが非常に大変でした」と振り返り、俳優としても非常に難易度の高い作品だったという。
本作には数々の名優たちが出演している。ザックは「フィービー・ケイツは若く、美しく、才能とカリスマ性があり、クルーを含めて現場の全員が彼女に惚れ込んでいたと思います。彼女は『初体験/リッジモント・ハイ』で共演歴のあったジャッジ・ラインホルドとも息が合っていました。監督がスコット・ブラディをはじめとする素晴らしいベテラン俳優を集めてくださり、映画2本目だった私にとっては非常に勉強になりました」と俳優としても大きな影響を受けた作品だったことを明かした。
公開当時の反響についてジョー監督は「製作資金を出資したスタジオ側が『グレムリンが多すぎる』と言ってきたんです。するとスピルバーグが、『じゃあグレムリンを全員カットして、タイトルを「ピープル(人間たち)」にしましょうか』と言ったのを覚えています」と語ると「でも観客からは大人気でした。『ゴーストバスターズ』と同時公開で、全米では『ゴーストバスターズ』が優勢でしたが、ニューヨークを揶揄する内容だったため、ニューヨークでは『グレムリン』の方が上だったんです」と証言していた。
ザックは「私にとっては初めての本格的な大作主演映画でしたので、世間がどう反応するのか恐怖でいっぱいでした。もし不評なら、俳優としての将来が危うくなると思いましたし、逆に好評だったとしても、当時19歳の若者にとっては『自分の人生がどう変わってしまうのか』という未知の恐怖がありました」と吐露すると「公開初期に素晴らしいレビューを多くいただけたことは大きな救いでした。特に当時の『タイム』誌で、リチャード・コーリスという批評家が素晴らしい絶賛レビューを書いてくれたのです。ニューヨークのニューススタンドで『タイム』誌を買ってその場で読み、興奮のあまり走って家に帰ったのを鮮明に覚えています」と初々しい姿が想像できるエピソードを明かしていた。(磯部正和)



