朝ドラ「ブラッサム」主人公の1980年代をなぜ加賀まりこが演じたのか

石橋静河が主演を務める2026年後期放送NHKの連続テレビ小説第115作「ブラッサム」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか)の放送が始まった。作家の宇野千代をモデルに、岩国市に生まれた主人公・葉野珠(はの・たま)の成長を描く本作だが、第1回の冒頭では、主人公・珠の1980年代役を演じる加賀まりこから物語が始まった。本作の制作統括を務める村山峻平に加賀の起用理由や、石橋と加賀で、晩年の珠を演じ分けた理由について制作サイドの意図を聞いた。
第1回は1980年代、晩年の珠から物語が始まった。村山は「加賀さんにオファーさせていただいてよかったなと思っています。我々としてはファーストカットで加賀さんから勝負したいという気持ちがあった。だからこのファーストカットは全身全霊を込めて撮影しました」と振り返った。
第1回の冒頭がこの始まりとなった理由はきちんとあり、村山は「主人公の珠はすごく困難が多い人。最終的にその困難を突き抜けていくことというところも大事で、今、苦しいということが、後々幸せの鍵になると思ってもらえるように、加賀さんの演じる珠のシーンから物語を始めたんです」と説明した。
珠を公私にわたり支え続ける秘書・藤川優子役の松たか子も冒頭から登場する。加賀演じる1980年代の珠との掛け合いの絶妙さが、今後の展開に期待を抱かせるが、村山は「ただただ幸せな晩年じゃない。いろんな局面でいろんなことがあった人なんだなと思わせていくリアリティが重要でした。いろいろあったけれど、今は幸せなおばあちゃんであるという説得力が、加賀さんにしかできないのではないかなと思ったのが起用の理由です。彼女自身が80代で、1980年代の珠の年齢に近い。そんな加賀さんが放つ説得力というのは段違いにすごいなと現場でも感じました」と加賀の演技に太鼓判を押した。
村山は「1980年代の珠がいないとそれまでの物語は成立しない。そこを考えて台本を練り上げています。石橋さん演じる主人公の先に1980年代の加賀さん演じる珠がいるんだという……。主演の方の年齢を少し上げたとしても、80歳代を演じるというのは、やっぱりなかなか大変で、表現的にも難しい。私としては、リアルな80歳代を生きている加賀さんにやってもらいたいという思いがあった」と1980年代の主人公役を別の俳優に任せた理由も振り返った。
村山は「加賀さん演じる珠の言葉は、表の意味も裏の意味もやっぱり深くなり、ドラマの道筋も広がるのではないかと思いました。加賀さんが最初に頭に浮かんで、そのままオファーをさせていただきました」と述べ、「加賀さんにオファーして、まだ役を受けるかお返事をいただく前に、ふと、『いい眼鏡見つけたわよ』とメールが来て。改めて加賀さんにこの役をお願いしたいと思いました。冒頭に加賀さんがかけていたあのメガネがまさに始まりだったと思います。大切なのは、ああいう大人になりたい、ああいう80代の葉野珠がいるということが、僕らの物語にとって、とても勇気づけられるという部分です。それを象徴したビジュアルが第1回の加賀さんのオープニングだと思っていただければ」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)



