映画『汝、星のごとく』のオープニングを原作から変更した理由

凪良ゆうのシリーズ累計発行部数200万部を突破する本屋大賞受賞作を、横浜流星と広瀬すずのダブル主演で映画化する『汝、星のごとく』(公開中)。本作は原作と異なるシーンから幕を開けるが、その理由を藤井道人監督が明かした(※一部ネタバレあり)。
『汝、星のごとく』横浜流星、広瀬すず、藤井道人監督らメイキング<9枚>
本作は、「美しい彼」シリーズや「流浪の月」などの小説家・凪良ゆうが2022年に発表した同名小説を、『余命10年』(2022)や『正体』(2024)などの藤井道人監督が映画化。風光明媚な瀬戸内のとある島と東京を舞台に、京都から島に転校し漫画原作者になる夢を持つ男子高生・青埜櫂(横浜)と、島で生まれ大好きな刺繍を仕事にしたいと願いながら母親と暮らす同級生・井上暁海(広瀬)の15年にわたる絆を追う。脚本は、ドラマ「きのう何食べた?」シリーズや来年放送のNHK大河ドラマ「逆賊の幕臣」などの安達奈緒子。
~以下、映画のネタバレを一部含みます~
原作が暁海の現在を描くプロローグから始まるのに対し、映画では机に向かう櫂の後ろ姿からにアレンジされている。とりわけ原作を未読の人にとってはそれがいつ、どこでの時点なのか? と引き込まれるフックにもなるが、もともと冒頭は別のシーンを想定していたと藤井監督は振り返る。
「冒頭のシーンはクランクイン直前ぐらいに自分が書き換えさせてもらったんです。当初は、第2章にある櫂の授賞式のシーンから始める予定でした。櫂がスピーチでこれまでの道のりを振り返る中で回想シーンが始まる……という。原作には櫂と暁海それぞれの視点が交互に展開され、往復書簡的な心地よさがあります。ですが、映画では約2時間の世界にフックを設ける必要がある。なおかつ、この作品は流星の20代最後、僕の30代最後の作品でもあるので、そうした“覚悟”みたいなものを意識的に残せたらいいなと思っていて」
横浜とは、共にブレイク前だった映画『青の帰り道』(2018)から、日本アカデミー賞で横浜が最優秀主演男優賞に、藤井監督が最優秀監督賞に輝いた『正体』(2024)まで、映画・ドラマ・CM・MVと多岐にわたって共闘してきた仲。本作では横浜が映画化を熱望するあまり原作者・凪良に手紙を送り、その横浜から藤井監督に「一緒にやりたい企画がある」と声がかかったという。
「流星の企画者としての覚悟と、櫂のモノづくりに命を燃やす覚悟みたいなものがシンクロする櫂のバックショットから始めるのがいいんじゃないのかと思い至ったんです。なので、トライしてみました」と藤井監督。
冒頭で机に向かう櫂は、果たしてどのような表情をしているのか。それが判明する時点では、多くが胸をしめつけられるはずだ。(編集部・石井百合子)



