『ゴジラ-0.0』山崎監督に憂いなし 前作大成功のプレッシャー一蹴「またすげぇ映画作りゃいい」

『ゴジラ-0.0』ダビング作業中の山崎貴監督
『ゴジラ-0.0』ダビング作業中の山崎貴監督

 スクリーンに投影されたゴジラの姿に合わせて、猛烈な咆哮が響き渡る。某月某日、東京・成城の東宝スタジオで行われた、ゴジラシリーズ最新作『ゴジラ-0.0』(ゴジラマイナスゼロ)の音を完成させるダビング作業が行われていた。ダビングルームの壁に掲げられていたのは「憂いを断つ」という標語。後日、初号を迎えた山崎貴監督に、その真意を聞くと、大成功を収めた前作のプレッシャーを跳ね返し「面白い映画を作る」ことに全力を注ぐ制作陣の姿が浮かび上がった。

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 広大なスクリーンが設置されたダビングルームでは、各々のマシンの前に音響スタッフが並び、その後ろにはプロデューサーをはじめとするスタッフが座る。もちろん、中央のデスクで映像と音を注視するのは山崎監督。その様子はさながら「宇宙戦艦ヤマト」の艦橋のようだ。改装によって、ネイティブから Dolby atoms 音響の仕上げが可能となった、TOHOスタジオの最新鋭ダビングステージも雰囲気に拍車をかける

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TM & (C) TOHO CO., LTD.

 しかし、現場の空気はあくまで穏やか。その雰囲気を作っているのは、間違いなく山崎監督自身だ。真剣な表情で映像を見つめ、音に耳を澄ませる一方、作業の合間には山崎監督が自ら冗談で場を和ませる。そのおかげか、現場は怒涛の仕上げ作業中とは思えないほどリラックスしている。

 ひとたび映像が走り始めると現場の雰囲気は一変。スクリーンに映し出される映像と音に向き合うスタッフたちの集中力は凄まじい。ほんの一瞬の環境音まで徹底的に細かく調整していく、完璧を突き詰めるスタッフの尽力で、緻密な「音」が組み上げられていった。

 誰からともなく意見があがり、自由な議論が交わされる風通しのいい現場。後日、初号を迎えたインタビューで、この雰囲気について尋ねると、山崎監督は「監督が偉いっていう考え方自体がちょっとおかしいんですよね」と語る。

 「最終的な決定権をもっているので偉くなりがちですが、監督だってスタッフの一人。いろんなことをジャッジしながらある方向にまとめていく『役職』だから、偉いとかは持ち込まない方がいいと思っているんです。もちろん、自由すぎてもいけないので最後は僕が決めさせてもらう。決定権は残しておくけど、そこに至るまでは、誰が何を言ったって別にいいじゃんっていうスタンスは昔からずっと変わらないですね」

 ダビングルームのあちこちに貼られた「憂いを断つ」という言葉も、音響チームが自主的に貼ったもの。前作が大成功を収めたからこそ、『ゴジラ-0.0』へのプレッシャーを打ち消そうと掲げた決意表明なのだろうか。

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 ただ、中心にいる山崎監督はどこまでもニュートラルだ。「前回の標語は『世界が待っている。』だったんですよ。そして今回は『憂いを断つ』。前作がうまくいきすぎたので、たぶん心配なんじゃないですか。パート2となるとどうしても比較されるので、何とかしてやろうっていう気持ちの現れなのかな。わかんないですけど」

 「前作はみんなの力はもちろんありますが、運もすごく良く働いて、とてもいい場所まで行けました。だからこそ、『1を超えなきゃ』みたいなことが目標になってしまうと良くない。それよりも、『また面白い映画を作る』ということだけを見ていこうと思っていました。だから僕自身に憂いはなくて『またすげぇ映画を作りゃいいじゃねえか』という気持ちです(笑)。いつものように作れば、きっといいものができるよっていう思いでいましたね」

 “憂い”を断ち切り作品に挑むスタッフの情熱と、純粋に「面白い映画」を追求する山崎監督のまっすぐな姿勢から生まれた『ゴジラ-0.0』は、きっと再び世界を驚かせる一本になるに違いない。(編集部・入倉功一)

映画『ゴジラ-0.0』は11月3日より全国公開

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