スピルバーグの物語を守りたい 『ディスクロージャー・デイ』脚本家が振り返る“盟友”との共同作業

『ジュラシック・パーク』(1993)、『宇宙戦争』(2005)、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008)などでスティーヴン・スピルバーグ監督とタッグを組んできた脚本家デヴィッド・コープが、最新作『ディスクロージャー・デイ』(全国公開中)の脚本作業を振り返りながら、30年以上にわたり映画製作を共にしてきたスピルバーグ監督が創造する物語について語った。
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SF映画の金字塔『未知との遭遇』などを手がけたスピルバーグ監督が、人類の存在に関するミステリーとその真実をめぐる攻防を描く本作。世界をひっくり返すほどの秘密と深い繋がりがある気象予報士マーガレット(エミリー・ブラント)が、その秘密を“開示”しようとする中で、謎の組織に追われることになる。
コープは、スピルバーグ監督から脚本のトリートメントを受け取り、2年間かけて脚本を執筆した。スピルバーグ監督が長年温めてきた物語に肉付けしていくうえで、コープが最も気をつけたことは何だったのか。
「どの物語でも異なりますが、今回の場合はスティーヴンの物語であり、彼が何年も頭の中で温めてきたものだったので、その物語を大切に守りたいと思ったんです。私は、彼がこの物語を語れるよう手助けするためにここにいるんです。ですから、自分のアイデアならそうするだろうというように、自分の考えで物語を乗っ取ってしまうわけにはいかないんです」
「良い仕事をするためには、物語に全身全霊で関わらなければなりません。だから、彼が伝えようとしている物語を尊重することに、最も気を配ったと言えるでしょう。そして、あまり慎重になりすぎないようになってくると、より良い仕事が出来るようになったと思います。自分に出来る最高の仕事をしようと努力するんです」
特に、衝撃展開が待ち受ける第三幕は「群を抜いて最も強力な部分」だったといい、スピルバーグ監督が書いたトリートメントですでに完成していた。
「その部分(第三幕)はすでに完成していたんです。それ以外の部分を読んでいた時の私の反応といえば、『これは面白い』『ここは少し長すぎる』といった具合でした。ところが、最後の10ページに差し掛かると、そこは映画で実際に描かれている内容とほぼ同じだったんです。もちろん、肉付けがなされ、登場人物も増え、ご存知の通り、その後も何百回も書き直しされています。でも、その部分は最初から即座に機能していたのです」
「それを見て、私は思いました。『ああ、この映画は成功する』と。なぜなら、結末がしっかり機能しているなら、それ以外の部分は後からいくらでも機能するように作り変えることができるからです。つまり、基本となる要素、土台が強固であるということを意味します。そうでなければ、結末がこれほど見事に機能することなどあり得ないからです。ですから、その部分は“初日”からすでに機能していましたし、今なお機能し続けているんです」
コープ曰く、スピルバーグ作品があまりにも象徴的すぎることが、脚本執筆の際に“枷”になることもあるという。「私が育った頃、13歳から22歳くらいの間に『ジョーズ』『未知との遭遇』『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』『E.T.』といった信じられないほど素晴らしく、私を形作った映画をたくさん観ました。でも、それらを再現することはできないんです。彼を真似ようとしているわけじゃありませんし、彼に自分自身を真似させるような素材を与えようとしているわけでもないです。それに、彼は決して自分自身を真似たりはしません。彼はその点には慎重なんです」
「もう一つは、書き始める時、監督が誰か分かっている時は、無意識のうちに、その人のために、その人に向けて書いているということです。その人がうまくやってくれると分かっているし、気に入ってくれると分かっています。スティーヴン・ソダーバーグや、ブライアン・デ・パルマのために書くときも書き方を変えます。無意識のうちに、彼らのスタイルを取り入れ始めるんです。そして、私はそれでいいと思っています。むしろ、それは賢明なことだとさえ思います。なぜなら、映画とは本来、共同作業であり、様々な視点が融合して生まれるものだからです。でも、その中で唯一、圧倒的な主導権を握っていなければならない視点が、監督の視点なんです」
本作を観たすべての観客に「人間同士の共感の必要性を感じてほしい」と話すコープ。「人類が成し遂げてきた価値あることはすべて、協力によって実現されてきたと思います。そして、共感は進化上不可欠なものです。私たちは他者を理解する必要があるんです」
また、コープは本作を「楽しい映画」と表現。「この映画は、観ていると『おっ、面白いアイデアだ』『このキャラはいいね』と思わせつつ、アクションシーンになると『彼は史上最高のアクション映画監督じゃないか』と思わせるんです。だから、観客のみなさんには『映画館で過ごす夜はなんて楽しいんだろう。是非また観に行きたい』と思ってほしいです」とアピールしていた。(編集部・倉本拓弥)



