「虎に翼」脚本・吉田恵里香「上げた声は消えない」 映画化に想い

第39回東京国際映画祭

梛川善郎監督、脚本の吉田恵里香
梛川善郎監督、脚本の吉田恵里香

 2024年に放送された伊藤沙莉主演によるNHK連続テレビ小説を、オリジナルストーリーとして映画化する『劇場版「虎に翼」』(2027年1月15日公開)のQ&Aが、第39階東京国際映画祭開催中の東京・有楽町で行われ、本作のメガホンを取った梛川善郎監督と、脚本の吉田恵里香が登壇した。

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 連続テレビ小説第110作「虎に翼」は、日本初の女性弁護士で、後に女性初の判事・裁判所長も務めた三淵嘉子さんをモデルにした主人公の寅子(伊藤沙莉)が、志を同じくする女性たちと道なき道を切り開いていくストーリー。本作ではドラマでは描ききれなかった明律大学女子部時代の新たなエピソードや、現代に繋がる寅子の“最後の事件”が描かれる。

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 第39回東京国際映画祭ガラ・セレクションに出品された『劇場版「虎に翼」』。梛川は「ドラマを作って、朝の放送が始まって、だいぶ後半、真ん中ついた頃くらいに、皆さんの感想をもらって『よかったね』って言いあっていたら、東宝のプロデューサーさんから、“映画にするというような選択肢はあるのか”と聞かれたんです」と映画化への経緯を紹介する。「そこから話が始まって、最後までなんとなく筋書きは分かりながらも脚本はまだ全部作っていなかった時点で、映画になっても、この後、寅子の何を描くのかって思いました。最終的に(内容の決定に)一年くらいかかりました」と笑顔を見せる。

 吉田も「お話をもらって嬉しかったけど、映画はポシャるので……」と初めは映画化実現に懐疑的だったといい、「私、いろんな映画の作品に関わって、結局世に出なかった台本が過去に何作もあって、ドラマ自体がつまらなくなったら、この話はなくなるなって。逆にいい感じで背中を押してもらえたと思います。そういう話があるんだったら、面白くして、このドラマは出し切らないといけないという思いが強くなったんです。映画のことはそのあとで考えよう。よりドラマに集中できるきっかけを作れた気がしました」と話す。

 客席とのQ&Aでは観客から「重いもの、重いバトンを受け継いだような気持ちでいるんですが、この映画にもらったバトンをどんどんつないでいくこと、社会が少しでも良くなるように、少しずつでいいからつないでいくということに対して、どういうメッセージを込められたのか」との質問も飛んだ。

 吉田は改めて「虎に翼」のコンセプトを振り返り、「この作品は声を上げることをすごく大事にしていて、さらに言うと対話を大事にしているドラマ。さらに言うと上げた声は消えないということをテーマにしているんです」と述べ、「私たちが歩いている道は、誰かが声を上げて舗装してなだらかにしてくれた道だと思っています。そのバトンを自分たちが引き継ぐこととか、歩んでいくことに、私たちも誰かの寅ちゃんになれるかもしれないしっていう気持ちをずっと持ち、その思いを込めて作っていた作品」と紹介する。

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 吉田はさらに「ただ、声を上げるって、言うのは簡単。でも、この生きづらい世の中で声を上げるということは、とてもリスクがあったり、しんどい、傷つくこともあるけれど、エンタメがその盾になったり、何かを代弁するものであってほしいと思っていた」と述べ、「この映画を通じて、そういえば『虎に翼』でこんなことあったよとか、皆さんが何かをするきっかけになってほしいなと思っていました。『虎に翼』でも描かれていたことだから、つまり 50年前にはもうあったってこと。何か一歩、半歩でも1ミリでも前に進むためのきっかけになるドラマになればいいなと思っていました」と話す。

 梛川も「バトンは重いんですけど、砂浜を歩くとか走ったりすると考えれば、それは大変なことだけど、誰かが踏んだ足跡の跡をたどっていけば決して重くないはず。なんかそういうつもりで撮ってました。だから(バトンをもらってあなたの道は)きっと軽くなると思いますよ。みんなで作っていけばきっと軽くなります」と呼び掛けていた。(取材・文:名鹿祥史)

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