ブレンダン・フレイザー(以下ブレフ)演じる冒険家リックは、間違いなくインディ・ジョーンズ以来のニュー・ヒーローだ。これまでコメディ・タッチの役柄が多かった彼の持ち味が十二分に活かされているリックは、まさにハマリ役。もちろん、死者の国からよみがえったミイラ軍団相手に戦ったり、妻エヴリンや息子を守る姿はたくましくて男らしい魅力にあふれている。誠実でちょっと能天気、それでいてここぞというときにはバッチリ決めてくれるリックは、誰もが好感を抱くナイスガイなのだ。ここでは、そんなブレフの他の出演作を振り返ってみる。

『悪いことしましょ』
7月20日発売 !
発売・販売:20世紀フォックス/2000年/アメリカ/製作・監督・脚本:ハロルド・ライミス/出演:ブレンダン/フレイザー、エリザベス・ハーレー他/93分
/17,000円
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文字通りブレフの“七変化”が楽しかったのは、昨年公開された『悪いことしましョ!』。善良ではあるけれど要領が悪く冴えない男が、エリザベス・ハーレー扮する美しい悪魔の甘言に乗せられてとんでもない目にあってしまうコメディだ。のほほ~んと道を歩いてくるブレフの登場シーンだけでも思わず笑っちゃうのだが、好きな女性のために次々と理想の自分に変身していく(させられる?)七変化ぶりが見事! なんてマヌケな奴なんだ!と思いつつ、なんだか憎めないし最後にはこっちが守ってあげたくなってしまうというナイスなキャラクターを、実にのびのびと演じている。こういったオトボケ風コメディは、もっともブレフの得意とするところだろう。時代遅れのファッションで好青年をコミカルに演じた『タイムトラベラー きのうから来た恋人』や、とんでもないヘビメタ小僧に扮して珍騒動を巻き起こす『ハードロック・ハイジャック』、ジャングルでゴリラに育てられた男の冒険コメディ『ジャングル・ジョージ』などなどを観ると、まさに天性のコメディアンという感じだ。
もちろん、シリアスなブレフもなかなかいい。『フランケンシュタイン』などの恐怖映画で知られる映画監督ジェームズ・ホエールの晩年を描いた『ゴッド・アンド・モンスター』では、監督の絵のモデルを務める庭師を好演。名優イアン・マッケランを向こうに回し、堂々の演技を披露している。特に、ラスト・シーンでホエールを偲んで雨の中を歩くブレフの姿には、胸にジーンとくるものがある。忘れがたい名シーンだ。どんな作品でも、底抜けの明るさと純粋さは共通して感じられるところに、彼の好感度抜群の理由があるのだろう。既にパート3の製作も決まっているという『ハムナプトラ』シリーズ。今後のリック&ブレフの活躍からもますます目が離せない!
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