『ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ』特集

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母親の自殺にショックを受けた娘の心の傷を癒すため、郊外に引越して来た心理学者役のデ・ニーロ。彼がインテリを演じるのは意外と少なく、学者という職業も貴重。しかしながら、書斎で音楽を聴きデスクに向かい、心を閉ざした娘の症状をノートに書き連ねる姿などはどこからどう見ても学者のそれで、その苦悩ぶりにもどことなく知性が漂っている。『アナライズ・ミー』では精神科医を困らせる患者(マフィア)を嬉々として演じていたが、分析する側のデ・ニーロもなかなか素敵!


虚言癖があるのか、常人の目には見えない何かを見ているのか……その言動の真意をつかませない娘エミリーをミステリアスに演じたダコタ。これまでの作品で見せてきたようなキュートで可愛らしい“ダコタちゃん像”から一転、本作では取り憑かれたような恐ろしい表情を披露している。とくに怖いのはその冷めた目つきと大きな隈で、ダコタは目の下にダークなメイキャップを施し、おどろおどろしい雰囲気を出したのだとか。『シックス・センス』や『アザーズ』など、不気味な子供の存在が鍵となる作品は多々あれど、演技派ダコタの怖さはダントツ!


作品のポイントの1つになっているのが、不気味な静けさに包まれた郊外の雰囲気と引越し先の屋敷。その中で、デ・ニーロ&ダコタも抑えた静かな演技を見せ、ひたひたと忍び寄る恐怖を緊張感あるものへと導いている。パンチのきいた印象深い役柄が多いデ・ニーロと、無邪気で明るい子供演技を求められてきたダコタがそれぞれの抑えた演技を静かにぶつけ合う様はかなりの見もの。後半に待ち構える怒涛の展開も、この“抑えた演技対決”があるからこそ生きてくる。


劇中の見どころの1つとして挙げられるのはデ・ニーロ&ダコタ父娘の危うい関係の行方だが、中盤までは、心を閉ざし、奇怪な行動も目につく娘ダコタに父デ・ニーロが振り回されるといった基本パターンが繰り返されている。そんな父デ・ニーロの姿はなかなかどうして気の毒で、観る者を何ともしがたい気持ちにさせるが、その絶妙な翻弄(ほんろう)されぶりも名優デ・ニーロだからこそ。「バラバラになった家族をつなぎとめようとする父親役は初めて」だそうだが、彼の奮闘は果たして報われるのか!?


母親の自殺以来、父デ・ニーロに対しても心を閉ざす娘ダコタ。それだけに、彼女は時折父に向かって反抗的な態度を見せる。可愛い&賢いが持ち味のダコタだけに、『アップタウン・ガールズ』のようなキュートなおませ演技は経験しているものの、ここまで根性の入った(小憎らしくもある)反抗演技は初めて。父デ・ニーロが仲良くなった女性エリザベスを家に招き、3人で食事をする場面では、喪服を思わせる黒いドレスを着たダコタの“上手さ余って小憎らしさ100倍”な最高級の反抗演技が見られる。


娘ダコタの“姿の見えない友だち”、チャーリーに翻弄(ほんろう)され、次第に追い詰められていく父デ・ニーロ。そんなミステリアスで不気味な展開のため、劇中にはデ・ニーロ&ダコタのビビり演技が満載。後半、思いもよらない展開に突入していくと、ビビりに加え絶叫もしばしば。ひたすらビビる役回りのデ・ニーロと思わせぶりにビビる役回りのダコタではビビりの表現方法は違うが、泣きそうな表情はどことなく似ている気も。父娘ということで、お互いに意識しての演技だとしたら、まさに脱帽モノである。


妻に自殺され、娘ダコタを男手ひとつで育てることになった父デ・ニーロ。その上、郊外に越すのだから、普通なら女性との出会いの少なさを嘆く事態に陥りそうなものだが、意外や意外、やもめのデ・ニーロの周りには美女が多い。1人は元教え子でもある児童心理学者のキャサリン(ファムケ・ヤンセン)、そしてもう1人は引越し先で知り合うエリザベス(エリザベス・シュー)。とくに、エリザベスとは彼女自身が離婚直後という設定も手伝い、急接近するが、その際のデ・ニーロの一見冷静を装ったガツガツぶりが素晴らしい。2人の急速なロマンスとデ・ニーロの手際のよさには娘ダコタでなくともあぜんとさせられる?


ブルネットのかつらをつけているせいか、この作品のダコタは随分と大人びていて、実年齢よりもやや高めの風貌。そんな彼女に対し、観る者は「ダコタも大人っぽくなったな」との感想を抱くかもしれないが、さにあらず。この作品の後に撮影した『宇宙戦争』のダコタは再び年齢相応のキュートさを醸し出しているのだから、劇中の大人っぽさはすべて演技だということなのだ! 恐るべし、ダコタ。さらには、彼女の口からは聞きたくなかったアブない台詞が飛び出すシーンもあるので、マニアは萌えの準備を。
ライター:渡邉ひかる

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