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【年末特集企画】映画界の震災復興支援はその後、どうなったのか?

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映画界の震災復興支援はその後、どうなったのか?

検証2.大手映画会社の震災支援の現状

映画を楽しむお年寄りたち
映画を楽しむお年寄りたち

 2011年3月11日に東日本大震災が発生するや、映画会社各社は義援金の寄付や、劇場に募金箱を設置して被災地支援を観客に呼び掛けた。主な企業による義援金額は、東宝を擁する阪急阪神東宝グループが日本赤十字社を通して1億円、同じく角川映画が所属する角川グループは同5,000万円、松竹株式会社及び役員一同は中央共同募金を通して1,000万円を寄付している。

 ただし、活動報告の詳細は各社ホームページで報告されている場合もあるが更新が滞っていたり、なかなか一般の目に触れる機会がないため、東映・東宝・松竹・角川映画・日活の邦画大手5社に中心にまとめてみた。

 松竹は、震災直後の2011年3月14日に募金活動の開始を発表。実施期間は同3月19日~同5月8日で、松竹株式会社、グループ会社、演劇座館、映画館で計702万603円を日本赤十字社に寄付した。

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東映といえば仮面ライダー
東映といえば仮面ライダー

 東映、及び東映グループは、2011年4月2日実施の「スーパーヒーローミュージックスタジオVol.2」(主催:東映株式会社)での募金活動(37万6,030円)を皮切りに、映画『小川の辺』で行ったチャリティー上映&募金(242万8,771円)、『手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく』の上映で販売したポストカードの収益金やスタッフ・キャストの寄付金(総額400万円)、東映直営館や各事業所・撮影所に設置した義援金箱(53万9,277円)、株式会社ティ・ジョイが運営する劇場16か所での義援金箱(115万5,249円)の、計849万9,327円を日本赤十字社や京都府共同募金会などへ寄付した。

 さらに東映アニメーション株式会社では、「スイートプリキュア♪」や「ONE PIECE ワンピース」といった子どもたちに人気のコンテンツを生かして応援メッセージを配信。また一般社団法人日本経済団体連合会が実施した救援物資「うるうるパック第1弾」を通して、「スイートプリキュア♪」トランプ600個・パズル500個、「ドラゴンボール改」パズル500個が宮城県牡鹿郡女川町へ届けられた。

石ノ森萬画館にヒーロー勢ぞろい
石ノ森萬画館にヒーロー勢ぞろい

 東宝は前述したグループでの義援金に加え、劇場や各事業所での募金活動を現在も実施中。日活は中央共同募金会を通じて義援金を送っているが「大企業のものと比べて極めて少額となるため」と、公表はせず。角川映画に関しては明確な回答は得られなかったが、各社とも映画の無料上映を行っているボランティア団体などにDVDやフィルムの無料貸し出しを実施している。

 中でも「名探偵コナン」や「クレヨンしんちゃん」、「ドラえもん」といった子どもたちに人気の作品や、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズといったヒット作をそろえる東宝は、シネマエール東北など27団体に作品を提供。2011年の無料上映回数は127回で約7,000人が観賞し、2012年も11月末現在で94回行い、約5,000人が足を運んだという。

ポケモンワークショップでの1コマ
ポケモンワークショップでの1コマ

 またポケモン製作委員会は2012年1月~2013年3月(予定)、被災地のホールで『劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ キュレムVS聖剣士 ケルディオ』の招待上映を実施している。映画会社の中には、人気作品の貸し出しを「全員に向けて公平にできない」との理由で断っているところもある中で、最新作を惜しみなく提供しているところに同社の心意気を感じる。

 ただしこれは、映画界のみならず社会全体にもいえることだが、震災後1年を過ぎた2012年3月以降、支援への取り組みがトーンダウンしていることは否めない。

 今後の支援方針についても、「状況に応じて対応を考えていく」(松竹)、「続けることでお役に立てれば」(東映)、「地元の映画館も被災者であり、頑張っている映画館支援のためにも、これからは少額であっても有料上映にシフトして劇場にお金を落とすようにしたい」(東宝)、「依頼があれば支援したい」(角川映画)、「今後の活動については未定」(日活)と受動的な声が多かった。映画業界全体がまとまれば大きな力になると思うのだが、各社の姿勢を見る限り難しそうだ。

ポップコーンを片手に。継続した活動が大切だ
ポップコーンを片手に。継続した活動が大切だ

 そんな中「一過性の支援ではなく、継続して支援を行っています」との力強い回答を寄せたのが、『ハリー・ポッター』シリーズなどのワーナー エンターテイメント ジャパン。
 同社はまず2011年のゴールデンウイークに、南三陸町の被災者を系列のワーナー・マイカル・シネマズ新石巻へ招待。津波シーンがあることに配慮して、震災直後に上映中止となったクリント・イーストウッド監督『ヒア アフター』の、ブルーレイ&DVDの収益の一部100万ドル(日本円で約8,000万円 / 1ドル80円換算)を日本赤十字社に寄付している。

 さらに今年に入っても、4月に行われた気仙沼大川さくらまつりにて、気仙沼大川桜並木を保全する会に剪定(せんてい)バサミやプランターを寄贈。同7月には、ふんばろう東日本支援プロジェクトを通して、ガイガーカウンター110台を福島へ送ったという。

 これらの活動が親会社のタイム・ワーナーに評価され、1万ドル(日本円で約80万円 / 1ドル80円換算)の寄付も得た。早速この寄付金は、NPO法人国際ふるさとの森づくり協会に送られ、ポット苗木の植樹に活用されるという。同社は米国系とあって、企業の社会的責任(CSR=Corporate Social Responsibility)が徹底しているようで、義援金の送り先も明確だ。日本の企業も見習いたい姿勢である。

【参考】
松竹株式会社の募金活動報告
POKEMON with YOU
「ワンピース」麦わら一味からの応援メッセージ及び被災地救援募金の報告

>>検証3.無料巡回上映で見えてきたこと

検証1.震災被害を受けた映画館はどうなった?
■検証2.大手映画会社の震災支援の現状
検証3.無料巡回上映で見えてきたこと
検証4.被災地からの声

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