親子俳優が受け継ぐものとは? 今週のクローズアップ 2013年6月21日 映画『アフター・アース』で再共演を果たしたウィル・スミス&ジェイデン・スミス親子。高い演技力はもちろん、アクションや歌にダンスと多才な父親の遺伝子をしっかりと受け継いでいるジェイデンだが、ハリウッドには“俳優”という輝かしい職業を受け継いださまざまな形の親子俳優が存在している。今回はスミス親子を含め、ハリウッドで活躍する親子俳優の魅力を徹底解剖する。 乳房切除が大きな話題になったのも記憶に新しい、現代女性をリードする女優アンジェリーナ・ジョリー。その父といえば、1978年の『帰郷』でアカデミー主演男優賞を受賞、演技派俳優として知られているジョン・ヴォイトだ。娘アンジーも負けじと1999年の『17歳のカルテ』でアカデミー助演女優賞を受賞しており、共にオスカー俳優。ハリウッドにおいて最高峰の栄誉を親子で手にした二人は、演技力という俳優・女優としてまさしく受け継ぐべきものを受け継いだ親子といえるだろう。 一方で、長年にわたる不仲は有名な話であり、アンジーの出世作『トゥームレイダー』で共演したことで復縁がうわさされた後も、彼女が本名から父の名字を除外する法的手続きを取ったなど絶縁状態が報じられていた。しかし昨今では、アンジーの6人の子どもたちと会っている様子が写真に撮られていたりと関係は良好なもよう。娘の作品もチェックしては褒めちぎっているそうだ。 いろんなことを乗り越え今は仲良し! Evan Agostini / ImageDirect / Getty Images アカデミー賞主演男優賞を2年連続受賞という快挙をなし遂げるなど人気も実力も兼ね備えた高い人気を誇るハリウッド俳優、トム・ハンクス。意外にもバツイチというトムの、前妻との間に生まれた長男がコリン・ハンクスだ。偉大な父の初監督作品『すべてをあなたに』で映画デビューを果たしたコリンは、日本でも人気の海外ドラマ「The OC」や「デクスター ~警察官は殺人鬼」といったテレビドラマを中心に活躍し、映画でも『ブッシュ』や『キング・コング』などの話題作に出演。順調にキャリアを積んでいるが、脇役の域を出てはいない。それもあってか、トムもかわいい息子のためにと、スティーヴン・スピルバーグと共に製作総指揮を行った戦争ドラマ「バンド・オブ・ブラザース」に出演させたり、まだまだサポートを続行中だ。 父が『ビッグ』で主演を務めていた年をすでに超え、まもなく『フィラデルフィア』で1度目のオスカーを手にした年を迎えようとしていることを考えると、その才能は開花が遅れているだけなのか……。このまま脇役としてのポジションを確立し、年を重ねていけば、トムとは毛色の違う役者として頭角を現す可能性はあると言えそうだ。 顔はパパよりイケてると思うんだけどね~ Dimitrios Kambouris / WireImage / Getty Images 下働きをしながら舞台で経験を積み映画やテレビドラマで活躍するまでに上り詰めた名優マーティン・シーン。4人の子どもたちもまた俳優の道へと進んだが、中でも公私共に最も注目を浴びているのが次男のチャーリー・シーンだろう。幼い頃から父の主演作を中心に子役として活躍。高校時代には8ミリ制作に熱中し、自然な流れで1984年に映画デビューすると、わずか2年で『プラトーン』に出演し注目される存在に。その後は、次々とヒット作を生み順調にスター街道を上り詰め、そのスター性は父を超えたかのようにも思われたが、私生活でのトラブルが多発。アルコール依存症にドラッグ、発砲事件にDV、3度の結婚&離婚とゴシップに事欠かないザ・放とう息子になっている。 2000年以降、活躍の場をテレビドラマに移すと、またまた成功を収めてしまい、2011年にはテレビ界で最も稼いでいる俳優ランキングで見事1位を獲得するまでとなった。その後もトラブルメーカーぶりは健在だが、端正なルックス、そして華やかな表舞台で生きていくすべは、父からしっかりと受け継いだといえるのかもしれない。どうせなら堅実さももう少し受け継げたらよかった……!? そろそろお父さんを安心させて! Mark Sullivan / WireImage / Getty Images ブロンドヘアとキュートな笑顔が魅力的なゴールディ・ホーン、そしてその魅力的なルックスをまるっと受け継いだといっても過言でない娘のケイト・ハドソン。母娘そろって映画デビューからわずか数年でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ(母ゴールディは見事受賞!)、その後もラブコメを中心に活躍を見せるなど共通点の多い二人。もちろんただカワイイ、スタイルがいいなんてことだけでは生き残っていけないハリウッドだけに、華のある存在感、そして適度な話題性までしっかりと受け継いでいるといえるのだろう。 ゴールディは2002年を最後にテレビや映画から遠ざかっているが、それでも娘ケイトがうらやむ美しさやスタイルは健在なのだとか。どちらかが群を抜いた人気や実力があるというわけでもなく、トラブルメーカーでもないゆえか、ケイトが母の近所に新居を購入したり、子どもの名前に母の名の一部をとったりと、母娘の関係も実に良好な二人。ある意味で理想的な親子俳優の形といえるのかもしれない。 このニカっとした笑顔そっくりでしょ~!? Dimitrios Kambouris /VF12 / WireImage / Getty Images 2011年開催の第83回アカデミー賞授賞式では助演女優賞のプレゼンターを務め、大きな話題となった御年96歳の重鎮ハリウッドスター、カーク・ダグラス。俳優としてはもちろん、プロダクションを起こし製作総指揮や監督業もこなす多彩な才能の持ち主だが、4人の息子たちが俳優ならびにプロデューサーになっていることでもその才能が見事に受け継がれたといえよう。 中でも長男マイケル・ダグラスは、製作した『カッコーの巣の上で』がアカデミー賞作品賞を含む5冠に輝いたほか、俳優としても『ウォール街』でアカデミー賞主演男優賞を受賞するなど大きな成功を収めている。 また、カークとマイケルは1968年と2004年にそれぞれ、ゴールデン・グローブ賞における功労賞であるセシル・B・デミル賞を受賞しており、親子そろって名実共にハリウッドを代表する映画人になっていることからも、まさしく成功例といえそうだ。 2人そろって元気になりました! Dave Kotinsky / Getty Images 主演作は軒並み大ヒット、アカデミー賞にも主演男優賞に2度ノミネートされるなど、今や人気実力共にハリウッドでも不動の地位を築いているドル箱スターのウィル・スミス。そんなウィルのまな息子といえば、まだ14歳、出演作はわずか5本にもかかわらず、その名を世界中にとどろかせつつあるジェイデン・スミスだ。 ジャンルを問わずヒット作を連発するウィルの主演作で映画デビューし、父に負けぬ演技力と存在感を見せたジェイデン。キアヌ・リーヴスやジャッキー・チェンといった大物スターとの共演もなんのその、父親譲りの器用さと勤勉さで確かな成功とキャリアを積んでいる。とはいえまだまだ若いだけに、かつての子役スターたちが歩んできたいばらの道へと導かれないことを祈るばかりだ。 そんなハリウッドでもトップクラスのスター親子となったスミス親子が7年ぶりに共演を果たした『アフター・アース』は、娘の死をきっかけに埋め難い溝ができてしまった親子が、極限状態のピンチに立ち向かうべく、心を通わせていく父子の成長ドラマ。親子愛に重点を置いたSFサスペンスでも、すでに証明済みの抜群の相性で大きな感動を与えてくれるに違いない。 映画『アフター・アース』は6月21日より全国公開 仲良く来日しました! 映画『アフター・アース』より 文・構成:シネマトゥデイ編集部 浅野麗 ADVERTISEMENT