ついに最終章!『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』現場取材レポート

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 この夏アメリカで公開されたハリウッド大作で『ワンダーウーマン』と並び高い評価を集めたのが、新『猿の惑星』三部作の最終章『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』だ。全米批評家サイト Rotten Tomatoes では93%という高い支持を獲得。興行的にも、すでに全世界で興行収入4億8,000万ドル(約528億円・1ドル110円計算)を超える大ヒットを記録中。主人公のシーザー率いる猿たちと人間の対立は悪化し、猿たちは生き残るために、人間と戦うことを余儀なくされる。猿たちを追い詰める人間側のリーダーをウディ・ハレルソンが演じている以外、主要なキャラクターのほとんどが猿で占められた、野心的な超大作になっている。(取材・文:細谷佳史)

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猿たちの砦で、シーザーが捕虜を尋問するシーン

 昨年、カナダのバンクーバー郊外で、最新のモーション・キャプチャー技術を駆使して撮影中のこの現場を訪ねた。熊が出るという深い森の中の現場に着くと、映画の冒頭に登場する、大木に囲まれた猿たちの隠れ砦が組まれていた。砦を攻撃してきた人間の兵士と、人間側に付いたゴリラを捕虜にしたシーザーが、彼らを尋問するシーンを見ることができたが、もちろん、そこに猿たちの姿は一切なくアンディ・サーキスを始めとする猿役の俳優たちは、専用スーツに身を包み、顔の筋肉の動きを伝える多くの点(マーカー)を顔に付け芝居をしていた。

 『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのゴラムや『キング・コング』のコングなどを演じ、“モーキャプ俳優”の第一人者として知られるサーキス。彼が演じてきた猿のシーザーは、今まで以上にダークな一面を見せることになる。

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最終的に仕上がった映像では、驚くほど、役者たちの演技がキャラクターたちに反映されている。ヘッドギアから出ているアームの先に顔の表情を記録するフェイシャル・カメラが付いている。

 「前作(『猿の惑星:新世紀(ライジング)』)のラストは、絶対に自分の仲間(猿)を殺すことはしないと誓っていたシーザーが、その仲間を守るために誓いを破り、人間との大きな衝突がまさに始まるというものだった。今回はそこから2年が経ち、人間と猿はすでに戦争状態にあるんだ。双方に大きなダメージがあり、生き残るための必死の争いとなっていて、シーザーのリーダーとしての責任がより重大なものになる。シーザーは、対立が起きても、常に平和な解決策を模索してきた。しかし本作では、ある衝撃的な出来事が起こり、彼でさえ感情に流されてしまう。そして、人間に復讐するという欲望を切り離せなくなる。それは大きな変化だよ。それまでシーザーは常に、人間と動物の間に立とうとしてきた。その関係を象徴する存在だからだ。それができなくなり、破滅への道をたどり始めるが、復讐の旅の途中で出会うあるキャラクターの助けを借りて、転落を免れる。この作品は、彼にとって自己発見の旅を描くんだ」。

 進化したシーザーはより人間的になっているが、サーキスはそのバランスに気を配った。「彼の言葉遣いはより正確にスムーズになっている。それは本作におけるチャレンジの一つだった。やり過ぎにならないように、全員が気をつけないといけなかった」。

 以前のモーション・キャプチャーの撮影では、役者に付けた点(マーカー)をセンサーが正確に読み取れるように、スタジオの中で撮影する必要があった。しかしテクノロジーの進歩により、このシリーズでは、屋外の自然光の中でも撮影が可能になった。それは、「シリーズに大きな影響を与えた」と技術を知り尽くしたサーキスは語る。

「『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』の時からロケ撮影ができるようになったんだ。これは大きな進歩だった。同時に、カメラを動かすのも簡単になったんだ。そして、新作では、このプロセスがさらにシンプルになっている。朝、現場に来て(モーキャプ用の)装備を付けるのも、以前よりずっと楽になった。(表情のデータを取得する)フェイシャルカメラも進化しているんだよ」。

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中央がシーザー役のアンディ・サーキス、画面左にいるのがロケット役のテリー・ノータリー

 しかし、どんなにテクノロジーが進歩しても、ベースとなる俳優の演技が観客の心に響かなければ意味がない。『猿の惑星』ではサーキス以外に、ジュディ・グリア(コーネリア役)、トビー・ケベル(コバ役)、スティーブ・ザーン(新作で重要な役となるバッド・エイプ)など力量のある俳優たちが猿を演じている。シーザーの兄弟分ロケットを演じるだけでなく、シリーズを通して役者たちに猿の演技を指導してきたテリー・ノタリーは、猿を演じることは「子供に戻ることだ」と説明する。

「僕たちは猿の動きをマネるわけじゃない。それ(猿の行動)を研究し、学び、彼らのリズムやタイミングを自分に合わせるんだ。衣装を着るように(猿の動きを)身につけるわけじゃない。自分の中に根付かせ、定着させ、心を落ち着かせ、自分が本来持つ動物性の中に入っていく。僕たちはみんな本質的には猿だろ? そして、人間的なもの、人間として識別されるものを払い落とす。多くの役者にとって最初は怖いことでもあるけど、実際には、自由な気分になれるんだ。そうやって猿としての土台が出来て、そこに意識や、猿が進化させた社会性を加え、自分たちのキャラクターを演じるんだ」。

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モニターで芝居をチェックするマット・リーブス監督

 残念ながら、監督のマット・リーヴスは多忙のため直接話を聞けなかったが、『新世紀(ライジング)』に続いてメガホンを取ったリーブスとの仕事を、サーキスは心から楽しんだようだ。「マットはこのストーリーを徹底的に理解している。マーク・ボンバックと一緒に脚本を書いただけではなく、脚本を書く時に、役者の立場で心の内面を描いてくれる。そして撮影時には、わずかな演出をつけるだけで、役者に多くの余地を与えてくれる。こういったスケールの大きな映画でそういったことは珍しい。彼とまたコラボできてとても嬉しいよ。彼のエネルギーに溢れているところも大好きだ。彼は間違いなく本物だよ」

 彼の言葉の通り、迫力の映像だけでなく、シーザーの苦悩がひしひしと画面から伝わる演出は実に秀逸だ。セリフに頼らずに主人公の感情を完璧に具現化したサーキスの演技も特筆に値する。もし来年のアカデミー賞で、サーキスがモーキャプ俳優として初めてノミネーションを獲得することになれば、映画史において画期的な出来事になるのは言うまでもない。

映画『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』は全国公開中

(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

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