間違いなしの神配信映画『足跡はかき消して』ソニーデジタル配信

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注目の監督編 連載第6回(最終回)

 ここ最近ネット配信映画に名作が増えてきた。NetflixやAmazonなどのオリジナルを含め、劇場未公開映画でネット視聴できるハズレなしの鉄板映画を紹介する。今回は全6作品、毎日1作品のレビューをお送りする。

人目を避けた山深い森での暮らしと環境の変化を通して親娘の絆と葛藤を映し出す

足跡はかき消して
『足跡はかき消して』より - (C)2018 My Abandonment, LLC. All Rights Reserved.

『足跡はかき消して』ソニーデジタル配信

上映時間:109分

監督:デブラ・グラニック

キャスト:ベン・フォスタートーマシン・ハーコート・マッケンジージェフ・コーバーデイル・ディッキー

 デブラ・グラニック監督の2010年作『ウィンターズ・ボーン』は衝撃だった。貧しい山間部の閉鎖的なコミュニティーで、死んだと思われる父親の行方を探す17歳の少女の物語は、情が一切通用しない異様な緊張感で貫かれていた。同時に、弱冠20歳でアカデミー主演女優賞にノミネートされたジェニファー・ローレンスの名を世に知らしめた作品でもあった。

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足跡はかき消して
『足跡はかき消して』より - (C)2018 My Abandonment, LLC. All Rights Reserved.

 そのグラニックが8年ぶりに発表した劇映画が『足跡はかき消して』。『ウィンターズ・ボーン』の成功から8年もかかったことが不思議に思えるが、グラニックは商業的成功は難しいが本気で取り組める企画をじっくりと煮詰めていたのだという。そして産み落とされた成果は、これまた素晴らしいものだった。

足跡はかき消して
『足跡はかき消して』より - (C)2018 My Abandonment, LLC. All Rights Reserved.

 物語は山深い森の中から始まる。ひとりの父親と十代の娘がキャンプを張っていて……いや、これはキャンプなどではない。テントこそが彼らの家であり、森から糧を得て自給自足の生活を送っているのだ。完全に外の世界から隔絶されているがゆえに、この時点ではどういう映画なのかさっぱりわからない。ネイチャー系かも知れないし、他の人類が死滅したSFなのかもという気にすらなってくる。

足跡はかき消して
『足跡はかき消して』より - (C)2018 My Abandonment, LLC. All Rights Reserved.

 だが、ほどなくして現実が忍び寄る。父親はどうやら退役兵で、何かのきっかけで社会との繋がりを捨てたのだ。小さなミスによって2人は発見され、保護され、森から連れ出される。グラニックはここでも感傷に陥ることなく、世間に放り出されてしまった親子の絆と葛藤を映し続ける。

 若くて好奇心に満ちた娘は、未知の刺激に満ちた新生活に少しずつ馴染んでいくのだが、父親は深いトラウマから抜け出すことができず、娘を連れて再び流浪の生活に戻ろうとする。“旅”を描いているという点で、本作はロードムービーと呼べるだろう。ただし、風光明媚(めいび)な絶景を楽しむ余裕はない。親子が分け入るのは、最初と同じ湿気を含んだうっそうとした森ばかりで、景色の変化も乏しい。

足跡はかき消して
『足跡はかき消して』より - (C)2018 My Abandonment, LLC. All Rights Reserved.

 しかし、いや、だからこそ、森は娘にとって牢獄となり、父親にとっては心のシェルターとなる。そのことをお互いによくわかっているからこそ、親子の関係はこじれ、もつれていく。そのもどかしさを体現したのが『最後の追跡』(2016)のベン・フォスターと、ニュージーランド出身の新星トーマシン・ハーコート・マッケンジー。フォスターは寡黙さにこそ雄弁があると確信させてくれる名演技を披露し、トーマシンは物憂げな美貌に聡明さと快活さを併せ持ち、“若さの権化”のように瑞々しく存在してみせる(原作と違い役名がトムなのは、彼女自身の名前にちなんでいるからだ)。

 『ウィンターズ・ボーン』と本作で、グラニックは監督としての揺るぎない才能を証明した。ただ後世の人々には、ジェニファー・ローレンスとトーマシン・ハーコート・マッケンジーを発掘した功績によって記憶されてしまうのではないか? そんなお節介な心配をしてしまうくらい、トーマシン・ハーコート・マッケンジーという女優の発見はひとつの事件だと思う。(村山章)

映画『足跡はかき消して』ソニーデジタル独占配信中

#間違いなしの神配信映画

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