間違いなしの神配信映画『スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ』Netflix

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音楽編 連載第6回(全8回)

 ここ最近ネット配信映画に名作が増えてきた。NetflixやAmazonなどのオリジナルを含め、劇場未公開映画でネット視聴できるハズレなしの鉄板映画を紹介する。今回は音楽編として、全8作品、毎日1作品のレビューをお送りする。

スプリングスティーンにしかできないワンマンショー!

スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ
Netflixオリジナル映画『スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ』独占配信中

『スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ』Netflix

上映時間:153分

監督:トム・ジムニー

出演:ブルース・スプリングスティーン

 ブルース・スプリングスティーンを“ボス”の愛称で呼ぶファンには説明不要だろうが、今、改めて「スプリングスティーンってスゴい人!」と伝えるのは難しい。現在69歳で現役バリバリのアメリカンロックの大御所。しかし彼の最盛期を知る40代以上でさえ「マッチョな熱唱ロックの人」としか認識してない人がざらにいるし、代表曲の「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」なんて、未だに“大国アメリカの愛国ソング”という雑な誤解がまかり通っている(この誤解は、本作を観れば間違いなく解けるが)。

 映画絡みで言えば、トム・ハンクス主演のフィラデルフィア』(1993)に「ストリーツ・オブ・フィラデルフィア」を書き下ろし、アカデミー賞主題歌賞を受賞している。同曲のシンセをメインにした内省的な音像は「マッチョなロッカー」とはほど遠く、先頃リリースされた最新アルバム「ウエスタン・スターズ」はオーケストラを多用して、これまた別の顔を見せている。実はかなりの多様さと奥行きを持ったアーティストなのだ。

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スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ
Netflixオリジナル映画『スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ』独占配信中

 また「ハイウェイ・パトロールマン」という曲は、ショーン・ペンの監督デビュー作『インディアン・ランナー』(1991)の原作になった。ペンは歌の物語と登場人物をそのまま脚本化したのだ。スプリングスティーンという人は、「アメリカ人の物語」を描き続けるストーリーテラーであるという点で、一種の文学者と捉えてもいい。

スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ
Netflixオリジナル映画『スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ』独占配信中

 さて、前置きが長くなった。『スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ』は、スプリングスティーンが2017年10月から13か月にわたり、ブロードウェイの劇場で上演したパフォーマンスを収めたものだ。チケットが争奪戦状態で上演期間が再三延長されたとはいえ、スプリングスティーン級の大物が一年以上、ほぼたった一人で(2曲のみ妻のパティ・スキャルファが参加)960席の劇場の舞台に立ち続けたのは異例。スタジアムツアーをすれば一回数万人単位のチケットをソールドアウトにできるにも関わらず、だ。

スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ
Netflixオリジナル映画『スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ』独占配信中

 この舞台は、コンサートでもなければ芝居でもない、スプリングスティーンにしかできないワンマンショーだ。ギターかピアノで名曲の数々を弾き語るのだが、メインディッシュは演奏よりむしろトークなのである。2016年に出版された自伝をベースに、スプリングスティーンはしゃべってしゃべりまくる。しかもスタンダップコメディアンよろしく客席を沸かせまくる。例えば「オレはまともな職に就いたことがない、工場なんて入ったこともないのに工場(労働者)の歌ばかり書く!」と、自らが築いた庶民派伝説を混ぜっ返す自虐ネタで、笑いを奪い取るのである。

スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ
Netflixオリジナル映画『スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ』独占配信中

 日本ではさだまさしがコンサート中のトークスキルで有名だが、スプリングスティーンもまた、曲間に小話を挟みまくるライブのスタイルを確立した男だ。さらにこのブロードウェイ公演では、自ら台本を書き、演出を手がけ、一人芝居としても成立させている。つまり音楽、ストーリーテリング、トークと、長年培ってきたすべてを融合させたのが本作のパフォーマンスであり、しかも自分自身の生き様を肴に、長年探求してきた「アメリカ人の物語」を総括する集大成的なステージなのだ。

 しかし一点だけ文句を言いたい。トーク部分は日本語字幕付きなのに、歌に入ると字幕がなくなってしまうのだ。なぜに? 版権の問題? ファンなら歌詞を知っていて当然かも知れないが、トークと歌が不可分のステージなだけに、これはいただけない。いちいち歌詞を検索するのが面倒な人には、トークと歌詞の対訳をすべて収めた日本版CDをお勧めします。ただ、これだけ充実した映像作品が配信されているのに、CDを再生することってあるのだろうか?(村山章)

『スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ』Netflixにて配信中

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