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『スター・ウォーズ』スカイウォーカー家の人々:第6回カイロ・レンの物語

スター・ウォーズ特集

 12月20日日米同時公開の最新作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、全9作のサーガの最終話。そこで、“正史”とされる映画とテレビシリーズを基に、これまでの全ストーリーを、スカイウォーカー家の人々それぞれのドラマとして見直してみよう。今回は最新作のドラマの中心人物の一人、カイロ・レンを振り返る。(平沢薫)

※この連載は、その人物の生涯を知るために、作品が公開された順ではなく出来事の起きた順で紹介しています。

ハン・ソロとレイアの息子に生まれ、自らダークサイドを選んだ男カイロ・レン

反乱軍の英雄を両親に持ちダークサイドに惹(ひ)かれる少年

カイロ・レン
英雄の息子の葛藤……。Walt Disney Studios Motion Pictures / Photofest / ゲッティ イメージス

 反乱軍の伝説的な英雄2人、ハン・ソロ(ハリソン・フォード)とレイア・オーガナ(キャリー・フィッシャー)の間に生まれ、ベン・ソロと名付けられた男子は、成長すると自らその名を捨て、別の名前を名乗るようになる。こうして生まれたのが、カイロ・レン(アダム・ドライヴァー)だ。

 彼は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に青年カイロ・レンとなって初登場し、それまでのベン少年は、レイアやルーク(マーク・ハミル)によって語られる。ベンはフォースのダークサイドに魅了されていき、それを心配したレイアがルークのもとでジェダイの修行をさせる。

 しかし、その修行中にカイロはダークサイドに落ちてしまう。ルークがベンの寝顔を見ながら、一瞬だけベンの内部で成長するダークサイドが彼の強いフォースの力と結びつくのを阻止するべきなのかという疑念を抱いたとき、ベンは目を覚まして、ルークが自分を殺そうとしたと錯覚してしまう。そして、ルークの弟子たちを抹殺してジェダイ寺院を燃やして逃走し、その前から傾倒していたファースト・オーダーの最高指導者スノーク(アンディ・サーキス)と行動を共にするようになるのだ。

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カイロ・レンとレイは対照的だが共通点がある

カイロ・レン
レイとの関係は? Walt Disney Studios Motion Pictures / Photofest / ゲッティ イメージス

 新三部作の中で、カイロ・レンは、ジェダイを目指すレイ(デイジー・リドリー)と対比的な人物として描かれていく。2人ともルークが脅威に感じるほど強いフォースの力を持っているが、見ている方向は真逆。レイはフォースのライトサイドを見ようとするが、カイロ・レンはフォースのダークサイドの力に目を向ける。

 しかし、この2人にはフォースの強さ以外にも共通点がある。それは、両親の存在に捕らわれていることだ。レイは、幼い頃に去った両親に再会したいという想いを捨てられない。一方、カイロ・レンは、両親への想いから解放されようとして、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で父親殺しという大罪を犯す。父ハン・ソロを殺す直前に彼が言う言葉、「お前の息子は死んだ。父に似て弱く愚かだったから抹殺した」「ずっと苦しかった、この苦痛から逃れたい」からは、彼が両親への思いに捕われていたことが分かる。

カイロ・レン
偉大なる父。Walt Disney Studios Motion Pictures / Photofest / ゲッティ イメージス

 しかも、この行動ですら、彼を精神的に解放するわけではない。『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で最高指導者スノークに、父を殺したせいで心が乱れたからレイに負けたのだと指摘され、「お前はマスクに隠れたただの子共だ」と言われて、エレベーターで一人になったときにマスクを叩き割るのだ。

 ちなみに、これに限らず、カイロ・レンがすぐに感情を爆発させて暴力的な行動をする場面は多く、精神的な未熟さを感じさせるが、これも、彼がすぐに暴発してしまうほどの強い感情を常に抑えつけているせいなのかもしれない。

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カイロ・レンは何を目指しているのか

カイロ・レン
祖父のようにダークサイドに魅了される。Walt Disney Studios Motion Pictures / Photofest / ゲッティ イメージス

 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でカイロ・レンには大きな変化が起きる。彼はレイと協力して、ファースト・オーダーの最高指導者スノークを倒すのだ。そしてレイに「俺と組もう」と呼びかける。「古いものは滅びるときが来た。スノーク、スカイウォーカー、ジェダイ、すべてが滅びる。銀河に新しい秩序を作るんだ」と。ここでやっと、カイロ・レンの目指すものが少し明らかになった。

 そもそもこれまで、カイロ・レンがなぜダークサイドに魅了されるようになったのかは、これまで具体的に描かれていない。ヒントとなるのは、彼が祖父ダース・ベイダーを崇拝していること。そして『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で祖父の壊れたヘルメットに向かって語りかける、「我が祖父よ。お示し下さい。闇の力を。あなたの始めたことを終わらせるために」という言葉だった。

 すると、彼が言う「祖父が始めたこと」とは「銀河に新しい秩序を作ること」なのか。では、その新しい秩序による世界はどういうものなのか、それが『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』でわかるのかもしれない。最新作では、彼が組織した“レン騎士団”の実態が描かれると言われており、その点も注目だ。

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レイとの戦いの行方は?

カイロ・レン
マスクはどうなる? Walt Disney Studios Motion Pictures / Photofest / ゲッティ イメージス

 だが『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』では、カイロ・レンとファースト・オーダーの関係に変化が起きそうだ。『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』ではスノークの遺体を見て驚くハックス将軍に、カイロは「私が最高指導者だ」と名乗り、ファースト・オーダーを指揮して、まずはレジスタンスとジェダイを滅ぼすことを目指す。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の特報を見ると、叩き割ったマスクを修復して再び装着しているのがわかる。

 しかし『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』ではファースト・オーダーの新たな将軍、プライド将軍が登場することが発表されている。演じるのは『ある女流作家の罪と罰』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた62歳の英国俳優リチャード・E・グラント。この将軍の組織内の地位は未発表だが、カイロ・レンのファースト・オーダーでの立場が変わるのではないか。

カイロ・レン
Walt Disney Studios Motion Pictures / Photofest / ゲッティ イメージス

 また、ジェダイの滅亡を目指すカイロ・レンには、最後のジェダイであるレイとの対決も待っている。ヴァニティ・フェア誌によると、「本作で2人のフォースの間には、みんなが思っている以上に深い関係があることが分かる」と語っている。はたしてこの2人には、どんな戦いが待っているのか。その時、何が明らかになるのか。そして、カイロ・レンが再びベン・ソロと名乗る時はやって来るのだろうか。

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ヴィラン列伝:ハックス将軍

ハックス将軍
カイロ・レンと犬猿の仲からの変化はあるのか? Walt Disney Studios Motion Pictures / Photofest / ゲッティ イメージス

 ファースト・オーダーの中でカイロ・レンと対比的に描かれるのが、ハックス将軍(ドーナル・グリーソン)だ。最高指導者スノークは、カイロ・レンとハックス将軍をライバル視させ、互いに競争意識を持たせることで、彼らを支配していたように見える。どちらも呼び出されては比較され、スノークにより評価されることを求めるように仕向けされていた。

 外見的にも対照的で、黒髪のカイロ・レンに対してハックス将軍は赤毛。性格的にも真逆で、カイロ・レンは激情型で大胆だが、ハックス将軍は几帳面で神経質。いろいろ正反対なので、スノークがそう仕向けなくても、お互いに相手が気に入らなくて、敵対関係になった可能性は高い。

 そのカイロ・レンがスノークを倒し、勝手に「俺が最高指導者だ」と名乗っている今、表向きはカイロに従っているハックス将軍だが、内心は怒りまくっているに違いない。彼がどんな反撃に出るのか。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』では、その点も見逃せない。

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