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東山紀之~凜とした立ち姿と美しい所作 いかなる役でも一貫する、俳優としての様式美

銀幕のジャニーズ

 映画で活躍する銀幕ジャニーズの俳優としての面にフォーカスして、デビュー作から最新作まで、どんな俳優なのかを見ていきます。第19回は、東山紀之。(文・新亜希子)

 1985年、少年隊のメンバーとしてレコードデビュー。映画・舞台・ドラマと幅広く活躍し、ジャニーズ事務所所属タレントとして初めて大河ドラマの主演を果たす。時代劇作品への出演も多く映画『山桜』『小川の辺』では主演を務めた。

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映画デビュー作:『あいつとララバイ』(1983年12月24日公開)町田ひろし役(当時17歳)

 楠みちはるの同名漫画を原作とした作品。主要キャラクターを少年隊メンバー3人が演じ、東山は、横浜の暴走族「キャッツ」のリーダー・町田を演じた。ラブコメ、不良同士の抗争、バイクの三本柱で展開される原作の要素を踏まえつつも、少年隊ならではの華麗なダンスシーンがふんだんに織り込まれた、ミュージカル映画の色が強い。なお、少年隊が歌う主題歌「あいつとララバイ」はCD「少年隊 35th Anniversary BEST」通常盤に収録されている。

ドラマデビュー作:「ピンキーパンチ大逆転」(1982年4月1日 - 9月30日)当時15歳

 松本伊代柏原よしえ(当時)が主演したSFアクションに、レコードデビュー前のグループ名「ジャニーズ少年隊」としてレギュラー出演。主演の2人以外は毎回役どころが異なるという、バラエティードラマである。

映画俳優としての主な活躍:

 所作が美しい俳優だ。ダンスの基礎を叩き込まれ、早くから舞台やミュージカルでも活躍してきた東山。「ミスターストイック」とも称される日々の鍛錬が、凜とした立ち姿を輝かせる。

 時代劇の経験も豊富だ。青年期には沖田総司や源義経を舞台やドラマで演じ、年齢を重ねてからは「必殺仕事人」シリーズや「大岡越前」シリーズといった名作を、大俳優から受け継いだ。時代劇ならではの立ち居振る舞いや殺陣において、東山の美しい所作はひときわ映える。

 剣の名手を演じた『山桜』は、そうした東山の魅力が存分に活かされていた。ひとつひとつの所作をもって、演じた手塚弥一郎の優しさや実直さを丁寧に表現していた。派手ではないが上質、まさに日本映画の様式美を極めた作品といえる。

 最新作『おとなの事情 スマホをのぞいたら』ではコメディーに挑戦した。テレビドラマでは、コミカルな役どころを演じることも多い東山。深みのある声、きりりとした真面目な口調、なによりその端正な顔立ちで演じるからこそのアンマッチが、不思議とハマる。

 『源氏物語 千年の謎』『エイトレンジャー』シリーズなど、ジャニーズ事務所の後輩が主演をつとめる作品にも出演し、その大きな背中を見せ続けている。

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最新作『おとなの事情 スマホをのぞいたら』(2021年1月8日公開)小山三平役

 イタリアのコメディー映画『おとなの事情』の日本版作品。東山にとっては『小川の辺』以来の映画主演である。新婚の30代、倦怠期の40代、セレブな50代の夫婦(順に木南晴夏淵上泰史常盤貴子田口浩正鈴木保奈美益岡徹)と、独身の小山(東山紀之)を含めた7名の男女は、過去のある事情による結びつきから、年に一度集まり、楽しい時間を過ごしていた。

 しかし今年のパーティーでは「スマホに届いた着信とメールを全員に公開する」というゲームを行うことに。後ろめたいことはないと言いつつ、その場にいる全員が秘密を抱えており、内心はハラハラ。スマホが鳴るたびにパーティーは修羅場と化し、ラストは予想外の展開を迎える。

 豪華俳優陣が織りなすテンポの良い芝居は、室内劇だが飽きがこず、安定感がある。もちろん東山もその一角。唯一の独身者という役どころも相まって、存在感を放つ。当初、ほかの役でオファーを受けていたという東山が、脚本を読んで自ら志願したという小山役の魅力にも注目だ。

 スマホの中身を見せるという、現代ならではのホラー的要素、サスペンス、愛憎劇をあくまでコメディーに昇華しつつ、夫婦とは? 人間とは? 生きるとはなにか? を観るものに問いかけてくる。

フィルモグラフィー(映画)

『あいつとララバイ』(1983年12月24日公開)町田ひろし役(ダンスシーンの振付は西条満氏)

『19 ナインティーン』(1987年8月1日公開)イースト役(少年隊主演のSF作品)

『本気(マジ)!』(1991年4月13日公開)白銀本気役(映画単独初主演作品)

『天国の大罪』(1992年10月3日公開)青木役(刑事役で出演)

MAKOTO』(2005年2月19日公開)白川真言役(主演、同名オカルト・ミステリー漫画を実写化)

『山桜』(2008年5月31日公開)手塚弥一郎役(田中麗奈とのダブル主演)

『小川の辺』(2011年7月2日公開)戌井朔之助役(『山桜』に続き、剣の名手を演じた)

『源氏物語 千年の謎』(2011年12月10日公開)藤原道長役(主演は事務所後輩の生田斗真)

『エイトレンジャー』(2012年7月28日公開)ダーククルセイド総統役(事務所の後輩である関ジャニ∞主演映画)

『トリック劇場版 ラストステージ』(2014年1月11日公開)加賀美慎一役(シリーズ完結編にゲスト出演)

エイトレンジャー2』(2014年7月26日公開)東浦一幸(ダーククルセイド総統)役(前作に続いての出演)

曇天に笑う』(2018年3月21日公開)岩倉具視役(同名の歴史上の人物役)

『おとなの事情 スマホをのぞいたら』(2021年1月8日公開)小山三平役(日本版リメイクならではの設定に)

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フィルモグラフィー(ドラマ)

「ピンキーパンチ大逆転」(1982年4月1日 - 9月30日)

「胸さわぎの放課後」(1983年10月)※初主演作

「新選組」(1987年10月1日)沖田総司役

「荒野のテレビマン」(1987年11月16日 - 12月21日)増淵岬平役

「名奉行 遠山の金さん」(1988年4月)水木新吾役

「源義経」(1990年1月1日)源義経役

「若さま侍捕物帖」(1991年1月2日)徳川治長役

「源氏物語」(1991年12月27日、1992年1月3日)光源氏/夕霧役

「琉球の風」(1993年1月10日 - 6月13日)啓泰役

「新春大型時代劇スペシャル・大忠臣蔵」(1994年1月1日)浅野内匠頭役

「夜に抱かれて」(1994年10月19日 - 12月21日)神谷流星役

「松本清張特別企画「夜光の階段」」(1995年9月25日)佐山(宮坂)道夫役

「ザ・シェフ」(1995年10月21日 - 12月16日)味沢匠役

「誰かが誰かに恋してる」(1996年3月29日)安田武雄役

「Dear ウーマン」(1996年10月13日 - 12月22日)石丸多聞役

「Dear ウーマンスペシャル」(1997年4月6日)石丸多聞役

「愛しすぎなくてよかった」(1998年1月8日 - 3月19日)中島洋太郎役

「元禄繚乱」(1999年1月10日 - 12月12日)浅野内匠頭役

「平成夫婦茶碗(ヘーセーメオトヂャワン) ドケチの花道」(2000年1月12日 - 3月15日)金本満太郎役

「平成夫婦茶碗(ヘーセーメオトヂャワン)スペシャル お母さんは風になった…」(2000年12月19日)金本満太郎役

「お前の諭吉が泣いている」(2001年1月11日 - 3月15日)結城役

「続・平成夫婦茶碗(ヘーセーメオトヂャワン)」(2002年1月9日 - 3月20日)金本満太郎役

「初蕾」(2003年12月8日)梶井半之助役

「松本清張ドラマ「証言」」(2004年3月27日)石野貞一郎役

「棟居刑事の捜査ファイル・ガラスの恋人」(2005年1月29日)棟居弘一良役

「喰いタン」(2006年1月14日 - 3月11日)高野聖也役

「喰いタン特別版 ~香港ぜんぶ食べちゃうぞ編~」(2006年9月30日)高野聖也役

「白虎隊」(2007年1月6日・7日)松平容保役

「棟居刑事の純白の証明」(2007年2月10日)棟居弘一良役

「喰いタン2」(2007年4月14日 - 6月23日)高野聖也役

「必殺仕事人2007」(2007年7月7日)渡辺小五郎役

「棟居刑事の青春の雲海」(2008年11月8日)棟居弘一良役

「必殺仕事人2009 (新春スペシャル)」(2009年1月4日)渡辺小五郎役

「必殺仕事人2009」(2009年1月9日 - 6月26日)渡辺小五郎役

「棟居刑事の黙示録」(2009年11月21日)棟居弘一良役

「必殺仕事人2010」(2010年7月10日)渡辺小五郎役

「GM ~踊れドクター」(2010年7月18日 - 9月19日)後藤英雄役

「森村誠一の棟居刑事 目撃美女は二度死ぬ?猫が運ぶ犯人!?」(2011年7月30日)棟居弘一良役

「必殺仕事人2012」(2012年2月19日)渡辺小五郎役

「一休さん」(2012年6月30日)足利義満 役

「森村誠一の棟居刑事 死海の伏流」(2012年11月24日)棟居弘一良役

「必殺仕事人2013」(2013年2月17日)渡辺小五郎役

「大岡越前」(2013年3月30日 - 2014年1月24日)大岡忠相役

「一休さん2」(2013年5月5日)足利義満役

「七つの会議」(2013年7月13日 - 8月3日)原島万二役

「The Partner パートナー ~愛しき百年の友へ~」(2013年9月29日)浅羽佐喜太郎(明治編)/鈴木哲也(現代編)

「棟居刑事の『夜の虹』…ホテル王は二度死ぬ!?」(2014年2月8日)棟居弘一良役

「必殺仕事人2014」(2014年7月27日)渡辺小五郎役

「大岡越前2」(2014年10月3日 - 12月5日)大岡忠相役

「花燃ゆ」(2015年1月4日 - 12月13日)木戸孝允役

「○○妻」(2015年1月14日 - 3月18日)久保田正純役

「森村誠一作家50周年記念 棟居刑事の黒い祭」(2015年3月14日)棟居弘一良役

「予告犯 -THE PAIN-」(2015年6月7日 - 7月5日)佐久間英司役

「刑事7人」(2015年7月15日 - 9月9日)天樹悠役

「必殺仕事人2015」(2015年11月29日)渡辺小五郎役

「信長燃ゆ」(2016年1月2日)織田信長役

「大岡越前3」(2016年1月15日 - 3月4日)大岡忠相役

「棟居刑事の偽完全犯罪」(2016年4月23日)棟居弘一良役

「ふつうが一番 -作家・藤沢周平 父の一言-」(2016年7月4日)小菅留治(藤沢周平)役

「刑事7人(第2シリーズ)」(2016年7月13日 - 9月14日)天樹悠役

「必殺仕事人2016」(2016年9月25日)渡辺小五郎役

「大岡越前スペシャル」(2017年1月3日)大岡忠相役

「花実のない森」(2017年3月29日)梅木隆介役

「刑事7人(第3シリーズ)」(2017年7月12日 - 9月13日)天樹悠役

「森村誠一の棟居刑事10」(2017年9月28日)棟居弘一良役

「必殺仕事人」(2018年1月7日)渡辺小五郎役

「大岡越前4」(2018年1月12日 - 3月2日)大岡忠相役

「刑事7人(第4シリーズ)」(2018年7月11日 - 9月12日)天樹悠役

「大岡越前スペシャル ~親子をつなぐ名裁き~」(2019年1月4日)大岡忠相役

「棟居刑事の黒い絆」(2019年2月17日)棟居弘一良役

「必殺仕事人2019」(2019年3月10日)渡辺小五郎役

「砂の器」(2019年3月28日)今西栄太郎役

「刑事7人(シーズン5)」(2019年7月10日 - 9月18日)天樹悠役

「大岡越前5」(2020年1月10日 - 2月21日)大岡忠相役

「必殺仕事人2020」(2020年6月28日)渡辺小五郎役

「刑事7人(シーズン6)」(2020年8月5日 - 9月30日)天樹悠役

「大岡越前スペシャル ~初春に散る影法師~」(2021年1月1日)大岡忠相/月嶋左内役

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