小瀧望～醸し出す雰囲気と柔和な表情のギャップ　今まさに注目を浴びる期待の俳優

　映画で活躍する銀幕ジャニーズの俳優としての面に注目し、デビュー作から最新作まで、どんな俳優なのかを見ていきます。第26回は、ジャニーズWESTの小瀧望。（文・新亜希子）

　2008年にジャニーズ事務所入所。2014年4月、ジャニーズWESTの最年少メンバーとしてCDデビュー。2018年3月公開の映画『プリンシパル～恋する私はヒロインですか？～』にて映画初主演（黒島結菜とのダブル主演）。2020年の舞台「エレファント・マン」で、第28回読売演劇大賞の杉村春子賞および優秀男優賞を受賞した。

映画デビュー作：『寮フェス！～最後の七不思議～』（2012年3月31日公開）乃木康介役（当時15歳）

　舞台は、8人の生徒と寮母が住む、三山学園の男子寮。老朽化を機に取り壊しが決定したが、どうにかして阻止したい生徒たちは、七不思議のひとつである“寮フェス”を30年ぶりに開催し、願いを叶えようと計画する。小瀧は、仲間と組んでいるエアバンドでベースを担当する2年生の乃木を演じた。共演は現・ジャニーズWESTの神山智洋、重岡大毅、藤井流星ら。

ドラマデビュー作：「サムライ転校生　～我ガ道ハ武士道ナリ～」（2009年3月28日）木村のぞみ役（当時12歳）

　剣道に打ち込む、奈良の中学生たちの青春を描いた単発のテレビドラマ。共演は、中山優馬、神山智洋、重岡大毅、藤井流星ら。みな表情に幼さが残るが、なかでも年少の小瀧はまだ頬もふっくらしており、オフショットで見せる無邪気な表情も印象的だ。

映画俳優としての主な活躍：

　重岡大毅、藤井流星に続き、本連載にジャニーズWESTから3人目の登場となる小瀧。つくづく、ジャニーズWESTの勢いと芸達者ぶりには驚かされる。その背景には、デビューまでの下積み経験が活かされていることがあるだろう。初期は重岡、藤井と同じ作品に出演しており、彼らがともに成長してきたことが見て取れる。小瀧はその後ジャニーズの先輩とも共演を重ね、主演へとたどり着いた。こうした経歴からも、きちんと経験を積んだ地力のある俳優であることがわかる。

　現在25歳。同世代のジャニーズもみな俳優として活躍しているが、早くも醸し出す落ち着いた雰囲気や渋み、183cmと群を抜く長身は小瀧ならではの強みだ。一方で、小瀧本来の朗らかで柔らかな人柄、表情が作品とマッチし、絶妙に良い味を出す場合も。多面性のある俳優であり、なおかつまだまだ変化していく年齢だ。映画作品には2018年『プリンシパル～恋する私はヒロインですか？～』以降の出演はないものの、次の映画ではどんな顔を見せてくれるだろうかと期待したくなる。

　舞台作品ではあるが、やはり「エレファント・マン」での熱演は印象的。今まさに「小瀧望」という俳優に視線が注がれている。

最新作：『プリンシパル～恋する私はヒロインですか？～』（2018年3月3日公開）舘林弦役

　原作は、近年「あなたのことはそれほど」「G線上のあなたと私」など、作品の実写化が続く人気漫画家・いくえみ綾。ヒロイン・住友糸真役・黒島結菜とのダブル主演作である。

　実の父を頼って東京から北海道へと越してきた糸真は、転校先でオレ様系の舘林弦（小瀧）とゆるふわ系の桜井和央（高杉真宙）に出会い、あるきっかけにより親しくなる。女子生徒の間には「弦と和央はみんなのもの」という暗黙のルールがあるほどモテる2人だが、タイプは真逆。小瀧演じる弦はぶっきらぼうだが、和央のことを大切にしており、本当は優しい心を持った少年だ。少し長めの茶色い髪、ブレザー＆マフラー姿はまさに少女漫画のヒーローそのものである。

　メガホンを取ったのは、北海道にゆかりのある作品を数々手掛けてきた篠原哲雄監督。全体の9割を北海道（おもに札幌市内）で撮影し、TEAM NACS・森崎博之が出演するなど北海道色も魅力の作品だ。サッポロビール園や札幌市北3条広場「アカプラ」など、札幌市民にお馴染みの場所が登場。公開時にはロケ地巡りでも賑わった。

フィルモグラフィー（映画）

『寮フェス！～最後の七不思議～』（2012年3月31日公開）乃木康介役（現ジャニーズWESTから出演したメンバーのなかでは唯一、2年生を演じている）

『関西ジャニーズJr.の京都太秦行進曲！』（2013年3月30日公開）田中光太郎役（京都太秦でアクション俳優を目指す若者たちを描いた作品）

『劇場版　仮面ティーチャー』（2014年2月22日公開）生徒会長役（当時ジャニーズJr.だったSixTONES、Snow Man の一部メンバーも出演）

『忍ジャニ参上！未来への戦い』（2014年6月7日公開）フウト役（主題歌はジャニーズWEST「バンザイ夢マンサイ！」）

『近キョリ恋愛』（2014年10月11日公開）的場竜役（人気少女漫画が原作）

『プリンシパル～恋する私はヒロインですか？～』（2018年3月3日公開）舘林弦役（本作で映画初主演を果たした）

フィルモグラフィー（ドラマ）

「サムライ転校生　～我ガ道ハ武士道ナリ～」（2009年3月28日）木村のぞみ役

「いつかの友情部、夏。」（2009年9月10日・17日）日下部守役

誰も知らないJ学園「名カウンセラー」（2010年5月5日）関口役

「世界一難しい恋」（2016年4月13日 - 6月15日）三浦家康役

24時間テレビドラマスペシャル「盲目のヨシノリ先生　～光を失って心が見えた～」（2016年8月27日）緒ノ崎快役

「炎の転校生REBORN」（2017年11月10日配信開始）コタキ駆役

「もみ消して冬 ～わが家の問題なかったことに～」（2018年1月13日 - 3月17日）尾関光希役

「68歳の新入社員」（2018年6月18日）小野諒役

「僕とシッポと神楽坂」（2018年10月12日- 11月30日）堀川広樹役

「白衣の戦士！」（2019年4月10日 - 6月19日）斎藤光役

「もみ消して冬 2019夏 ～夏でも寒くて死にそうです～」（2019年6月29日）尾関光希役

「決してマネしないでください。」（2019年10月26日 - 12月14日）掛田理役

「悪魔の手毬唄　～金田一耕助、ふたたび～」（2019年12月21日）青池歌名雄役