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【ネタバレ解説】「ロキ」シーズン2最終話:感動的な結末…今後のMCUへのヒントも

 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の実写ドラマシリーズ「ロキ」シーズン2最終話となる第6話「大いなる目的」が、ディズニープラスで配信された。ロキ(トム・ヒドルストン)のストーリーが見事に完結し、キメすぎなんじゃないかと思うほど美しく、感動的なエンディングが訪れた!(文・平沢薫)

※ご注意:本記事はネタバレを含みます。「ロキ」シーズン2第6話をまだ見ていない方はご注意ください。

タイトルも一緒!「最初」と「最後」がつながる構造

 「ロキ」シリーズ内のリンクが、シーズン2の後半戦で増えていたのは、このエンディングの前振りだった。エンディングは見事に「ロキ」シーズン1第1話にリンクし、ロキがMCUに初登場した『マイティ・ソー』(2011)ともつながっている。グルっと巡って「最初」と「最後」がつながる構造は、重要キャラクター2人の役名の意味を連想させるもの。まさに、初めと終わりがつながる「メビウス(オーウェン・ウィルソン)の輪」であり、尻尾を噛むヘビ「ウロボロス(キー・ホイ・クァン)」。冒頭のマーベル・スタジオのロゴ映像が逆再生になっているのも、初めに戻るというイメージにリンクしている。

 第6話は、前述した2作と「どちらにも同じ言葉が出てくるが、意味がまるで違っている」という形でリンクしている。そもそも、「ロキ」シーズン1第1話とシーズン2第6話は、エピソードタイトルも同じ「大いなる目的」で、どちらにもロキの大いなる目的が登場する。第1話でロキがそれが何かを語るシーンは、この第6話でもロキが時間移動して再び描かれる。

 ロキが到着したばかりのTVA(時間変異取締局)でメビウスに何をしたいのかと聞かれ、「王座につく」と答える。そして、この「王座につく」を第6話のラストでロキが実現する。無数に枝分かれした時間を渾身の力で両手に絡め取ったロキが、黄金の王座につくのだ。しかし、その理由はまったく違う。第1話で王座につきたいのは世界を支配したいからだが、第6話で王座につくのは世界を救うためである。

 ちなみにこのシーンは、ビジュアルも魅力的。ロキが王座に接近するとき、ロキの冠と衣服が、これまで見たことのない新たな形に変わっていく。最初は泥で出来ているように見える王座が、ロキが近づくと黄金に変わる。この映像が心に沁みる。

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映画『マイティ・ソー』とのリンク

 『マイティ・ソー』と「ロキ」シーズン2第6話には「For You! For All of Us!」という同じセリフが登場するが、それぞれ意味はまったく違う。『マイティ・ソー』では、ソー(クリス・ヘムズワース)に倒されたロキが、父オーディン(アンソニー・ホプキンス)に向かって、自分はもう少しで敵を倒せたはずだと言い「父上のために、私たちみんなのために(For You! For All of Us!)」と言うが、それは自分の能力を認めてほしいから。

 対して「ロキ」では、最後に一人で時間織り機に接近していく時に、それを止めようとするメビウスとシルヴィに、自分がどんな神になるべきなのか分かっていると言い、「お前たちのために、我々のために(For You! For All of Us!)」と放つ。この時ロキは、彼らを救うために自己犠牲を決意している。

 ラストシーンのロキの姿も『マイティ・ソー』を踏まえたもの。無数の時間軸を束ねたまま王座に座るロキの姿は、カメラが引いていくと、巨大な樹木のように見えてくる。この形は『マイティ・ソー』でソーがジェーン(ナタリー・ポートマン)に語り、このシリーズの原点となった北欧神話に登場する「世界樹(ユグドラシル)」を意識した形だろう。ユグドラシルは、9つの世界を内包し、枝でつなげている巨大な樹木のこと。ロキのヒーロースーツや彼が放つ魔力の色がグリーン系なのは、西欧文化の悪役は緑色で描かれることが多いからだろうが、ロキの主調色のグリーンが、樹木のイメージにつながっていくのも美しい。

 こんな見事な結末を生み出した「ロキ」シーズン1&2のクリエイターは、マイケル・ウォルドロン。『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)の脚本を担当したほか、『アベンジャーズ』第6弾『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ(原題) / Avengers: Secret Wars』の脚本家にも決定しており、本作を見ると、新作への期待がより高まってしまう。

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在り続ける者の変異体は…今後のMCUへのヒント

 エンディング付近にも気になるシーンが登場。ラヴォーナ・レンスレイヤー判事(ググ・バサ=ロー)が目覚めたのは、おそらく「ロキ」シーズン1第5話「未知への旅」で、ロキが彼の変異体たちと出会った虚無(ヴォイド)と呼ばれる場所。遠くで光っているのは、変異体をエサにしているクリーチャー・アライオスだろう。レンスレイヤーにはあまりいい未来は待っていないようだ。

 「ロキ」は見事なエンディングを迎えたが、今後のMCUへのヒントも隠されている。ロキが時間移動で再会した在り続ける者(ジョナサン・メジャース)は、すでに自分の変異体は多数存在していると明言。それを証明するかのように、エンディング直前、TVAにいるメビウスが、在り続ける者の変異体について「1人は616周辺で騒ぎを起こしたけど、片づいた」と言う。これは、映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』に登場した征服者カーンのことだろう。新作『アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ(原題) / Avengers: The Kang Dynasty』(2026年5月1日全米公開)で、また新たなカーンの変異体に出会うことになりそうだ。

「ロキ」シーズン2(全6話)はディズニープラスにて独占配信中

(C)2023 Marvel

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