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映画たて・よこ・ななめ見!

ミニシアターの厳しい現実と未来…人をつなぐ場所

映画たて・よこ・ななめ見!

 ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回のテーマは、旅する映画監督リム・カーワイが、日本全国22館ミニシアターを巡り、困難な状況下でも映画をこよなく愛し、人々に映画を届けようとする支配人たちにインタビューした様子を収録したドキュメンタリー映画『ディス・マジック・モーメント』。これまで多くのミニシアターでライブをし、その魅力を知る村本と、ミニシアターと無縁な人生を歩んできたパラダイスが語り合う!(取材・文:森田真帆)

今回の映画は『ディス・マジック・モーメント』です。

 ミニシアターを題材にしたドキュメンタリー。日本各地にある22館のミニシアターを訪ね、劇場を支える各館の関係者の声を集める。監督、プロデューサー、ナレーションなどを務めるのは『あなたの微笑み』などのリム・カーワイ。テアトル梅田、よしもと南の島パニパニシネマ、シネマスコーレなどの支配人や編成担当者らが出演する。

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映画を守り続ける人たちにスポットライトを当てる

村本大輔(以下、村本):普段はスポットライトを浴びない人たちにスポットを当てた映画やったな。映画ってさ、アイドルが出演してたり、有名な俳優さんが出てたりする作品ばっかりが宣伝されてるやん。大半の人はそれが映画だと思ってると思うねん。でも誰も知らんけど面白い映画を流しているのがミニシアター。いい映画を流しつつ、お客さんはなかなか入らないっていうジレンマも抱えてる。別に面白くなくてもめちゃくちゃ人が来るシネコンの映画と違って、いい映画にもかかわらずなかなか人が入りにくいっていうのが厳しいよな

中川パラダイス(以下、中川):僕まずは映画を映画館で観ないんよ。ネトフリとかアマプラとかで映画を観るタイプの人間やし。そもそも大きい映画館すら行かへんからな。ミニシアターは人が入らんっていうのが一番大変そうやった。

村本:誰も知らん映画を映画文化のない地方で上映するってことは戦いやねん。それでも館長さんたちは、面白い映画が少しでも多くの人に届くように、必死にやってるわけや。みんながシネコンに行っちゃうなか、人口の少ない街で映画館やってさ、誰にも知られることのない面白い映画の火を守り続けてる人たちにスポットを当てることで、ミニシアターに行く人が一人でも増えたらええなぁ。

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ミニシアターのクセ強!館長たちが登場

村本:オレは、映画館でライブやることが多いからさ。これまでお世話になった映画館もたくさん出てきて面白かった。

中川:映画館でライブもしてんねんなぁ。誰が知り合いやったん?

村本:宮古島の「よしもと南の島パニパニシネマ」も、「高田世界館」もそうやし、沖縄の「首里劇場」も、大分の「別府ブルーバード劇場」や、「日田リベルテ」に行ったこともあったし。毎回ライブの後は、打ち上げで館長さんと話すから、今回の映画を観た時に「知り合い出てるやん!」ってなった。

中川:村本からよく大分の「別府ブルーバード劇場」の話聞いてたやん? だから、映画に出てきたときも、このおばちゃんやったんかーって思いながら観てたわ。でも映画館の人たちってクセ強い人多くない? 大阪の人もさ、沖縄のおっちゃんも、めっちゃクセ強かったわぁ。

村本:沖縄の「首里劇場」ではライブやらしてもらってさ。ほんまに遺跡みたいなとこやったわ。沖縄って台風があるから石で家作ってるやん。そんな感じの石で作られた映画館で、世界遺産にしてほしいくらいの建物やったな。でも多分この映画の後に、あのおっちゃん亡くなってしまって、今は解体作業が進んでるって

中川:惜しまれつつやなぁ。やっとこれからってところやったやろうしな。

村本:「高田世界館」もめちゃくちゃかっこよくて、天井が古い様式で雰囲気もめっちゃあってさ、館長が自分で照明持ってオレにスポットを当ててくれんねん。福井の「メトロ劇場」も行ったことあるよ。沖縄の「シアタードーナツ・オキナワ」は区画整理で立ち退かなきゃあかんくてさ、もうすぐなくなっちゃうんよ

中川:どこの映画館も大変そうやったわ。最初は、ひたすら映画館ばっかりで戸惑ったけど、だんだんオモろいなって。ミニシアターの人たちって、こんなに困ってるんや! ってびっくりしたわ。困っている理由も人間模様も、それぞれちゃうねんなって思ったわ。

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ミニシアターは人と人をつなぐ

村本:こないだ青森に行ったんやけどさ、そこに来てたおじさんが、浪岡町ってところで浪岡映画祭っていうのをやっていて、すごくいい映画祭だったのに、上映した作品の中にポルノがあったことが原因で補助金を打ち切りされたって話をしてたんだけど、その映画祭自体が知られていなくて……なんか遠い感じがしたんよな。

中川:僕なんかいい例やで。映画館にだってめったに行かないし、ミニシアターは今まで一度も観たことないもん。

村本:そうやろ? だからめっちゃ限られた人だけしか行かないねん。でも、そのコミュニティーの中でみんなが助け合っているところがええなって思うねん。例えば、新潟の「シネ・ウインド」もめっちゃお世話になっているんやけど、どの映画を流すかを常連の人たちみんなで決めるらしいねんな。福岡の「小倉昭和館」の館長も「映画館はみんなのもの」って言ってたやん。「別府ブルーバード劇場」もボランティアの人が支えているしな。おっきいシネコンはそういう人間関係がないけど、ミニシアターって人と人をつないでいる感じがあるよな

中川:シネコンってさ、だいたいどこも同じやん。でもミニシアターってほんまにいろんな映画館あるんやな。レトロやったり、雰囲気良かったり、博物館として行ってみるのもオモろいと思ったわ。言うたら、映画館を観光の目的として行って、そこでやってる映画を観るという、今までやったことないことしたくなったわ。

村本:そうそう家族旅行で行ったらええねん。旅の理由を映画館に行くにしてさ

中川:上級者やな。おしゃれやん。これから目的が映画館に変わるっていうな。観光して映画観て、映画館を旅する旅、やってみるわ!

村本:ほんまか。

※記事内容には個人の意見が含まれています。

『ディス・マジック・モーメント』11月25日公開
(C) cinemadrifters

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ウーマンラッシュアワー・プロフィール

2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。

村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。

村本大輔X(旧Twitter)

中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。

中川パラダイスX(旧Twitter)

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