吉沢亮&横浜流星共演『国宝』キャスト・あらすじ【一覧】
「悪人」「怒り」などの吉田修一の小説を吉沢亮主演、横浜流星共演により映画化する『国宝』(6月6日公開)のキャストを紹介します。本作は、吉田が3年の間歌舞伎の黒衣を纏い、楽屋に入った経験をもとに書き上げた同名小説を原作に、任侠の一門に生まれながらも歌舞伎の世界に飛び込み、芸の道に人生を捧げる喜久雄の50年を追う一代記。監督を、映画『悪人』(2010)、『怒り』(2016)に続いて李相日監督が担った。
あらすじ
舞台は、戦後から高度経済成長期の日本。任侠の一門に生まれ、この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会い、ライバルとして互いを高め合うなかで、喜久雄は「血筋」、俊介は「才能」を渇望し、愛憎が入り乱れていく。
立花喜久雄(演:吉沢亮)

長崎の任侠の家に生まれ、父を抗争のすえに亡くす。上方歌舞伎の名門の長で看板役者・花井半二郎に才能を見出され、稀代の女形として脚光を浴びていく。
コメント:吉田修一先生×李相日監督の3作目。『悪人』ではただただ視聴者として感嘆し、『怒り』ではオーディションの参加者として、何も出来なかった自分への苛立ち、完成を観てのどうしようも無い昂まりと悔しさ。そして『国宝』では当事者としてなにを思うのでしょう。稀代の女形を演じると言う、途方もない挑戦ではございますが、その挑戦の先に見える景色が何よりも美しいものである事を信じて。日々精進です。
大垣俊介(演:横浜流星)

上方歌舞伎の名門の御曹司で、喜久雄の親友でライバル。生まれながらに将来を約束されていたが、喜久雄が才能を開花させていくにつれ、葛藤していく。
コメント:李組に再び参加できることを光栄に思います。歌舞伎の世界を生き、沢山のことを吸収して芝居を磨けたらと思っていますし、最大の敬意を持って歌舞伎役者、大垣俊介を人間臭く生きます。目指す頂きは途方も無く高いですが、険しい方が自分は燃えますし、喜久雄を生きる吉沢くんと共に刺激し合い、見えない頂上を目指して一歩一歩着実に歩み、必ず辿り着いて、見たことの無い景色をこの目に焼き付けたいと思います。歌舞伎の魅力を一人でも多くの方々に届けられるよう、キャストスタッフ一丸となって全力で務めますので、ご期待下さい。
福田春江(演:高畑充希)

喜久雄の幼馴染で恋人。喜久雄を追って自身も長崎から上阪し、スナックで働きながら喜久雄を支える。
コメント:本来は大きな空間で、全身で、浴びさせてもらうはずの歌舞伎の世界に、汗や涙も捉えられるような寄りの視点で没入する。モニターを見た時、その新鮮な世界の美しさに息をのみました。 元々美しいお2人なのに、これ以上美しくなるの?!って。笑 私はお2人の1番近くにいつも存在しているキャラクターだったので、間近で貴重な瞬間を沢山観られて、幸せです。 そして何より、久々にまた李監督や李組の皆さんと一緒に撮影が出来て、本当に楽しかったです。
大垣幸子(演:寺島しのぶ)

花井半二郎の後妻で、俊介の母親。上方歌舞伎の名門を支え、踊りの師匠でもある。喜久雄の才能に気付き、息子・俊介への愛情ゆえに苦悩する。
コメント:「国宝」という吉田修一さんの途轍もない大作に挑戦された李監督の思いを受け取り参加させて頂きました。今まで生きてきた私の環境や、蓄えてきたものを少しでも活かせていれば良いなぁと思っています。吉沢亮さんと横浜流星さん、二人の少年時代を演じた黒川想矢くん、越山敬達くんの努力とガッツに脱帽です。支えてくださる沢山の方の思いが結集されて、素敵な作品になっている事を切に願います。
彰子(演:森七菜)

歌舞伎役者・吾妻千五郎の娘。兄のように慕っていた喜久雄に恋をする。父親から勘当されてまでも喜久雄と一緒になることを望み、どこまでも喜久雄に寄り添おうとする。
コメント:はじめて一人で見に行った映画は李監督の映画でした。映画という豊かな時間を映画館で過ごすことの意味を知るという大切な一歩目を踏み出してから、ずっと憧れにしてきた李組に参加させていただけること、とても幸せに思います。現場は緊張と衝撃の繰り返しの毎日で、喜久雄と俊介 2人の人生がどれだけ壮大な舞台の上に成り立っているかを痛感しながら、青い炎のように確かな温度を静かに保ち現場に佇む吉沢さんを側で見て、寄り添っていく者としてしっかりしなくてはと自分の背中を正し続ける日々でした。情熱で溢れたこの作品がたくさんの人に届きますように願っております。
竹野(演:三浦貴大)

歌舞伎の興行を手掛ける三友の社員。実直な性格で世襲制の歌舞伎の世界に冷ややか。才能を開花していく喜久雄と長い年月を共にし、ともに成長していく。
コメント:撮影現場は、まさに職人たちの集まりで、より良い作品を作ろうとする気概に満ちていました。それでいて軽やかさもあり、このような現場に身を置けたことを幸せに思います。竹野という人物を演じる中で、ある意味俯瞰した立場で歌舞伎を、また二人の成長や葛藤を見ていましたが、私自身も素直にその場にいることで竹野の人物像と近づけるのではと思い、意識していました。刺激的で、とても良い緊張感のある現場でした。
梅木(演:嶋田久作)
歌舞伎の興行を取り仕切る三友の敏腕社長。早くから喜久雄の才能を見込み、喜久雄と俊介の初舞台を仕掛ける。
コメント:李相日監督とは『69 sixty nine』以来21年ぶりでした。頂いた「梅木」という人物は陽性で自分の「仁」にない役柄かとも思いましたが、久しぶりの監督との仕事。自分の狭い視野を離れて、唯唯、監督の意に沿う演技が出来ればとの思いで撮影に臨みました。今思うと、21年分の想いが空回りして力み過ぎの不味い芝居ばかりだった気がします。ともあれ監督の「OK」は頂きました。私は李監督の判断には絶対の信頼を置いています。
藤駒(演:見上愛)

京都・花街の芸妓。初めて喜久雄と出会ったその日に自分の人生を賭ける覚悟を見せる。
コメント:今回の作品に参加するにあたって、日本舞踊、三味線、舞妓さんや芸妓さんとしての所作練習に勤しみました。10代の役と30代の役をひとつの作品の中で演じるのは初めてのことで、かなり不安もありました。ですが、カメラの前に立つ前に過ごしてきた時間や、吉沢さんや監督をはじめとする、周りの皆さんの集中力と誠実さにとても助けられました。こんなにも贅沢な環境でお芝居ができたことを幸せに思います。
少年時代の喜久雄(演:黒川想矢)

少年時代に父を殺され、歌舞伎界のスター・花井半二郎と出会ったことで人生が一変する。半二郎の厳しい指導を受け、俊介と切磋琢磨しながら青春を謳歌する。
コメント:初めて国宝のオーディションを受けた時から、僕は絶対に少年喜久雄を演りたいと思い、気づかぬうちにその薄っぺらい覚悟を李監督につらつらと述べていました。しかし撮影準備が進むにつれ、日本の古典芸能である歌舞伎を穢すことなく、少年喜久雄を演じきることへの重みを痛感し、押し潰されそうな日々が続きました。李監督や歌舞伎指導の先生からは演技に向き合う心のあり方を教えていただきました。そして諦めずに辛抱強く見守っていただき、前に進むための新しい心を授けてくださいました。僕にとって、撮影期間は1日1日が重く優しく美しい3ヶ月でした。たぶん僕だけでなく、多くのキャスト、スタッフの皆さんがもがき苦しんで生み出したであろう『国宝』の完成が、今となっては楽しみで仕方ありません!
少年時代の俊介(演:越山敬達)
歌舞伎の名門の御曹司としての重圧を背負う。初めは喜久雄を警戒していたが、やがて親友、良きライバルとなっていく。
コメント:今回、大垣俊介の幼少期を演じました、越山敬達です。李監督のもとでお芝居ができたこと、素晴らしい演者の皆さんと共演できたことをすごく光栄に思います。歌舞伎や大阪弁は初めての体験で難しく、俊介のことで悩むこともありましたが、僕は新しいチャレンジをするのが好きなので充実した時間を過ごすことができました。そして監督やスタッフ、歌舞伎や方言指導の先生方、共演者の方々が最後まで支えてくださったおかげで、無事に撮影を終えることができました。公開されましたら、是非劇場に足を運んでください。
立花権五郎(演:永瀬正敏)

喜久雄の父親で、長崎の任侠一門・立花組の親分。抗争によって命を落とす。
コメント:短い期間での李組初参加でしたが、李監督を中心にスタッフの皆さん、共演者の皆さんの熱く、そしてこだわり抜いた丁寧な現場に身を委ねることが出来て、貴重過ぎる日々を過ごせました。その静かなる熱は、きっと観客の皆さんの心の中に深々と降り積もると信じています。劇中劇、舞台に立たれた俳優の皆さんの、長い時をかけ磨かれた“魂の舞”はまさに必見です。
立花マツ(演:宮澤エマ)

立花権五郎の後妻で、喜久雄の育ての母親。権五郎の死後は喜久雄の生みの母親の遺言を守り、堅気にさせるために喜久雄を大阪の花井家に送り出す。
コメント:私の「国宝」との出会いは3年前、本屋で吸い寄せられるように手に取った吉田修一さんのサイン入りの文庫本でした。きっと映像化されるのではないか、李監督がメガホンを取るのかしらと当時妄想を膨らませていたので、マツ役でオファーを頂いた時はこんな事があるのかと信じられませんでした。初めての李組の撮影は緊張と発見と苦悩と感動の日々で、短いながらも贅沢で貴重な時間でした。錚々たるキャスト、スタッフと共にこの壮大な物語の幕開けの一員として参加できたことは心から光栄です。
吾妻千五郎(演:中村鴈治郎)

上方歌舞伎の名門・富士見屋の当主で、彰子の父親。彰子が喜久雄に恋心を抱いていることを知り、娘を使って成り上がろうとする喜久雄に対して厳しくあたる。本作で歌舞伎指導も担当している。
コメント:普段は優しい李監督ですが、撮影現場ではより良い作品を目指す方なので、とても厳しかったです。映画は舞台と違い、同じシーンを何度も撮るのでクタクタになると思います。ラッシュ版で吉沢亮さんを始め、彼らの歌舞伎のシーンを観た時に、その時の現場の状況を思い出し、とても感動しました。この映画を通して、歌舞伎を知らない方には、歌舞伎ってこういうものなのかと感じてほしいですし、歌舞伎を観たことのある方には違和感なく、作り事でもなく、自然に観ていただければ一番いいな、と思っています。そして、この作品をご覧になった方々が歌舞伎に興味を持っていただければ、こんなに嬉しいことはないです。吉沢亮さん、横浜流星さん、黒川想矢くん、越山敬達くん、田中泯さん、渡辺謙さんには本当によくやっていただいたと思っています。今は観客の皆さんに受け入れてほしいなと切に願っています。
小野川万菊(演:田中泯)

歌舞伎界の稀代の女形といわれる人間国宝。喜久雄と俊介の人生に大きな影響を与える。
コメント:万菊さんという人になるために、カラダも心も習う毎日でした。初めてその姿になった時のことでした、数えきれぬ人々の知識と経験が技となり万菊さんの姿が現れる。仰天しました。距離を縮めることのなかった歌舞伎世界の向こう側に、自分はカラダ毎さらわれたのでした。日々自分の声に不安になり、自分の姿に困惑し、一瞬でもいいから、否一寸でも長く先人の魂が自分の体に訪れ、遊んでほしい、と願ったものでした。万菊さんという自分のうちなる異人。伝統から生まれた万菊さんは今や僕のオドリ探求の相談役であります。そして終わってほしくなかった李相日監督の撮影の一コマ一コマが僕のオドリの稽古のようでした。贅沢しました。礼
花井半二郎(演:渡辺謙)

上方歌舞伎の名門の当主で、看板役者。抗争で父を亡くした喜久雄の女形としての才能をいち早く見出し、実の息子・俊介と共に育てる一方、自身も役者としての地位を確立する野心に燃える。
コメント:吉田修一さんの「国宝」出版されて直ぐに読ませて頂いた。役者の心の苦悩、歓喜、そして生き様が赤裸々に描かれていた。ただあまりにも壮絶で壮大な人生は「こりゃ映像化は無理だ」とも感じていました。しばらくして、盟友、李相日監督から連絡を貰うことになる。なんと挑戦したいとの事。腰が浮くのを抑えながら、果たしてこの大作を支えられるか悩みました。でも、これまで数々の難題を乗り越えて来た李監督を信じ、この素晴らしい作品に立ち向かう決意を固めました
(C)吉田修一/朝日新聞出版(C)2025映画「国宝」製作委員会