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長い夜の冬に観たい、話題のスリラー映画3選

 スリラー映画が似合う、冬の長い夜。この冬、日本の映画館にはスイス、アメリカ、そして香港から話題のスリラー映画が続々と上陸し始めています。思わず手に汗にぎるサスペンスはもちろん、それぞれの個性が光り、“今”のわたしたちに響くテーマもあわせ持ったハラハラさせられっぱなしの3作を一挙ご紹介します。(編集部・市川遥)

『世界一不運なお針子の人生最悪な1日』12月19日公開

ノーカントリージョエル・コーエンが認めた若き監督の異色スリラー

提供:シンカ

 コーエン兄弟の『ノーカントリー』に着想を得て制作した短編がご本人、ジョエル・コーエンの目に留まり、長編化を勧められたことで誕生した本作。美しいスイスの田舎町を舞台に、亡き母から継いだ刺繍のお店が倒産寸前で人生崖っぷちのお針子バーバラが、麻薬取引現場で拳銃と大金の入ったトランクケースを前にし、頭によぎった三つの選択肢<完全犯罪(横取り)><通報><見て見ぬふり>それぞれの行く末を描く分岐型クライムスリラーです。

 普段は内向的なバーバラが一攫千金を狙い、商売道具である針と糸を駆使して度肝を抜く行動力と機転を見せていく点が本作のユニークな魅力。どの選択肢でも、バーバラには『ノーカントリー』でハビエル・バルデムが演じた殺し屋シガーのような圧倒的な“死神”の手が迫り、彼女がそんな絶体絶命のピンチに針と糸でどう対処するのかドキドキさせられっぱなしです。プロットも巧妙で、母の呪縛にとらわれた一人の女性の解放、そして一つ一つの選択の重要性を説く物語としても心に響くものがあります。

 ジョエル・コーエンが認めた2000年生まれの次世代監督、フレディ・マクドナルドが手掛けたかつてない“お裁縫クライムスリラー”は、映画ファンならぜひともチェックしておきたい一作といえるでしょう。おしゃれでひねりのあるスリラーが好きな人はもちろん、タイムリープや分岐ものが好きなドラマ&アニメファンにもおすすめ。長い冬の夜、「針と糸で悪党と戦う」ヒロインの勇姿を劇場で見届けてみてはいかがでしょうか。

『世界一不運なお針子の人生最悪な1日』公式サイト 上映劇場

『AFRAID アフレイド』12月26日公開

『ミーガン』より超リアルなAIスリラー!自宅のスマート家電が家族を洗脳

提供:キングレコード

 『ゲット・アウト』『M3GAN/ミーガン』『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』など話題のホラーを生み出し続けるブラムハウスの最新作で、今や我々の生活に深く入り込み、何かと話題になるAIを題材にしたスリラー。新世代家庭用AI機器“アイア”のモニターを始めた家族が、その便利さと引き換えに、後戻り不可の恐ろしい暗闇へと引きずり込まれていく姿を映し出します。

 AIの恐怖は『M3GAN/ミーガン』でも描かれましたが、本作のアイアはスマート家電のような見た目でよりリアル寄り。あらゆる情報へのアクセスを許可したがために強大な力を持ち、バーチャルな存在であるのにもかかわらず人間を駒のように使って現実世界に影響を及ぼすアイアには、我々もすでにAIに浸食された“未来”に足を踏み入れているからこそ背筋が凍ります。家族のドラマとしても力が入っており、監督・脚本は『アバウト・ア・ボーイ』のクリス・ワイツで、父親役は『search/サーチ』のジョン・チョー、母親役は『ファンタスティック・ビースト』シリーズのキャサリン・ウォーターストンと豪華な布陣です。

 難しい設定なしで楽しめる84分のコンパクトな一本かつ、過激な描写もないため、ホラージャンルに苦手意識がある人の入門編としてもぴったり。ただし、家庭用AIやスマート家電を日常的に使っている人ならきっと他人事とは思えないはずなので、帰宅後もスリルが続くことは請け合いです。

『AFRAID アフレイド』公式サイト 上映劇場

『マッド・フェイト 狂運』1月2日公開

話題の『トワイライト・ウォリアーズ』監督×香港ノワールの巨匠がタッグ!

提供:スターキャットアルバトロス・フィルム

 日本でも多くの熱狂的なファンを獲得した香港映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』のソイ・チェンが監督、香港ノワールの巨匠ジョニー・トーがプロデューサーを務めたオカルトスリラー。娼婦を標的にした殺人事件が続く中、強い殺人衝動にとらわれた妖しいサイコパスの青年と、彼を破滅の運命から救いたい占い師の奮闘を追いかけます。

 監督のみならず、撮影、照明、美術、衣装なども『トワイライト・ウォリアーズ』組が担当しており、香港ノワールとオカルトを融合させた世界観は唯一無二です。風水を駆使して自らの運命にも抗おうとしている熱血占い師と、嫌々彼に付き合うことになるダウナー系のサイコパスの凸凹コンビぶりも秀逸。努力をあざ笑うかのように彼らを次々と妨害し、定めを遂行しようとする“邪悪な運命”との闘いの行き着く先はどこなのか、先の読めない展開がスリリングです。

 監督&多くのスタッフが『トワイライト・ウォリアーズ』と同じとはいえ全くジャンルの異なる本作で、香港映画の奥深さに触れるのも一興です。劇場の暗闇でオカルトとクライムサスペンスが混ざり合った濃密な世界にどっぷり浸かり、この“狂った運命(マッド・フェイト)”の行方に刮目してください。

『マッド・フェイト 狂運』公式サイト 上映劇場

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