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『ファンタビ4』はどうなる?企画なしで打ち切りの可能性も

続編決定の動きが見られない『ファンタビ』シリーズ
続編決定の動きが見られない『ファンタビ』シリーズ - Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 5部作として始まった『ファンタスティック・ビースト』シリーズが、今年春に公開された3作目『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』で打ち切りになるかもしれない。とりわけ、北米で興行収入が右肩下がりになってきたことが理由だ。しかし『ハリー・ポッター』はワーナー・ブラザースにとって貴重な資産。別の形で新たなプロジェクトが生まれる可能性も秘められている。(文/猿渡由紀)

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 日本ではそこそこヒットした『ダンブルドアの秘密』は実のところ、2022年最もがっかりな結果に終わったハリウッド映画のひとつだった。2億ドルの製作費をかけたこの超大作の北米興収は、ハリウッドでヒットのひとつの目安とされている1億ドルに届かない9,500万ドルと、期待を大きく下回ったのである。全世界興収は4億をどうにか超える程度。マーケティング費などを考えると、なんとか収支トントンだ。

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 さらに問題なのは、右肩下がりの傾向。2016年に公開された1作目『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の北米興収は2億3,400万ドル、全世界興収は8億1,400万ドル。2年後の2018年に公開された2作目『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』の北米興収は1億5,900万ドル、全世界興収は6億5,400万ドルだった。この時点ですでに1作目より20%ほど落ちていたのだが、3作目は2作目より35%ほども落ち込んでいる。(数字は Box Office Mojo調べ)

 3作目が公開された今年4月はまだパンデミック下で、とりわけ欧米では映画館に行くことに抵抗を持っていた人が多かったというのも、背景のひとつにあるかもしれない。しかし、そのわずか3週間後に公開された『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は爆発的なヒットとなっているのだ。そのさらに3週間後には『トップガン マーヴェリック』が公開され、今年最大のヒットを記録している。

マッツ・ミケルセンが演じたグリンデルバルド - Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 原作の出版を追いかける形で映画化された『ハリー・ポッター』シリーズと違い、J・K・ローリンズが映画のために書き下ろす『ファンタビ』には原作がなく、1作公開されるたびにスタジオが次の脚本をローリンズと共同脚本家に発注する形だった。だが、4作目の脚本は、現時点でまだ発注されていない。一方で、ワーナー・ブラザースは、昨年の『DUNE/デューン 砂の惑星』が公開された数日後に続編のゴーサインを出している。それと同じ興奮、ポジティブな気持ちを、スタジオは『ファンタビ』に対して抱いていないということだ。

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 もっとも、時間が経つにつれてシリーズの人気が下がるというのは、十分に考えられる話。まったく新しいシリーズを計5本作ると最初から発表したこと自体が、そもそも大胆なことだった。それができたのも、絶大な人気を誇る『ハリー・ポッター』のスピンオフで、ローリングが脚本を書くというからだ。『ハリー・ポッター』の完結で悲しく感じていたファンにとって、それは最高に素敵なニュースだったのである。だが、彼らの神様だったローリングは、近年トランスジェンダーの人たちへの差別的なコメントで、論議を呼ぶ存在になってしまった。また、グリンデルバルド役のジョニー・デップが、彼のことをDV夫呼ばわりしたイギリスのタブロイド紙に対して起こした訴訟に負けたこと受け、ワーナーはデップを降板させ、ファンをがっかりさせてしまった。

 デップは今年、元妻アンバー・ハードに対してアメリカで起こした名誉毀損裁判で勝訴し、身の潔白を晴らした。デップに代わりグリンデルバルドを演じたマッツ・ミケルセンは、判決を聞いて、この役をデップに返すのもやぶさかではないと述べている。デップのファンは、第94回アカデミー賞で行われたツイッターでのファン投票企画「Fan Favorite」で、本国ではほぼ誰も知らない『MINAMATA-ミナマタ-』をトップ5に入れたほどパワフルで行動的。デップのグリンデルバルド役復帰に向けて、たくさんのファンが動いたとしても、それだけではお金のかかる同シリーズを続けることへの説得材料として十分でない。

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 しかし、たとえ『ファンタビ』が納得のいかないまま終わりを告げることになったとしても、『ハリー・ポッター』の世界が終わるわけではない。今年、合併で社名変更され、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーとなったスタジオのトップに就任したデビッド・ザスラフは、今後シリーズものに力を入れていくという方針を強調し、ローリングとも『ハリー・ポッター』関連で何かをやるかもしれないと述べているのだ。ワーナーにとって『ハリー・ポッター』がお宝である事実に変わりはないということ。それが何であれ、次に出てくる『ハリー・ポッター』プロジェクトには、もっと明るい未来が待っていてほしいものである。

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