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『アベンジャーズ』セバスチャン・スタン、ドナルド・トランプそっくりに!四六時中トランプ漬けの役づくり

第77回カンヌ国際映画祭

映画『ジ・アプレンティス(原題)』よりロイ・コーン役のジェレミー・ストロングとドナルド・トランプ役のセバスチャン・スタン
映画『ジ・アプレンティス(原題)』よりロイ・コーン役のジェレミー・ストロングとドナルド・トランプ役のセバスチャン・スタン

 第77回カンヌ国際映画祭で、若きドナルド・トランプが成り上がっていくさまを描いた伝記映画『ジ・アプレンティス(原題) / The Apprentice』(コンペティション部門)がお披露目された。『アベンジャーズ』シリーズのバッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー役で知られるセバスチャン・スタンはカリカチュア的な表現を避け、真摯にトランプそのものに成り切っている。

【画像】美しい…妻イヴァナ役のマリア・バカローヴァ

 『ジ・アプレンティス(原題)』は、若きトランプが絶大な影響力を誇る右派の弁護士でフィクサーのロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)の教えを受け、不動産業界で成り上がり、政界にも影響力を持っていく姿を追った作品。セバスチャンの演技同様、抑えた描写になっているものの、初期では頼り切りだったコーンを落ち目になるや残酷に切り捨てたり、熱烈に求愛した最初の妻イヴァナ(マリア・バカローヴァ)を結婚後期ではレイプしたりと、トランプが変わっていくさまも映し出される。

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 セバスチャンは役づくりについて「四六時中、自分を彼に浸し続けるプロセスだった」と公式会見で明かす。「彼と常に一緒に過ごしていたと言えると思う。どこへ行くにも、何をするにも、例えばバスルームでも、ヘッドフォンや携帯で彼の声を聴いていた」。その取り組みは功を奏しており、劇中のセバスチャンは若きトランプそのものだ。

 カンヌでの公式上映後、トランプ陣営は同作を訴えると表明した。これについてメガホンを取ったイラン系デンマーク人のアリ・アッバシ監督(『聖地には蜘蛛が巣を張る』『ボーダー 二つの世界』)は「彼はしょっちゅう人を訴えているみたいだけど、どの程度勝訴しているのかは聞かないよね」と笑う。

 「彼は『クレイジーなイラン人とカンヌのリベラルなクソたちが集まって映画でバカにしている、陰謀だ』と思っているのかもしれない。だが、僕は彼がこの映画を嫌うとは必ずしも思わない。気に入るとも思わないけど、驚くんじゃないかと思う」とまずは映画を観てみてほしいといい、「彼が望むところに行って上映し、その後に内容について話をしたい。トランプ陣営の人が興味あるなら」とアピール。さらに「これはいわば“ドナルド・トランプの映画”ではない。“システム”についての映画なんだ。システムがどのように作られ、どのように動かされているかの映画。ロイ・コーンはそれを利用するエキスパートで、ドナルド・トランプにそれを教えたんだ」とも語った。

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 また、イラン系デンマーク人のアッバシ監督がアメリカ大統領選挙に影響を与え得る作品を手掛けることになったのは、「過去5、6年で、僕の世界に対する楽観主義が消え失せた」ことがきっかけだったという。「同じ監督たち、そして自分に対して次第にフラストレーションを感じるようになったのは、皆があまりに内向きになっていたから。その方が安全だから、戦争や政治論争など世界で起きていることは気にしないというスタンス。その結果、中国政府やイラン政府のプロパガンダ映画、ペンタゴンのエンタメ映画ばかりになった。それは乱雑で、僕のフィールドである“芸術”ではないかもしれないけれど、僕は今、彼らのフィールドでやっている。誰かが、そうすべきなんだ。僕は他の人もそうしてほしいと思っている」と訴えていた。(編集部・市川遥)

第77回カンヌ国際映画祭は現地時間5月25日まで開催

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