色、構図、動き、そのすべてに魅せられる

まず色に魅了される。白い雪山、青い空、赤いクマたち。色彩はすべて鮮やかなのに、柔らかい。さらに構図と動き。とくに、人物が踊るとき、クマが行進するときなどに、その物自体の動きだけでなく、それによって生じる影が変形しながら動き、その物と影との絡み合いは目眩がするほど魅惑的。
監督のロレンツォ・マトッティはイタリア生まれのパリ在住。建築学を学んだ後にイラストやコミックで活動し、2003年にグラフィック・ノベル「ジキル博士とハイド氏」でコミック界で最も権威ある賞のひとつ、米アイズナー賞を受賞した人物。彼のイラストはすでに色と動きに満ちているが、その魅力がアニメになってさらに増幅されている。