口に出せない母親業の辛さ。そのタブーに迫る

「母親業は最高にやりがいのある仕事」、「子供はかわいい。何より大切な存在」。それは母親たちの本心のはず。だがその裏には、同じように堂々と言うことが許されないしんどさがあるかもしれない。時にはここから逃げたいと思うことすらあるのかも。女性作家による小説を女性監督が映画化した今作は、そのタブーに迫る。初監督作にこのテーマを選んだマギー・ギレンホールには感心。しかし、スタイルが優先されてしまい、不必要に話を引っ張ったために、感情面でのインパクトが弱まった気が。そこを埋めるのがオリヴィア・コールマン。複雑な思いを多く秘めた主人公を表情だけで細やかに演じる彼女はさすがだ。