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フェティシズムの極致。最大の収穫はカトキハジメの廃墟バトル

2013年7月30日 清水 節 SHORT PEACE ★★★★★ ★★★★★

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SHORT PEACE

 森本晃司による夢幻的OPで幕を開け、森田修平『九十九』×大友克洋『火要鎮』×安藤裕章『GAMBO』×カトキハジメ『武器よさらば』で構成されたオムニバス・アニメ。4作品に通底するのは、この国の刹那の平和=安息の形だろう。『MEMORIES』(95)の熱量と毒には欠けるが、物語よりも動きよりも、モノへの偏愛に満ちている。着物、火、妖怪、メカなど素材の質感にこだわるフェティシズムこそ、日本のアニメの真骨頂という企図から、“海外映画祭向け”というキーワードはちらつく。

 絵巻物という横スクロールの古典フォーマットで昭和初期の時代劇映画を再現し、禍々しい災の大スペクタクルを組み合わせた『火要鎮』は、日本的カルチャーをアニメ上で融合させ、様式化することに成功した野心的な実験作である。

 収穫は『武器よさらば』だった。複数のキャメラ・アイによって恐る恐る進入する廃墟の近未来東京。無人戦車と傭兵の戦いを通し、ヴァーチャルに戦争を体感させる技に冴えを見せる。この演出で長編が観てみたい。

 ジブリの「震災と零戦」の陰で、静かに同時公開された「大火と戦車」を見逃してはならない。

清水 節

清水 節

略歴:映画評論家/クリエイティブディレクター●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」出演●映画.com、シネマトゥデイ、FLIX●「PREMIERE」「STARLOG」等で執筆・執筆、「Dramatic!」編集長、海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」DVD企画制作●著書: 「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」●映像制作: WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画・構成・取材で国際エミー賞(芸術番組部門)、ギャラクシー賞(奨励賞)、民放連最優秀賞(テレビ教養番組部門)受賞

近況:●「シン・ウルトラマン」劇場パンフ執筆●ほぼ日の學校「ほぼ初めての人のためのウルトラマン学」講師●「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」劇場パンフ取材執筆●特別版プログラム「るろうに剣心 X EDITION」取材執筆●「ULTRAMAN ARCHIVES」クリエイティブディレクター●「TSUBURAYA IMAGINATION」編集執筆

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