ぼくのお日さま:映画短評
ぼくのお日さま視線が語る深い想い。雪に射す光のような儚さを映画で愛おしむ
観た後すぐに感想が溢れない映画がある。そのせいで何日も頭から離れない。本作はそんなサンプルかも。
基本的に主人公は少年だが、彼のコーチにもかなり重点が置かれ、作品の視点が定まらない危うさを感じつつ、その揺らぎが映画の美しさに転嫁しているのは驚き。設定からして痛みを伴うエピソードがいくつも予想されるが、そこは限定的に抑え、周囲の優しさでカバーするのは監督の性格の表れか。
前作同様スタンダードのスクリーンが作品の宝石のような純然の輝きを際立たせ、監督自身が滑りながら撮ったなめらかなカメラ、リンクに過剰に差し込む夕陽の効果、音楽の切ない被り、池松壮亮のスケーティングなどハッとさせられる瞬間が多発。
この短評にはネタバレを含んでいます