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すれ違う言葉と言葉の轍

2015年6月24日 森 直人 雪の轍 ★★★★★ ★★★★★

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雪の轍

美しい世界遺産のトルコ・カッパドキアを舞台としながら、これは極めて強固なベルイマン・スタイルの会話劇。例えば『ある結婚の風景』では、一見理想的な研究者と弁護士の夫婦バトルがえんえん繰り広げられたが、本作では裕福な夫婦を中心に、幾つか組み合わせを変えて対話ドラマの実験が行われる。図式は階級闘争的でもあり、主に浮かび上がるのは「腐れインテリ」とか「ブルジョワの欺瞞」の空虚だ。

話せば話すほど溝は深まり、核心は遠のく、だが時間を置くことでまた距離が縮まるなど、一進一退を繰り返す人と人との関係性は非常にリアル。とりわけ結局は“似た者同士”の主人公夫婦は、荒涼とした冬の風景の中に微妙な後味を残す。

森 直人

森 直人

略歴:映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「メンズノンノ」「Numero TOKYO 」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況:YouTubeチャンネル『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。5月11日より、川和田恵真監督(『マイスモールランド』)の回を配信中。ほか、東盛あいか監督(『ばちらぬん』)、長久允監督(『DEATH DAYS』)、松居大悟監督(『ちょっと思い出しただけ』)、舩橋淳監督(『ある職場』)、犬童一心監督(『名付けようのない踊り』)、片山慎三監督(『さがす』)、二宮健監督(『真夜中乙女戦争』)、原一男監督&小林佐智子プロデューサー(『水俣曼荼羅』)、前田聖来監督(『幕が下りたら会いましょう』)、松浦祐也さん&カトウシンスケさん(『ONODA 一万夜を越えて』)、首藤凜監督(『ひらいて』)、大石規湖監督(『fOUL』)、𠮷田恵輔監督(『空白』)、春本雄二郎監督(『由宇子の天秤』)、ウエダアツシ監督(『うみべの女の子』)、沖田修一監督(『子供はわかってあげない』)、内山雄人監督(『パンケーキを毒見する』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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