すべてが狂ってる

2013年9月13日 森 直人 ロード・オブ・セイラム ★★★★★ ★★★★★

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ロード・オブ・セイラム

特異な一本として推したい。ロブ・ゾンビの監督作といえば、ニューシネマ期のホラーを見事に蘇生させた『デビルズ・リジェクト』(05年)がとりわけ印象深いが、今作は真正面からサイケデリック・アートを展開し、それに迫る域。1960~70sカルチャーを再現しても、彼の場合は「趣味」よりも「本気」を感じさせるのが凄い。オタク的レプリカではなく、本当に時代を間違えて産まれたような生っぽさがあるのだ。

内容は17世紀末に米マサチューセッツ州セイラム村で起きた魔女裁判の呪いが、一枚のレコードを通して、現代の同地で暮らす薬物依存症の女性に降り掛かるというもの。呪術力を演出するためのサウンドデザインが素晴らしく、問題曲の他に使われるヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「毛皮のマリー」と「オール・トゥモローズ・パーティーズ」なども巧くハマっている。『デビルズ・リジェクト』ではレーナード・スキナードの「フリーバード」の選曲が抜群だったが、今作も“音楽映画”として非常に優れているのだ。

『月世界旅行』の引用も含むB級でアシッドなコラージュ感覚はたまらなく魅力的。ホドロフスキー師匠は本作を観ただろうか?

森 直人

森 直人

略歴:映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「メンズノンノ」「Numero TOKYO 」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況:YouTubeチャンネル『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。7月24日より、城定秀夫監督+平井珠生さん(『アルプススタンドのはしの方』)の回を配信中。ほか、田中圭監督(『島にて』)、内藤瑛亮監督(『許された子どもたち』)、諏訪敦彦監督(『風の電話』)、想田和弘監督(『精神0』)、深田晃司監督(『本気のしるし』)、豊島圭介監督(『三島由起夫vs東大全共闘』)、入江悠監督(『AI崩壊』)、タナダユキ監督(『ロマンスドール』)、岩井澤健治監督&大橋裕之さん(『音楽』)、片山慎三監督(『岬の兄妹』)と『パラサイト 半地下の家族』を語り尽くす特番、森達也監督&河村光庸プロデューサー(『i 新聞記者ドキュメント』)、小林啓一監督(『殺さない彼と死なない彼女』)、竹内洋介監督(『種をまく人』)、渡辺紘文監督&雄司さん(『普通は走り出す』など大田原愚豚舎の世界)、瀬々敬久監督(『楽園』)、今泉力哉監督(『アイネクライネナハトムジーク』)、二ノ宮隆太郎監督(『お嬢ちゃん』)、大森立嗣監督(『タロウのバカ』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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