ロイ・アンダーソン世界の究極形にして入門編

2015年8月10日 森 直人 さよなら、人類 ★★★★★ ★★★★★

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さよなら、人類

自らのスタイルを絶頂に高めたロイ・アンダーソンの大傑作だ。ワンシーン&ワンショットによる絵画的構図のミニコント集だが、各エピソードの有機的な連鎖の中に歴史のイメージも交え、長編としてのうねりが見事に醸成されていく。

アナログセット主義や、複数の主体が同じフレームの中でギャグを同時進行させる語りは、やはりジャック・タチに近いが、決してハイブロウな笑いに終始するものではない。不器用に生きる庶民たちの群像模様は人懐っこい哀愁に満ちている。

4コマ漫画のスタイルの延長で、大河的な感動にのぼりつめた業田良家の『自虐の詩』等も連想した。ここには生きる事の根源を問う人間哲学がある。敬遠せずに観て欲しい!

森 直人

森 直人

略歴:映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「メンズノンノ」「Numero TOKYO 」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況:謹賀新年! YouTubeチャンネル『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。2月21日より、今泉力哉監督&冨永昌敬監督(脚本/『あの頃。』)の回を配信中。ほか、山田篤宏監督&若葉竜也さん(『AWAKE』。SYOさんとのダブルMC)、片山慎三監督(『そこにいた男』)、井筒和幸監督(『無頼』)、内山拓也監督(『佐々木、イン、マイマイン』)、二宮健監督(『とんかつDJアゲ太郎』)、佐藤快磨監督(『泣く子はいねぇが』)、渡辺紘文監督&雄司さん(大田原愚豚舎の世界Vol.2)、黒沢清監督(『スパイの妻』。月永理絵さんとのダブルMC)、原一男監督&島野千尋プロデューサー(『れいわ一揆』)、行定勲監督 feat.東紗友美さん(『窮鼠はチーズの夢を見る』)、足立紳監督(『喜劇 愛妻物語』)、荒木伸二監督 feat.SYOさん(『人数の町』)、城定秀夫監督&平井珠生さん(『アルプススタンドのはしの方』)、田中圭監督(『島にて』)、内藤瑛亮監督(『許された子どもたち』)、諏訪敦彦監督(『風の電話』)、想田和弘監督(『精神0』)、深田晃司監督(『本気のしるし』)、豊島圭介監督(『三島由起夫vs東大全共闘』)、入江悠監督(『AI崩壊』)、タナダユキ監督(『ロマンスドール』)、岩井澤健治監督&大橋裕之さん(『音楽』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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