シネマトゥデイ

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アートの「文脈」を共有しない声なき者のファックな本音

  • バンクシーを盗んだ男
    ★★★★★

    イギー・ポップ(ナレーション)司会の朝まで生テレビ的沸騰! これだけ面白い議論が白熱するアート系ドキュも珍しい。先行二作がバンクシーの掌の上にあるのに対し、こちらは分離壁のグラフィティが炎上という「いかにもバンクシー」な騒動から想定外の域に転がっていく。そのエンジンはパレスチナ庶民の素朴な生活意識やたくましい商魂だ。

    本作の多面的な主題を要約するのは野暮だが、基本線に一般労働者=地元のタクシー運転手を置いた意図は明白だろう。本来「声なき者」のストリートアートだろ? なに制度化されちゃってんだよ。現代アートの「文脈」を持たない労働者のシンプルな怒りが、実は外部からの鋭い批評として突き刺さる。

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森 直人

森 直人

略歴: 映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「TV Bros.」「メンズノンノ」「週刊プレイボーイ」「Numero TOKYO (Web)」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。

近況: 9月27日(木)渋谷・シネクイントにて『愛しのアイリーン』20:00の回上映後、吉田恵輔監督×奥浩哉先生のトークでMCを務めます。BSスターチャンネルの無料放送番組「GO!シアター」、9月は『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『泣き虫しょったんの奇跡』についてコメントしています。執筆参加した『世界のカルト監督列伝』『鬱な映画』『漫画+映画!』『新世紀ミュージカル映画進化論』『究極決定版 映画秘宝オールタイム・ベスト10』(いずれも洋泉社)が発売中です。

サイト: http://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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