貧しさゆえに明日を奪われた若者の物語

2014年3月26日 なかざわひでゆき フルートベール駅で ★★★★★ ★★★★★

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フルートベール駅で

 貧困層の黒人というだけで警察官に射殺された青年。全米で大問題となった事件の映画化である。
 主人公オスカーは無職で逮捕歴のある元ヤクの売人。ありきたりなスラム街のチンピラだ。しかし、そんな彼にも愛する恋人や娘がいて、大切な母親や親戚がいて、苦楽を共にしてきた友人がいる。なにより、彼自身が真っ当な人生を歩もうと懸命にもがいていた。
 人は生まれ育った環境を選べない。本作はまるで虫けらのように殺された若者の最後の1日を通じ、貧しさゆえ競争社会のスタートラインにすら立てない人々の、ささやかな幸せと声にならない苦しみを丹念に拾い上げていく。詩的な叙情性すら漂わせた演出が、かえって胸に深く突き刺さる。

なかざわひでゆき

なかざわひでゆき

略歴:日本大学芸術学部映画学科卒、同学部大学院卒。映画・海外ドラマのライターとして、TVガイド誌やオンライン情報サイトなどを中心に幅広く執筆活動中。雑誌「スカパー!TVガイドBS+CS」(東京ニュース通信社刊)で15年続くコラム“映画女優LOVE”をはじめ各テレビガイド誌で特集記事やコラムを執筆。著書は「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)など。また、数多くの来日スターにインタビューしており、ハリウッドのスタジオや撮影現場へも毎年コンスタントに足を運んで取材をしている。特に海外ドラマの現地取材は本人も数え切れないほど(笑)。旧ソ連のモスクワ育ち。

近況:最近は今さらながらK-POPのボーイズバンドにドハマり中。一番の御贔屓はMCNDですが、NCTやTREASUREも大好き。もちろんBLACK PINKとかITZYとかEVERGLOWとかガールズにも夢中です。

サイト: http://eiga3mai.exblog.jp/

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