不寛容な社会に向けた、巨匠の静かで熱いメッセージ

作品の解釈は観客に委ねられているが、何故そこにカメラを置いたのか、作り手の明確な意図はある。
監督は前作『ニューヨーク、ジャクソンハイツ へようこそ』に続き、人種の坩堝N.Y.を象徴する多種多様な人たちが集う場所で、共存することの有意義さを写した。
9.11以降顕著になった、不寛容な社会へのメッセージがそこにある。
市民に開かれた施設だ。
だからカメラは会議にも入り込み、金の問題も曝け出す。
ホームレスやネット環境のない貧困層など社会から取り残されそうな人たちを公共施設として何をすべきか。
交わされる建設的な議論のなんと豊潤なことか。
この街が”世界の中心”と称される理由が分かるはずだ。