不寛容な社会に向けた、巨匠の静かで熱いメッセージ

2019年5月25日 中山 治美 ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス ★★★★★ ★★★★★

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス

作品の解釈は観客に委ねられているが、何故そこにカメラを置いたのか、作り手の明確な意図はある。
監督は前作『ニューヨーク、ジャクソンハイツ へようこそ』に続き、人種の坩堝N.Y.を象徴する多種多様な人たちが集う場所で、共存することの有意義さを写した。
9.11以降顕著になった、不寛容な社会へのメッセージがそこにある。

市民に開かれた施設だ。
だからカメラは会議にも入り込み、金の問題も曝け出す。
ホームレスやネット環境のない貧困層など社会から取り残されそうな人たちを公共施設として何をすべきか。
交わされる建設的な議論のなんと豊潤なことか。
この街が”世界の中心”と称される理由が分かるはずだ。

中山 治美

中山 治美

略歴:茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。日本映画navi、全国商工新聞、スカイパーフェクトTV(ぴあ)、BANGER!、朝日新聞webサイトおしごとはくぶつかん情報館内で「おしごと映画」を執筆中。いつの間にやら映画祭を回るのがライフワークとなっている。お気に入りはオランダ・ロッテルダム国際映画祭とスペインのサンセバスチャン国際映画祭。

近況:本サイトで「映画で何ができるのか?」と「ぐるっと!世界の映画祭」を連載中。また、編集に携わった塚本晋也監督・著「『野火』全記録」(洋泉社)、DVDマガジン「石原裕次郎シアター」(朝日新聞社)が発売中デス。ライフワークの旅の記録をまとめたブログはこちら。https://tabisutekaisyu.amebaownd.com

サイト: https://www.oshihaku.jp/series/00007

中山 治美さんの最近の映画短評

もっと見る

[PR]