ミニマムな関係を通して描く暴力にまみれた世界の暗喩

2019年8月31日 清水 節 ドッグマン ★★★★★ ★★★★★

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ドッグマン

先読み不能な展開。主人公の行動に理念らしきものは無い。仕事であるゆえ犬を愛でている。娘を想う心情も描かれる。しかし感情移入など出来ない。粗暴な厄介者に従属し、不毛な関係を断ち切れない。舞台はイタリアの殺伐とした海辺の街。ろくでなしの弱者である主人公と、力でねじ伏せる無法者とのバランスの変容が見ものだ。『ゴモラ』で裏社会を活写したマッテオ・ガローネ監督が、ミニマムな人間関係を用意して、支配する者と支配される者の愛憎相半ばする共依存の哀れな末路を、容赦なく見せる。もちろん、暴力にまみれた世界の暗喩でもある。私たちが生きる社会を一皮剥けば、露わになる普遍的な真理を直視したい。

清水 節

清水 節

略歴:映画評論家・クリエイティブディレクター●映画.com、シネマトゥデイ、FLIX●「PREMIERE」「STARLOG」等で執筆・執筆、「Dramatic!」編集長、海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」DVD企画制作●著書に「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」●WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画・構成・取材で国際エミー賞、ギャラクシー賞、民放連最優秀賞 受賞

近況:●円谷プロ「ULTRAMAN ARCHIVES」クリエイティブディレクター●「シド・ミード展」未来会議ブレーン、図録寄稿●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」

サイト: http://eiga.com/extra/shimizu/

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