メキシコシティのジャスミン、ブランチ

2020年6月26日 森 直人 グッド・ワイフ ★★★★★ ★★★★★

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グッド・ワイフ

『ブルージャスミン』や『欲望という名の電車』の前日談といった趣か。ポルティーヨ政権下の82年。露骨に勝ち組を気取った「クソ金持ち」のマダムに没落の足音が近づき、表面だけ取り繕いながらも属するサークルから脱落していく。「このカードは使えません」辺りからのヒヤッとしたホラー的演出が冴える。

経済の終わりは世界の終わり、といったシステム(と感覚)の中に否応なく我々は生かされていて、こぼれ落ちた先に待ち構えるのは「死」の匂いである。フラメンコの手拍子、ライバル妻との視線の高低、フレオ・イグレシアスや肩パットといったシンボル等の小技は総て意図が明確で、「番犬」のイメージを引っ繰り返した幕切れも鮮やか。

森 直人

森 直人

略歴:映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「メンズノンノ」「Numero TOKYO 」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況:YouTubeチャンネル『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。6月12日より、田中圭監督(『島にて』)の回を配信中。ほか、内藤瑛亮監督(『許された子どもたち』)、諏訪敦彦監督(『風の電話』)、想田和弘監督(『精神0』)、深田晃司監督(『本気のしるし』)、豊島圭介監督(『三島由起夫vs東大全共闘』)、入江悠監督(『AI崩壊』)、タナダユキ監督(『ロマンスドール』)、岩井澤健治監督&大橋裕之さん(『音楽』)、片山慎三監督(『岬の兄妹』)と『パラサイト 半地下の家族』を語り尽くす特番、森達也監督&河村光庸プロデューサー(『i 新聞記者ドキュメント』)、小林啓一監督(『殺さない彼と死なない彼女』)、竹内洋介監督(『種をまく人』)、渡辺紘文監督&雄司さん(『普通は走り出す』など大田原愚豚舎の世界)、瀬々敬久監督(『楽園』)、今泉力哉監督(『アイネクライネナハトムジーク』)、二ノ宮隆太郎監督(『お嬢ちゃん』)、大森立嗣監督(『タロウのバカ』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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