古風な成長小説の雰囲気が味わい深い

2020年9月14日 平沢 薫 マーティン・エデン ★★★★★ ★★★★★

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
マーティン・エデン

「野性の呼び声」などで知られる米作家ジャック・ロンドンが1909年に書いた、作家を目指す労働者階級の青年を描く自伝的小説を、20世紀のイタリア、ナポリに舞台を移し当時の記録映像も交えて描くが、その描き方はあえて古風なビルドゥングスロマン、成長小説の趣。そのせいで、逆に時代を超えた象徴的な物語に見えてくる。
 主演のルカ・マルネッリは「オールド・ガード」の元十字軍兵士ニッキー、「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」の悪役ジンガロ役の俳優だが、本作では別の顔。貧しいが情熱に溢れる男が、やがて名声を得ても幸福になれない男に変貌していく過程をじっくり見せる。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」の脚本家チャーリー・カウフマン監督・脚色の「もう終わりにしよう。」@Netflix、映画だけ見ても面白いが、イアン・リードの同名小説(ハヤカワ文庫)を読むと、カウフマンがこの小説をどう読んだのかが見えてきて面白さ倍増。

平沢 薫さんの最近の映画短評

もっと見る

[PR]