略歴: 脳梗塞で死にかけ、今は杖片手に早めの余生。一応映画文筆屋。Web中心に村松健太郎の名前で書いてます。どうぞごひいきに。
近況: お一人でも映画館に行こうという気持ちになっていただけるように精一杯やらせていただきます。
サイト: https://www.instagram.com/kentaroumuramatsu_osonerampo/?hl=ja
最初は主人公のコリン・ファレル同様、何が起きているのか、自分が何かしたのか?なんでこんなことになってしまったのか?ということが自分の中で整理できずに戸惑いました。ただ、対岸から聞こえてきた”ある音”の意味を知った時、いきなり腑に落ちました。人間が3人集まると派閥が出来て諍いが起こると言われていますが、2人であってもそれはありうること。これが極限まで拡大された出来事が劇中の対岸の出来事であり、現在世界で起きていることでもあります。理由なんてとても些末なこと、もしかしたら理由がないかもしれない、それでも昨日の続きでない今日が訪れます。
デイミアン・チャゼル監督が思いのたけを徹底的に詰め込んだ189分の超大作。冒頭の乱痴気騒ぎが映画そのものを体現していると言っていいでしょう。そのまま監督の過剰なまでの想いを浴びる映画です。
ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバが一応の主役ではあり、波乱万丈な時間を過ごしますが、本筋としては当時のエンタメ界に漂う空気の再現でしょう。時に監督の意地の悪さすら感じさせる描写は苦味と苦笑が入り混じり、最後はすさまじい映像の奔流に飲み込まれるような体験ができます。多少心身の準備は必要かもしれませんが、劇場で見てこそ意味のある映画と言えるでしょう。
ちょっと久々なパク・チャヌク監督の最新作は、健在ぶりというか、さらなる進化&深化すら感じさせるサスペンスロマンス映画の大傑作でした。
パク・チャヌクのサスペンスとロマンスのバランス感覚については過去作からずっと唸らせるものがありましたが、本作はさらに一段上に行った感じがあります。
細部までこだわり抜かれたビジュアルセンスも見事の一言です。エンディングの凄まじさについては”見てください”以外の言葉が見つかりません。映画に圧倒されるという感覚の心地よさを再確認させてくれた逸品でした。
ヴァーホーベン7年ぶりの新作は、やはりというべきかまたもや”攻めと挑発”の一作。御年84歳となるこの鬼才ですが、老け込む感じは全然ないですね。実際に起きた出来事をヴァーホーベンならではの視点で描き出します。R18指定も納得のバイオレンスとセックス、教会への挑発などなど遠慮など一切ない過激な一品です。主演のヴィルジニー・エフィラの体当たり演技も見事ですが、大ベテランのシャーロット・ランプリングがまた見事な存在感を発揮しています。キリスト教と教会の在り方にかなり切り込んでいますが、キリスト教の予備知識が実はあまり必要のない構造になっているのがまた見事です。
映画化企画自体は実はそんなに数のない池井戸潤作品。しかし、本作は原作はもちろんドラマも直近に先行して放映されているということもあって、思い切ってストーリーをガラッと変えてきました。ここまで大胆なアレンジはちょっとなかったのではないでしょうか?。サスペンスとしての要素が強いので、細かくはネタバレになってしまうこともあって、言及は控えますが、原作やドラマをしっかり見ている人こそが一番に驚く展開と言っていいでしょう。主演の阿部サダヲを筆頭に曲者が揃いましたが、ある意味このキャスティング自体が大きな仕掛けの一つになっていることに映画を見終わってから驚かされました。