31日、今年から新設された黒澤明賞が発表された。この賞は黒澤明に敬意を表し、ヒューマニズムに富み、娯楽性の高い作品を数多く作り出した監督に贈られる。栄えある第1回目に選ばれたのは、スティーヴン・スピルバーグ監督と山田洋次監督だ。『宇宙戦争』の撮影で来日できなかったスティーヴン・スピルバーグからはビデオ・レターが寄せられ「黒澤明はいまでも僕の師です。黒澤の『夢』を観てから製作総指揮をはじめました。とても名誉な賞だ」と心のこもったメッセージを述べた。一方、山田洋次監督は「こんなに、うれしいことはない。黒澤監督の『姿三四郎』を観てから心に焼き付いて離れない。初めてお会いした時、映画人同士もっと仲良くしなければだめだ。もっと議論をして日本映画をよくしなければと言われました」と黒澤明との思い出を話した。「黒澤さんが映画を撮っている、顔、声、動き回る姿を見ているだけで幸せでした」と熱い思いを述べ場内からは拍手がわき起こった。
31日、六本木ヒルズのアリーナで観客の評価によって決まる観客賞の発表が行われ『大統領の理髪師』が受賞した。
この賞は今年から新設された賞で、コンペティション作品の上映後に入場時の先着50名の観客がポイント制で作品を評価し、もっとも合計点の高かった作品に送られる賞だ。受賞したイム・チャンサン監督は「個人的には、どの賞よりすばらしい賞だと思う」と率直な感想を述べた。
観客賞の賞金としてイム・チャンサン監督には賞金1万ドルが贈られた。そのほかに、アリーナで発表された賞は、最優秀アジアの映画賞『可能なる変化たち』、日本映画・ある視点・作品賞に『樹の海』、同部門・特別賞に『樹の海』の津田寛治が選ばれた。
30日、映画祭特別招待作『カンフーハッスル』の主演、チャウ・シンチーが来日し六本木ヒルズのアリーナでアクション・イベントを行った。
冷たい小雨が吹き込むアリーナでは劇中に登場する、シルクハット姿で斧を振り回すダンス・ユニット数十人が、無表情のままアクロバティックなダンスで会場を圧倒した。しかし、薄着で現れたチャウは「かっこよく見えるように無理をしています」と寒さをがまんしている様子。チャウ・シンチーには熱心なファンが多く、この日も小雨の中、多数のシンチー・ファンがこのイベントに訪れ、拍手で励ましていた。
そんなチャウ・シンチーが写真撮影をする準備をしていると小川直也が乱入。「ハッスルは俺のもんだ! 映画は公開させねぇぞ!」とチャウに詰め寄る。小川が持ちネタの「ハッスル、ハッスル!」を披露するが会場内からは一斉にブーイング。シンチー・ファンのパワーに圧倒され、小川はすごすごと退散していった。
31日、東京グランプリにウルグアイの監督、ファン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストールの『ウィスキー』が選ばれ、授賞式が行われた。受賞が告げられた瞬間、監督のひとりファン・パブロ・レベージャは主演俳優のアンドレス・パソスとがっちりと抱き合い涙ぐんでいた。トロフィーを受け取ったファン・パブロ・レベージャは「ウルグアイという小さな国の映画が、こんなに遠くの国で賞を受賞するなんて思わなかった。日本の方々のサポートに感謝します」と体中でよろこびを表現した。審査委員長の山田洋次監督は「『ウィスキー』は際だってユニークな作品だった。一度観たら忘れられない。セリフ、感情、動き、すべてを抑えているが、その中にはすべてが表現されている」と絶賛した。また、最優秀主演女優賞にも同作のミレージャ・パスクアルが輝いた。
映画祭特別招待作『ターミナル』の主演、トム・ハンクスが30日、帝国ホテルで記者会見を開いた。会見場には空港のターミナルに見立てたセットが設置され、8年ぶりに来日を果たしたトムがリラックスした雰囲気の中で今回の作品について語った。本作でしかたなく空港に住み着いてしまう男を演じるトムは「空港はいいよね。生活するうえで何も不自由することはないから、空港暮らしを試してみるのもいいんじゃないかな」と言いつつも「やっぱり同じ閉じ込められるなら、空港より映画の撮影スタジオのほうが楽しいかな」と根っからの俳優らしい発言。トムは終始ご機嫌の様子で会見場をあとにしたが、来月にもまた最新作のプロモーションのため来日することが予定されている。