中山 治美

中山 治美

略歴: 茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。全国商工新聞、月刊スカパー!(ぴあ)、時事通信などに執筆中。

近況: 映画祭で国内外を飛び回っているうちに”乗り鉄”であることに気づき、全国商工新聞で「乗りテツおはるの全国漫遊記」を連載。旅ブログ(ちょこっと映画)もぼちぼち書いてます。

サイト: https://tabisutekaisyu.amebaownd.com

中山 治美 さんの映画短評

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  • 少年の君
    2人の演技と、特異な例を見るべし
    ★★★★

    アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートを筆頭に、アジアの映画賞を総ナメにした力作だ。世界的な問題になっているイジメの実態を容赦なく描きつつ、どん底の世界で芽生えた2人の愛を言葉や直接的な描写に頼ることなく表現。岩井俊二監督を敬愛し、前作『七月と安生』ですでに才能を見せつけたD・ツァン監督の演出もさることながら、要望に応えた主演2人の素晴らしさよ。特にアラサーながら高校生役を難なくこなしたチョウ・ドンユイのコケティッシュな魅力と腹の座り具合は、安藤サクラを彷彿。ただし本作、エンディングに不自然な注釈が入る。行政からのお達しか。検閲が芸術をいかに損なわせるか。参考例としても見るべし。

  • オキナワ サントス
    炙り出される歴史の闇
    ★★★★★

    '19年末にNHK BS版が放映されているが、映画版はさらに深くサントス強制退去事件の真実に迫り、さらに日系移民社会にある分断や偏見を露にしていく。それは同様の移民問題をテーマにしたドラマなどでは触れられてこなかった、今も根強く残る遺恨。この暗部を、相手の懐に飛び込み、しれっと聞き出してしまうところは、”人たらし”たる松林要樹監督の成せる技。それもまた監督の才能だ。何より本作は、強制退去者名簿の発見という偉業も成し遂げている。その強運を引き寄せたのも、国内外でその土地に根付いた人と街の歴史を丹念に追い続けてきた活動あってこそ。松林監督の功績を讃えたい。

  • ゴジラvsコング
    また香港なのか・・・
    ★★★★★

    『パシフィック・リム』(2013)、『トランスフォーマー/ロストエイジ』(2014)に続いて決戦の場は香港。中国資本が入ったハリウッド大作のお決まりのパターンになりつつある。単に香港がフォトジェニックな街だから……という理由だけではあるまい。先ごろデジタル・リマスターされた台湾のSF映画『関公VS.エイリアン』(1976)は、当初は台湾の西門が舞台となる予定だったが行政側が難色を示して香港となった経緯がある。当時の台湾は厳戒令下。フィクションとはいえ街の破壊は反逆行為と受け取られかねないと回避したのだろう。今も昔も香港は、何をしても許される街なのか。バトルの向こうに現実を見る。

  • いのちの停車場
    ”感動”で終わらせてはいけないテーマだが……
    ★★★★★

    吉永小百合の存在が大き過ぎて、幻想を抱いた役になりがちだが今回は比較的等身大。しかも現役医師の原作で、脚本は山田洋次監督作を手がけている平松恵美子だ。自ずと娯楽の表層をまとったピリリとした社会派ドラマを期待していたが、先に同じ在宅医を主人公にした『痛くない死に方』と同作の医療監修を務めた長尾和宏先生のドキュメンタリー『けったいな町医者』が公開され、在宅医療に頼らざるを得ない患者の事情も死の現実もとくと描いていただけに、それと比較すると物足りなさが残る。ラストが非常に重いテーマを投げかけているだけに、豪華キャスト映画の弊害か、そこに至るまでのエピソードの盛り込み過ぎとテーマの散漫さが悔やまれる。

  • 地獄の花園
    スッキリしない日々はオラオラ系が効く
    ★★★★★

    昨年の『今日から俺は!!劇場版』が奮闘したように、煮え切らない日々が続く中で見るヤンキー映画は一服の清涼剤のごとし。腕力で白黒ハッキリする分かりやすさ。「架空OL日記」が象徴するように女性にあらぬ幻想を抱かず、しかし組織で生き抜くために派閥を作ってマウンティングしがちな人間の本質を突いたバカリズム脚本の鋭利さ。その脚本を得て、水を得た魚のようにイキイキと暴れる俳優陣の輝き。そして突き抜けたバカバカしさは、娯楽としての映画の楽しさを改めて味合わせてくれるに違いない。映画ファン的には『ベスト・キッド』や『リメインズ 美しき勇者たち』オマージュ?がツボ。

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