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『U-571』特集

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配給:GAGA 9月9日 日比谷映画ほか全国東宝洋画系

マシュー・マコノヒー
Matthew McConaughey

Profile

1969年11月4日、アメリカのテキサス州生まれ。テキサス大学で心理学と哲学を専攻していたが、バーでスカウトされて映画界へ。

デビュー作は在学中の93年、『バッド・チューニング』。卒業後にロサンゼルスへ移住し、本格的な映画活動を行う。96年、初の大作の主役の座を射止めた『評決のとき』で、弁護士役を熱演。一躍その名を国内外に知らしめる。

その後はアンソニー・ホプキンスと共演したスティーブン・スピルバーグ監督の『アミスタッド』、ジョディ・フォスターと共演した『コンタクト』、ロン・ハワード監督による『エドtv』などの話題作に次々と出演し、着実にキャリアを築いている有望株だ。

 主な出演作

93年 バッド・チューニング
94年 悪魔のいけにえ/レジェンド・オブ・レザーフェイス
94年 エンジェルス 95年 ボーイズ・オン・ザ・サイド
96年 小さな贈り物 96年 ローンスター
96年 評決のとき 97年 アミスタッド
97年 コンタクト 98年 ニュートンボーイズ
99年 エドtv 99年 ピュア・イーブル
00年 U-571

文・猿渡由紀

 大学在学中に映画デビューを果たし、『評決のとき』の成功で一気にブレイクしたマシュー・マコノヒー。“ポール・ニューマンの再来”と騒がれ、下積み時代もなく、瞬く間にスターになった彼は、幸運続きだった20代を「最高だった」と振り返る。

昨年、逮捕騒ぎを起こし、スターとしての地位が危ぶまれたが、真のヒーローを演じた新作『Uー571』のヒットで、再び注目を浴びている。挫折を経て、大きく成長したマコノヒー。彼の30代がどんなものになるのか、今後の活躍から目が離せない。

僕の20代は最高だった。20代を振り返って、後悔は何もない  

ほとんどのスターは、暗い下積み時代のエピソードを一つや二つ持っているものだが、マシュー・マコノヒーにはそれがない。92年、テキサス大在学中、ガールフレンドと出かけたバーでたまたまハリウッドのキャスティング・ディレクターに出会い、一緒に飲んで盛り上がるうちに、『バッド・チューニング』のオーディションを受けることになった。

すぐに荷物をまとめてロサンゼルスに向かったマコノヒーは、見事に役を獲得するにとどまらず、5日もたたないうちに大物スターばかりが所属するウィリアムズ・モリス・エージェンシーと契約を結ぶに至る。世の中にあふれる俳優志望者たちにとっては、信じられないような夢物語だ。

さらに3年後には、サンドラ・ブロック、サミュエル・L・ジャクソンと共演した『評決のとき』で一躍スターダムに躍り出る。そんな絶好調の数年を駆け抜けて、マコノヒーも昨年秋、30歳になった。

「誕生日はハリウッドの丘の上にある城を借りきって、パーティをしたんだ。ブラジルのバンドやDJを呼んでね。朝3時半過ぎまで騒いで、いつものように朝日を見ながら家に帰ったってわけさ」  彼のような人生なら当然かもしれないが、20代を振りかえれば、満足しかない。

「僕の20代は最高だった。でも20代はまだまだ人生の始まりだからね。人は30代でやりたくないことがわかって、40代で本当にやりたいことがはっきりわかる、って聞いたことがある。僕の場合は、20代のうちにやりたくないことは随分わかったから、その分ではちょっと先を行っているけど、そのかわり20代に克服しておくべきことでできていないことがあるからな。

例えば、頑固な性格を直す、とかね(笑)。20代を振り返って、後悔は何もない。強いていえば、後悔したことがあるのを後悔するくらい。自分がなりたい人間になるように努力することは大切だけど、少しは自分に余裕を与えてあげることも必要だと僕は思うんだ。たとえば、鍵をどこかに置き忘れて朝必死になって探しまわった結果 、何のことはない、パンツのポケットに入っていたとする。『ああ、俺ってなんてバカで忘れっぽいんだろう』って思うんじゃなくて、『昨日の晩、次の日どの服を着るかちゃんと予測してそのポケットに鍵を入れておいたってことだな。

結構頭いいじゃん』って思えばいいのさ。それくらい自分に優しくしてあげるってこと」

この映画をやりたいと思ったのは、すばらしいヒーロー物語だからさ。チームワークの物語であるところもいい

今回マコノヒーが主演を務めた『Uー571』は、アメリカでは今年4月に公開され、予想以上のヒットを記録した。たいした話題にならなかった『ニュートン・ボーイズ』、批評家の評価が良かったにもかかわらず興行的には失敗した『エドtv』と、失望が続いただけに、この作品の成功には彼も内心かなりほっとしているに違いない。しかも、この映画は、男らしい男の役であることに加え、彼にとって初のアクション映画でもある。

「この映画をやりたいと思ったのは、すばらしいヒーロー物語だからさ。『理屈より行動』の男たち──もっとも、理屈を言っている暇はあの状況においてはないんだけど──そしてチームワークの物語であるところもいい。アクション映画はこれまでやったことがなかったけど、どうせやるなら、想像の元に作られたSFをやるよりは、歴史に舞台をとった海の男の話をやろうと思ったんだ」

 チームワークという意味においては、マコノヒーは撮影現場においても自分から率先して実践していたと、共演のジョン・ボン・ジョウィは評価する。 「ジョナサン(・モストウ監督)は僕たち出演者に実際チームとしての実感がしっかりわくように、撮影が始まる何日か前から僕らを現場に集めたんだ。みんなで顔を合わせるなり、マシューは『これはみんなの映画だ。みんなで協力し合っていこう。僕ができることがあったら、何でも言ってほしい』と言った。

口だけでなく、彼は本当に終始そういう態度で、主役という気取りは皆無だった。5ヵ月にも及ぶ撮影が雰囲気よく進んだのは、彼のおかげが大きいよ」 「ひとりで勝つより、みんなで勝つほうがいいじゃないか」というのが、マコノヒーの見解だ。

「映画に限らず、何でもさ。僕は自分だけ目立つよりは、むしろチームのひとりでいたい。みんなで力を合わせればどんなことができるか、僕はよく知っているんだ」自分を実際以上に重要な人間だと考える傾向は、マコノヒーにはないのかもしれない。『評決のとき』が公開1週目に1位 になり、マコノヒーが次世代のビッグスターとして一挙に注目を集めた時も、彼自身は一連の大騒ぎを冷静に見る目をもっていた。「ポール・ニューマンの再来」と言われたことを、思い返してこう分析する。

「何か新しいものを見た時、人は無理にでも知っているものにたとえようとするものなんだ。新作映画を観に行って、友達に『どうだった?』と聞かれた時、『うーん、あの映画とこの映画を足したような映画だったな』って言うことって、よくあるだろう? 僕の場合もそうだったんだ。僕はポール・ニューマンに顔も似ていないし、彼の実力に追いつくにはものすごい年月がかかる。そもそも彼はウェテランで、僕はまだ新人なんだよ。でも、何らかの意味で、僕とポール・ニューマンに共通 点があると思ってくれた人がいたんだとしたら、僕としては、光栄なことという以外にないけどね」

逮捕されたのは、ひどい侮辱だ。僕は今だに自分は何も悪いことをしていなかったと思っている  

マコノヒーをはじめとする気さくな人柄が多くを占めたキャスティングだったこともあり、撮影は楽しく、順調に進んだ。ロケーション場所はローマ。「2、3回は、すごく楽しい夜を過ごしたよ」とマコノヒーは言うが、基本的には、1日13時間の撮影に追われる日々だった。戦争アクションものだけに、肉体的な苦労も大きかったことは否定できない。

「おかげさまで大きなけがは誰もしなかったけど、ちょっとした切り傷や打撲はよくあったね。僕自身も肩を悪くしたせいもあって、撮影が終わった直後は、疲れて何もしたくなかった。一番恐ろしかった経験といえば、雨を降らせる機械が回っている時に電気関係のアクシデントでランプが爆発して火事になった時だな。僕とJBJ(ボン・ジョウィ)がそのシーンにいたんだけど、僕ら自身も現場もみんな水で濡れているし、死ぬ ほど怖かったよ」

次回作は、"The Wedding Planner"。ジェニファー・ロペスが相手役を務めるロマンティック・コメディだ。マコノヒーいわく、「ジエニファーとは仕事上最高の相性で、すべてが順調」なまま撮影は終了。全米公開は、現在の段階では来年のバレンタイン・デーが予定されている。一部のタブロイド紙から、ジェニファー・ロペスの恋人ショーン“パフィー”コームがマコノヒーに嫉妬をして脅迫に近い発言をしたと報道されたことは、「一体、どうやればそれほど根も葉もないことが書けるのだろうか。誰かが勝手に夢でも見て書いたとしか思えない」と一笑に付す。

この映画の後、何をやるかについてはまだまったく決まっていない。『Uー571』のヒットを受けて、たくさんいい話がくるまで次を決めないでおこうという策略だったようだ。

実際、ここ何回か作品にも恵まれず、メディアにもいい記事で登場する機会がなかっただけに、それは賢い考えだと言っていい。マスコミからも一般 人からも、昨年秋のマコノヒーの刑務所入りの一件は、まだ忘れ去られておらず、彼のスターとしての地位 は、ここのところあまり望ましい状態ではなかったのだ。

そもそもこの事件は、近所から騒音の苦情を受けて警察がやってきたところ、男友達と家にいたマコノヒーが裸でボンゴを叩いており、刑務所に同行するのを拒否して抵抗したため逮捕されたという、かなり恥ずかしいもの。麻薬保持の疑いも逮捕の理由のひとつだったが、証拠に欠けたため、結局罪状は騒音だけとなり、罰金もわずか50ドルで済んだが、その結末も逆になんだか間抜けだ。つい最近、マコノヒーが自分から堂々と「訳がわからない裸のボンゴ、それが何だって?」と書いたTシャツを着て登場し、それがちょっとした話題になったりもした。

「僕は今だに自分は何も悪いことをしていなかったと思っている。逮捕される筋合いもなかったし、僕に対するひどい侮辱だ。 起こってはいけないことだけど、起こってしまったんだから、ユーモアをもって対処しただけさ。あの事件を冗談にするつもりはないよ。ある事柄を冗談として処理することと、ユーモアのセンスをもってとらえるのとは、まったく別 物さ」

自家用機で移動するスターを気取った奴と思う人は多いけど、それは違うよ。その人は、誰からも邪魔されない自分の時間が欲しいだけなんだ 

普通の人ならニュースにもならないささいな事件だが、ハリウッド・スターであるがために、一度は彼の俳優としてのステイタスまで心配する声も出たこの事件を通 じ、マコノヒーは有名であることの辛い面をたっぷり味わったに違いない。もっとも、これほど極端ではないとしても、彼はすでに「有名税」の重さはいやというほど感じさせられており、正直うんざりもしている。

「自家用飛行機でいつも移動するスターを気取った奴と思う人は多いけど、それは違うよ。その人は、誰からも邪魔されない自分の時間が欲しいだけなんだ。その人にとってそれほど貴重なものはないんだよ。豪華なホテルに泊まって、普通 の人が頼まないようないろんなものを部屋に持ってこさせるようなスターだって同じこと。

いろんな注文をわがままだと思うなら、『変わった人、気取った人』と好奇心で話題にするんじゃなくて、あっさり『できません』と言って放っておいてあげるべきなんだ。すべては、高いお金を払ってでも自分の欲しいものがある自分だけの空間というものを確保したいという願望なんだからさ。例えば、有名人がどこかに出かけたとする。

当然みんな寄ってきていろんなことを聞いてくる。一人目はまだいいが、99人目くらいになると思わず邪険な対応をしてしまうこともある。それだけで『あのスターは性格が悪い』と書かれるんだ。みんな、有名人がどんな小さなことでもしでかすのを、今か今かと待っているんだから」  しかし、自分を売り込むことが並みはずれてうまいことで知られるマコノヒー、メディアや世間をすべて敵とは考えていない。

「見られたくなければ、外に出ないこと。何か欲しければ誰かに買いに行かせればいい。そのかわり、自分で外出すると決めたからにはそれなりの覚悟で出る。この間も、スーパーで、ある女性がかなり失礼な態度で話しかけてきた時、僕はその女性に何か言うかわりに、そいつの子供に向かってこう言ってやったのさ。

『この女の人は君のママかい? 今ママがやっていることは、やっちゃいけないことなんだよ』」  いやな状況も、ユーモアのセンスをもって気持ちよくはね返す。それが何事をもうまく切り抜けるコツと経験から納得した結果 、それは確実にマコノヒーの世渡りの戦略となったように見える。持ち前のウァイタリティと自己宣伝の上手さに、このテクニックが加わったマコノヒーにとって、ハリウッドは今、ほかの誰もが思うほどには、厳しい社会ではないのかもしれない。

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