見どころ:世界でもトップクラスのボルドーワインをめぐるシビアなワインビジネスと、ワインに魅了された人々にカメラを向けたドキュメンタリー。フランスのシャトー関係者をはじめ、評論家や収集家などさまざまな人々がそれぞれのワインに対する胸の内を披露する。ワイン評論家のロバート・パーカーや、ワイナリーを持つフランシス・フォード・コッポラ監督らが登場。中国人富豪たちの介入で値段が高騰したボルドーワインの実態や、窮地に立つブドウ園の現実に驚嘆する。
あらすじ:最高のクオリティーを誇るボルドーワインは、マリー・アントワネットをはじめ時の権力者や富豪たちを魅了してきた。ナポレオン3世により1855年のパリ万博で初めて公にワインが格付けされ、四つのシャトーを第一級として認定。その後もその地位は揺らぐことはなく、近年中国をはじめ新興国の資産家たちによってボルドーの価値が一気に高まる。
美酒の秘密を解き明かすドキュメンタリ…かと思えば全然違う(笑)。原題は「赤い妄執」、おそらく「赤」はワインの色と中国共産党の両方を意味しているだろう。長年最大の顧客であったアメリカが金融危機で没落、代わりに浮上したのが中国の富裕層。日本のバブル期を思わせもするカネに任せた買いまくりっぷり (その頂点が大人のおもちゃ屋だったりする)に、シャトーやワイン評論家は「センスを共有する昔ながらの顧客が手を出せない価格になった」「ワインは高級バッグとは違う」などと下等扱い丸出し。しかし自国産で勝負し、国際的な賞も勝ち取る中国だが、そのテロワールがウイグルや内モンゴルというのも、どこまでもややこしいのだ。
今や投機対象であるワインをめぐるドキュメンタリーは、1本千円弱のテーブルワイン愛飲派には遠い世界のお話。とはいえ、興味深いエピソードが次々と明かされていくので、目はスクリーンに釘付け。特に印象深いのが中国の富裕層の熱狂ぶり。億単位で箱買いし、高額なワインを競り落とす。味わうというより物質欲を満たしているとしか思えない富裕層を前に「利益か、シャトーの格か?」と悩むワイン醸造家の攻防が世界経済で巨大化する中国資本の姿とかぶる。さらに興味深いのが中国内でのワイン造り。ボルドーと気候が似た場所を探してシャトーのコピーを建設して、と貪欲に追求。権威あるワイン賞も受賞したワインのテロワールは果たして?
※数量や販売期間が限定されていたり、劇場によっては取扱が無い場合があります。
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