見どころ:落ちこぼれクラスの元生徒の実話を基に、子供たちを導いていくベテラン教師と劣等生たちの交流を描くヒューマンドラマ。パリ郊外の高校を舞台に、ある出来事をきっかけに少しずつ変化していく子供たちの姿を描き出す。厳しいが教育に情熱を注ぐ教師を、『キリマンジャロの雪』などのアリアンヌ・アスカリッドが熱演。愛情深い教育者のりんとした姿勢や、その期待に応えようとする生徒たちに起きる奇跡に心動かされる。
あらすじ:歴史教師アンヌ(アリアンヌ・アスカリッド)は、新学期から貧困層が多く通うパリ郊外のレオン・ブルム高校にやってくる。多様な人種から成る生徒たちを集めた落ちこぼれ学級を担当することになった彼女は、全国歴史コンクールへの参加を生徒たちに提案。当初彼らは「アウシュヴィッツ」という難題を拒否するが、強制収容所の生存者が授業に招かれ……。
落ちこぼれの学生たちがアウシュヴィッツを通して、学ぶことの重要さと、日々の生活を改める。
実話で、”良い話”ではある。だが、しこりも残る。
パリ郊外の高校で、多人種の生徒たちが机を並べているクラスが舞台だ。ユダヤ系も見える。
なのに、全くもってその過去に関する知識も興味もゼロどころか、マイナスのところから物語が始まる。
より感動を呼ぶ為の落差なのか。はたまたこれが現実か。
『帰ってきたヒトラー』を観賞した時にも感じたが、70年前は遠き過去で、その歴史を伝えていくことの困難さを痛感する。
そこにはつい、今の歴史教育に問題があるのではないかと考えてしまうが…。
教訓映画としては噛みしめ甲斐アリ。
学校もさじを投げた落ちこぼれ学級の問題児たちと、そんな彼らを見捨てず叱咤激励する女教師が、全国歴史コンクールへの入賞を目指して一致団結していく。実話を基にした作品だ。
フランスの移民政策を反映するように、人種も宗教も様々な生徒たち。ここでは日本人的な“郷に入っては郷に従え”の論理など基本的に通用しない。多民族社会における共存共栄の難しさが浮かび上がる。
そんな彼らをまとめ上げるため、女教師は人類最大の悲劇であるホロコーストを研究テーマに選ぶことで、民族の違いを超えた普遍的なヒューマニズムを学ばせる。悪ガキたちの屁理屈にも動じない女教師の頼もしさと軽妙なストーリーの語り口が心地よい秀作だ。
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