戦場記者 (2022)：映画短評

　パレスチナのガザにウクライナ、アフガニスタンと、今まさに激動する紛争地帯の最前線をTBS特派員・須賀川拓氏のレポートで記録したドキュメンタリー。決してイスラエル側ばかりを責めることが出来ず、民間人をコマのように扱うハマスに対して市民が不満や怒りを募らせるガザの状況は、ある意味で目からウロコかもしれない。自国政府を激しく非難するイスラエル市民の声にも考えさせられる。平和が訪れたはずのアフガニスタンの悲惨な貧困と麻薬の蔓延も衝撃的。改めて思うのは、戦争における絶対悪とは戦争そのものであり、常に市民ばかりが多大な犠牲を強いられるということだろう。不安や憎悪を煽るような権力者には要注意だ。