銀平町シネマブルース (2021)：映画短評

今年、偶然立て続けに公開される「映画についての映画」の日本代表というべき一本。いかにも、いまおかしんじ脚本な愛すべき変人たちを、城定秀夫監督がいつもの優しい目線から描く。ホームレス役の宇野祥平のハマりっぷりには及ばないが、自身の姿に重なる崖っぷちな映画監督を演じた小出恵介の芝居は説得力ありすぎ。おなじみのメンツに加え、『アルプススタンドのはしの方』の小野莉奈がちょっと大人になって登場するのも嬉しい。『カサブランカ』のエピソードなど、あえてベタベタな人情喜劇を狙っており、ときに臭さすら感じるが、映画を配信で観ることが当たり前になった今、映画館の存在意義を教えてくれるだろう。